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3.捨てられた子供達③
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ゲイルに連れられてサトラ-公爵家に着いた時もレスティーナはすやすやと安らかな寝息を立てていた。夫の腕の中で眠っているレスティーナを見た公爵夫人のアマンダが急に泣き出し、取り乱し始める。
アマンダは、夫であるゲイルがとうとう罪を犯してジュリエッタと不貞を働いたと勘違いした。いや思い込んでいたのかもしれない。
なにせアマンダの愛読書は姑や小姑に嫌がらせをされて耐え忍ぶ主人公が、最後には誰よりも幸せになるという物語なのだから……。
だから、彼女の頭の中では勝手に夫に裏切られ、不貞で出来た子供を押し付けられるという構想…妄想が出来上がっていたのだろう。
ゲイルは妻のこの想像豊かな感性が何より苦手だった。
アマンダとゲイルは母親同士が友人で、幼い頃からの所謂幼馴染の様な関係。
今は夫婦となっているが、政略的な意図も恋愛感情もない。ゲイルにはある事情があって最終的にはアマンダと結婚するしかなかったというのが正解だろう。
彼女の歪曲する思考能力にはついていけないが、見た目や能力は公爵夫人が務まる程ではあったので、ゲイルはアマンダと結婚したのだ。
アマンダの方は、ゲイルに心の底から愛されて求めてられて結婚したのだと思い込んでいて、周りにもそう吹聴していた。
ゲイルも特に問題がない為、敢えてそれを否定していない。どう取り繕うとも自分が結婚したのはアマンダなのだから……。
両親が何かエントランスホールで言い争いをしているのが聞こえたカインデルは、侍女の胸に抱かれて火が付く様に泣いているレスティーナ見つけた。
何とかレスティーナを泣き止まそうと努力している侍女……その横で夫に訳の分からない事を口走りながら悲劇の主人公を気取っているアマンダ。泣いて詰られゲイルは、げっそりとした表情を浮かべながらもなんとか宥めようと務めている。そんなカオスの様な状態の中で一人冷静なカインデルは、「チッ、またか」と舌打ちしながら、侍女の抱きかかえている赤子に目を遣った。
「……小さいな…」
女の赤子の小さい手に自分の指が握られると、そこに温かで穏やかな気持ちが傾れ込んできた。
「抱いてもいい?」
「気を付けて下さい」
侍女に支えてもらいながらカインデルは小さなレスティーナを腕に抱いた。
すると、今まで激しく泣いていたレスティーナが泣くのを止めて、その円らな瞳でカインデルをじっと見ている。
「かわいい…」
思わず本音が出てしまったカインデルだが、これがレスティーナとの初めての出会い?であった。
この時、カインデルは5才になる少し前で、自分の出自については何も知らされていない。10才になるまでカインデルはレスティーナは父ゲイルが他所で作った子供だと信じていたので、レスティーナも当然自分の血の繋がった異母妹だと疑わなかった。
カインデルが真実を知るのは彼が10才の誕生日を迎えた時、父ゲイルから自分がこの国の第一王子だということを聞かされることになる。
何も知らないカインデルはこの時、この小さな異母妹を守ろうと固く決めたのだった。
アマンダは、夫であるゲイルがとうとう罪を犯してジュリエッタと不貞を働いたと勘違いした。いや思い込んでいたのかもしれない。
なにせアマンダの愛読書は姑や小姑に嫌がらせをされて耐え忍ぶ主人公が、最後には誰よりも幸せになるという物語なのだから……。
だから、彼女の頭の中では勝手に夫に裏切られ、不貞で出来た子供を押し付けられるという構想…妄想が出来上がっていたのだろう。
ゲイルは妻のこの想像豊かな感性が何より苦手だった。
アマンダとゲイルは母親同士が友人で、幼い頃からの所謂幼馴染の様な関係。
今は夫婦となっているが、政略的な意図も恋愛感情もない。ゲイルにはある事情があって最終的にはアマンダと結婚するしかなかったというのが正解だろう。
彼女の歪曲する思考能力にはついていけないが、見た目や能力は公爵夫人が務まる程ではあったので、ゲイルはアマンダと結婚したのだ。
アマンダの方は、ゲイルに心の底から愛されて求めてられて結婚したのだと思い込んでいて、周りにもそう吹聴していた。
ゲイルも特に問題がない為、敢えてそれを否定していない。どう取り繕うとも自分が結婚したのはアマンダなのだから……。
両親が何かエントランスホールで言い争いをしているのが聞こえたカインデルは、侍女の胸に抱かれて火が付く様に泣いているレスティーナ見つけた。
何とかレスティーナを泣き止まそうと努力している侍女……その横で夫に訳の分からない事を口走りながら悲劇の主人公を気取っているアマンダ。泣いて詰られゲイルは、げっそりとした表情を浮かべながらもなんとか宥めようと務めている。そんなカオスの様な状態の中で一人冷静なカインデルは、「チッ、またか」と舌打ちしながら、侍女の抱きかかえている赤子に目を遣った。
「……小さいな…」
女の赤子の小さい手に自分の指が握られると、そこに温かで穏やかな気持ちが傾れ込んできた。
「抱いてもいい?」
「気を付けて下さい」
侍女に支えてもらいながらカインデルは小さなレスティーナを腕に抱いた。
すると、今まで激しく泣いていたレスティーナが泣くのを止めて、その円らな瞳でカインデルをじっと見ている。
「かわいい…」
思わず本音が出てしまったカインデルだが、これがレスティーナとの初めての出会い?であった。
この時、カインデルは5才になる少し前で、自分の出自については何も知らされていない。10才になるまでカインデルはレスティーナは父ゲイルが他所で作った子供だと信じていたので、レスティーナも当然自分の血の繋がった異母妹だと疑わなかった。
カインデルが真実を知るのは彼が10才の誕生日を迎えた時、父ゲイルから自分がこの国の第一王子だということを聞かされることになる。
何も知らないカインデルはこの時、この小さな異母妹を守ろうと固く決めたのだった。
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