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4.捨てられた子供達④
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奇跡は起こるべくして起きるのではなく、人の意志によって作られるものでもある。
レスティーナが2才になる前に、世話をしていたアマンダが一人何気なく呟いた事が始まりだった。
──自分によく似た女の子が欲しい……。
サトラー公爵家に実子が存在しないのには理由がある。
それはゲイル・サトラー公爵は『種』がない…子供が作れない身体だった。
勿論そのことは結婚前にアマンダにも話をしているが、きっと自分に都合よく考えて話を歪曲して解釈していたのだろう。
『私は君に子供を授けられない…それでもいいなら妻にしよう…』
夫ゲイルのプロポーズの言葉だった。
何の変哲もない公爵家の中庭でそう告げられ、アマンダは好きだったゲイルとの未来に夢を見ていた…というより途中でありとあらゆる幸福な家庭を思い描いていたのかもしれない。
肝心の子供を授けられないという部分を不妊だと楽観的に考えていたのだと思う。次に将来は養子をもらい、公爵家を継がせる予定だという部分はすっかり頭から抜け落ちていたのだろう。
だから、何年経っても子供が出来ないのは努力が足りないのだと考えて、何度も夫を寝室に誘ったり、突然襲撃じみた事もやってみた。そんな妻に愛想を尽かすのは実に早かった。
ゲイルはその行為を義務的にこなす様になっていった。傍から見れば完璧な仮面夫婦だというのに、アマンダはそれが愛し愛される関係で出来た理想の夫婦だと勝手に思い込んでいる。
ゲイルは自分に落ち度があることは十分わかっているので、その考えを改めさせる事はしなかった。
最初に国王からカインデルを預かった時にも泣き喚いて酷かったが、レスティーナの時は一通り泣くと今度はお人形遊びでもするように可愛がり始めた。
どうやら従姉妹である現王妃グレイシスに見せびらかすつもりのようだった。
国王には3人の王子がいるがそれぞれ母親が違っている。
前王妃が産んだ第一王子カインデル。
現王妃グレイシスが産んだ第二王子クロイツェル。
側妃ミリアーナが産んだ第三王子アーロン。
いずれどの王子と婚約させるにしても妃教育は必要なのだ。
その役目を王妃グレイシスが務めると言い出した。処が国王は元大公妃イレーネに頼むことにした。
レスティーナが2才になる頃、アマンダの懐妊が判明した。
しかし、子供が出来ないはずのゲイルは腑におちない。アマンダは喜んでいたが、不貞をしたのではという疑念は端からなかった。
子供の頃から執拗にゲイルに付き纏っているアマンダが他の男とどうこうなるなんて考えられなかったからだ。いつもの思い込みで、別の男をゲイルだと信じて抱かれたのならいざ知らず、いくらアマンダでもその位の判断はつくだろうとゲイルは頭を横に振った。
「おとうしゃま…あかちゃんできたら、たくさんあそべる?これでおかあしゃまもさびしくない?」
舌足らずの言葉で慰めようとレスティーナは、大好きな父にそう言った。
「ティナは何かお母様にしたのかい?」
ゲイルは何気なく問いかけただけなのだったが、直ぐに満面な笑顔で得意げに、
「てぃな、おかあさまのねがいがかないますようにって…」
それを聞いてゲイルは得心がいった。きっとレスティーナが無意識でアマンダの願いを叶えたのだろう。
生まれてくる子供は、アマンダの願った通りの子供だろう。そして、ゲイルの血は受け継がれないアマンダの分身なのだから──。
意図せずしてレスティーナは、こうしてこれから先自分を苦しめるだけの存在をアマンダに与えてしまう。
そして、月満ちて生まれた子供はマリアンヌと名付けられることになった。
レスティーナが2才になる前に、世話をしていたアマンダが一人何気なく呟いた事が始まりだった。
──自分によく似た女の子が欲しい……。
サトラー公爵家に実子が存在しないのには理由がある。
それはゲイル・サトラー公爵は『種』がない…子供が作れない身体だった。
勿論そのことは結婚前にアマンダにも話をしているが、きっと自分に都合よく考えて話を歪曲して解釈していたのだろう。
『私は君に子供を授けられない…それでもいいなら妻にしよう…』
夫ゲイルのプロポーズの言葉だった。
何の変哲もない公爵家の中庭でそう告げられ、アマンダは好きだったゲイルとの未来に夢を見ていた…というより途中でありとあらゆる幸福な家庭を思い描いていたのかもしれない。
肝心の子供を授けられないという部分を不妊だと楽観的に考えていたのだと思う。次に将来は養子をもらい、公爵家を継がせる予定だという部分はすっかり頭から抜け落ちていたのだろう。
だから、何年経っても子供が出来ないのは努力が足りないのだと考えて、何度も夫を寝室に誘ったり、突然襲撃じみた事もやってみた。そんな妻に愛想を尽かすのは実に早かった。
ゲイルはその行為を義務的にこなす様になっていった。傍から見れば完璧な仮面夫婦だというのに、アマンダはそれが愛し愛される関係で出来た理想の夫婦だと勝手に思い込んでいる。
ゲイルは自分に落ち度があることは十分わかっているので、その考えを改めさせる事はしなかった。
最初に国王からカインデルを預かった時にも泣き喚いて酷かったが、レスティーナの時は一通り泣くと今度はお人形遊びでもするように可愛がり始めた。
どうやら従姉妹である現王妃グレイシスに見せびらかすつもりのようだった。
国王には3人の王子がいるがそれぞれ母親が違っている。
前王妃が産んだ第一王子カインデル。
現王妃グレイシスが産んだ第二王子クロイツェル。
側妃ミリアーナが産んだ第三王子アーロン。
いずれどの王子と婚約させるにしても妃教育は必要なのだ。
その役目を王妃グレイシスが務めると言い出した。処が国王は元大公妃イレーネに頼むことにした。
レスティーナが2才になる頃、アマンダの懐妊が判明した。
しかし、子供が出来ないはずのゲイルは腑におちない。アマンダは喜んでいたが、不貞をしたのではという疑念は端からなかった。
子供の頃から執拗にゲイルに付き纏っているアマンダが他の男とどうこうなるなんて考えられなかったからだ。いつもの思い込みで、別の男をゲイルだと信じて抱かれたのならいざ知らず、いくらアマンダでもその位の判断はつくだろうとゲイルは頭を横に振った。
「おとうしゃま…あかちゃんできたら、たくさんあそべる?これでおかあしゃまもさびしくない?」
舌足らずの言葉で慰めようとレスティーナは、大好きな父にそう言った。
「ティナは何かお母様にしたのかい?」
ゲイルは何気なく問いかけただけなのだったが、直ぐに満面な笑顔で得意げに、
「てぃな、おかあさまのねがいがかないますようにって…」
それを聞いてゲイルは得心がいった。きっとレスティーナが無意識でアマンダの願いを叶えたのだろう。
生まれてくる子供は、アマンダの願った通りの子供だろう。そして、ゲイルの血は受け継がれないアマンダの分身なのだから──。
意図せずしてレスティーナは、こうしてこれから先自分を苦しめるだけの存在をアマンダに与えてしまう。
そして、月満ちて生まれた子供はマリアンヌと名付けられることになった。
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