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波乱のデビュタント
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デビュタントの日、アレクセイとコーネリアは朝から忙しくしていた。自分達が主役でもないのに両親達が張り切っている。特に母親が。コーネリアの支度を「ああだこうだ」と念入りにしている。
一番注目の二人を着飾りたいのは分かるのだが、もう何時間着せ替えられたか分からないコーネリアはぐったりしている。
「母上、もういい加減にしてください。今日の主役はデビューする子らです。僕たちではありません」
アレクセイの言葉にハッとなったのはオルフェ侯爵夫人。一年もの間社交界に出ていない娘に惨めな思いをさせないようにとしていることは理解できるが、これはやりすぎだ。
「コーネリア、君に贈り物がある」
まだ納得がいかない母親らを無視して、アレクセイはコーネリアにブレスレットを見せている。
「このブレスレットは、仮結婚をしている証なんだよ。これを身に付けている男女を誘惑することは禁止されている。所謂、異性除けなんだよ。法でも厳しく罰せられることになるんだ」
「どういうことなんですか?」
「つまり、仮というのはお互いをよく知る為の期間だから、当人同士の問題なんだが、このブレスレットに彫られている文字を見てごらん」
コーネリアが身に付けた金のブレスレットのタグには
ーーーー私はアレクセイのものですーーーー
と掘ってあった。アレクセイのブレスレットにはコーネリアの字が刻まれている。
これには仮結婚後に相手と近々正式に結婚するという意味合いがある。これを身に付けている相手に言い寄ったり、別の相手を求めたりした場合、法に基づいて処罰されることになる。
実はこのブレスレットは王太子からの詫びの品だったのだ。アレクセイとコーネリアに言い寄ろうとしている貴族から守るための【虫除け】だった。
これを渡されたのは昨日。急に王太子から呼び出しがあり、アレクセイが彼の執務室に行くと兄ローランドからこれを渡された。
「殿下からデビュタントにこれをしていくように言いつかっている。必ず守る様にとの仰せだ」
「殿下からですか」
アレクセイには王太子ルイナードの心中は分からなかったが、素直に受け取ることにした。
そのブレスレットをコーネリアに渡したのだ。
会場に入ると既にデビュする家族と招待客らで混雑していたが、今回はアレクセイらには特別に控室が用意されていた。
王家の侍従に案内され、控室に通されるとそこにはアイゼンがいた。
「すまない。アレクセイを少し借りるよ」
そう言ってアレクセイを連れ出したが、コーネリアを一人にする訳にいかず、アイゼンの婚約者リディア・ペドラー侯爵令嬢に一緒にいてもらう事にした。
「アレクセイ、お前に忠告しておく。このデビュタントでは何があってもコーネリア嬢の傍を離れないようにしろよ」
「言われなくてもそうするよ。一体なんだっていうだ」
「まあ、いろいろあるんだよ。それとブレスレットを着けてきているな」
「ああ、言われた通りにしている」
「なら大丈夫だろう」
一体、なんだっていうんだ。おかしな奴だな。
アレクセイは不振に思いながら、アイゼンと別れて、コーネリアの待つ部屋に戻るとリディア嬢と楽しそうに話をしているのが聞こえた。入ろうとした時、不安げなコーネリアの言葉を耳にする。
「実は、友人から忠告で、アレクセイ様をお慕いしているらしい令嬢が今日のデビュタントにいらっしゃるのですが、もしアレクセイ様が心変わりでもしたらどうしようかと最近、悩んでおります」
コーネリアのこの言葉にアレクセイは驚いた。コーネリアを不安にさせた覚えはないが、現にコーネリアは不安がっている。今すぐ扉を開けてコーネリアを抱きしめたいが、それでは立ち聞きしていたことを白状するようなもの。
アレクセイは間を置いて、中に入った。コーネリアはアレクセイの姿を見るといつもの微笑みを浮かべていた。
ああ、心配させないように表情を作っていたのか。気が付かなかった僕が悪い。
そこで先ほどのアイゼンの言葉を思い出し、
彼が言いたかったのはこの事なのか?どちらにせよ今日はコーネリアの傍を離れないようにしようと決心したのだった。
一番注目の二人を着飾りたいのは分かるのだが、もう何時間着せ替えられたか分からないコーネリアはぐったりしている。
「母上、もういい加減にしてください。今日の主役はデビューする子らです。僕たちではありません」
アレクセイの言葉にハッとなったのはオルフェ侯爵夫人。一年もの間社交界に出ていない娘に惨めな思いをさせないようにとしていることは理解できるが、これはやりすぎだ。
「コーネリア、君に贈り物がある」
まだ納得がいかない母親らを無視して、アレクセイはコーネリアにブレスレットを見せている。
「このブレスレットは、仮結婚をしている証なんだよ。これを身に付けている男女を誘惑することは禁止されている。所謂、異性除けなんだよ。法でも厳しく罰せられることになるんだ」
「どういうことなんですか?」
「つまり、仮というのはお互いをよく知る為の期間だから、当人同士の問題なんだが、このブレスレットに彫られている文字を見てごらん」
コーネリアが身に付けた金のブレスレットのタグには
ーーーー私はアレクセイのものですーーーー
と掘ってあった。アレクセイのブレスレットにはコーネリアの字が刻まれている。
これには仮結婚後に相手と近々正式に結婚するという意味合いがある。これを身に付けている相手に言い寄ったり、別の相手を求めたりした場合、法に基づいて処罰されることになる。
実はこのブレスレットは王太子からの詫びの品だったのだ。アレクセイとコーネリアに言い寄ろうとしている貴族から守るための【虫除け】だった。
これを渡されたのは昨日。急に王太子から呼び出しがあり、アレクセイが彼の執務室に行くと兄ローランドからこれを渡された。
「殿下からデビュタントにこれをしていくように言いつかっている。必ず守る様にとの仰せだ」
「殿下からですか」
アレクセイには王太子ルイナードの心中は分からなかったが、素直に受け取ることにした。
そのブレスレットをコーネリアに渡したのだ。
会場に入ると既にデビュする家族と招待客らで混雑していたが、今回はアレクセイらには特別に控室が用意されていた。
王家の侍従に案内され、控室に通されるとそこにはアイゼンがいた。
「すまない。アレクセイを少し借りるよ」
そう言ってアレクセイを連れ出したが、コーネリアを一人にする訳にいかず、アイゼンの婚約者リディア・ペドラー侯爵令嬢に一緒にいてもらう事にした。
「アレクセイ、お前に忠告しておく。このデビュタントでは何があってもコーネリア嬢の傍を離れないようにしろよ」
「言われなくてもそうするよ。一体なんだっていうだ」
「まあ、いろいろあるんだよ。それとブレスレットを着けてきているな」
「ああ、言われた通りにしている」
「なら大丈夫だろう」
一体、なんだっていうんだ。おかしな奴だな。
アレクセイは不振に思いながら、アイゼンと別れて、コーネリアの待つ部屋に戻るとリディア嬢と楽しそうに話をしているのが聞こえた。入ろうとした時、不安げなコーネリアの言葉を耳にする。
「実は、友人から忠告で、アレクセイ様をお慕いしているらしい令嬢が今日のデビュタントにいらっしゃるのですが、もしアレクセイ様が心変わりでもしたらどうしようかと最近、悩んでおります」
コーネリアのこの言葉にアレクセイは驚いた。コーネリアを不安にさせた覚えはないが、現にコーネリアは不安がっている。今すぐ扉を開けてコーネリアを抱きしめたいが、それでは立ち聞きしていたことを白状するようなもの。
アレクセイは間を置いて、中に入った。コーネリアはアレクセイの姿を見るといつもの微笑みを浮かべていた。
ああ、心配させないように表情を作っていたのか。気が付かなかった僕が悪い。
そこで先ほどのアイゼンの言葉を思い出し、
彼が言いたかったのはこの事なのか?どちらにせよ今日はコーネリアの傍を離れないようにしようと決心したのだった。
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