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7.運命の糸車①
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この国の女神は、フードを被った老婆が、糸車を廻している姿の像が多い。それは、誰でも知っているお伽噺のような建国紀に記されているからだ。
女神クレマンテの像は何種類もあるがどれも糸車を廻している。女神の糸車から紡ぎだされる糸は『運命の糸』と呼ばれ、様々なものを糸で結びつけている。
それは親子や友人等あらゆるものを結びつける糸で最も有名なものは『運命の赤い糸』そう呼ばれるものだ。クレマンテの紡ぐ赤い糸は強力で必ず相手と結ばれるという……。
この国がただの貴族の所領だった頃、ある日みすぼらしい物乞いの様な老婆の如き女性が一夜の宿を求めて来た。外は嵐が吹き荒れて、とても外を歩ける状態ではない。
しかし、領主は女性を無下にして追い出したのだ。気の毒に思った若い門番は、自分の住んでいる馬小屋をその女性に貸し与えた。
翌日、嵐は去ったが今度は足を痛めて女性は歩けないと言った。そこで若い門番は、屋敷外の自分の家に連れ帰り、彼女を手厚く看病した。そして、風呂に入る様に促した。
当然、湯船は見る見る内に彼女の身体から出た垢で薄汚れ、何ともいえないような異様な悪臭を放っていた。所が湯あみをして出てきた女性はこの世のものとは言えぬほど美しく光り輝いていた。その神々しい姿に門番は彼女を一目で恋い慕う様になる。
女性は自分が落とした垢の風呂水を畑に撒けば作物が良く育つ様になる。そう言われ、門番は近くの畑にそれを撒いた。
すると、枯れた大地から苗が芽吹くと次の日には、美味しそうな赤いトマトがなっている。
それからも女性の言うとおりにすると、次々と奇跡の様な出来事が起こっていった。
こうなると領主も放置することが出来ず、遂に女性を人々を惑わす魔女だと言い放つ。そして、彼女を火炙りのかけようとした時、女性の身体から眩い光が放たれ、彼女の背には10本の翼が生えているではないか。
驚く人々を見向きもせず、女性は持っていた糸車で糸を紡ぎ始めた。領主はその糸車からでた糸が全身に絡まって息ができずにこと絶えた。
人々はその女性こそが女神クレマンテだという事を知ったのだ。
その後、門番は建国の王となり、この国の礎を築いたのだが、彼は女神を恋い慕うあまり、他の女性を見向きもしなくなり、段々痩せ細っていく。
女神は憐れな国王の為に自分の翼を一枚抜き取って、形代を作った。
国王はその形代をこよなく愛し、次に生まれてくる時も夫婦になりたいと願う。女神は国王の願いを叶え、100年に一度形代をこの世に生み出した。
国王は死ぬ時に『王族の誰かが女神の代弁者と婚姻し、彼女を愛し守る様に…』そう言い残した。
王城の地下にある女神の像の背には翼が九枚しかない。そして、その左手には運命の糸車を持っており、右手には時戻しの石版を抱えている。台座に女神から授けられたと伝えられている石版が埋め込まれている。
誰かが時を戻す時、石版に彫られている神語と呼ばれる古い文字が順番に光を放つと、女神が持っている糸車が逆回転をし始める。
そして、糸車の先にあらゆる色の糸が吸い込まれていく。
カインデルは最初の時に自身の魔力を注いで石版に触れた。しかし、魔力が足りずに弟王子アーロンの手を借りたのだ。
その所為で。アーロンは記憶の一部を持っている。
二人が記憶の答え合わせをするのは何時も時が巻き戻る数週間前となる。
何度時を巻き戻してもクロイツェルの身体には別のどす黒い不気味な赤い糸が絡みついているのだ。
どんなに振り払っても糸はクロイツェルを追いかけてきて、逃れる事はできない。
息も出来ないほど絡み付いている糸を手繰り寄せればその先には彼女がいる。
無邪気な微笑みを浮かべながら、何度もクロイツェルの名を呼ぶ。
──クロイツェルクロイツェルクロイツェルクロイツェル……。
その禍々し程の黒く濁った赤い糸は、いつかクロイツェルを雁字搦めに捉えて離さないだろう。
息を着くことも出来な程、ただクロイツェルを求め続けている……永遠に……。
女神クレマンテの像は何種類もあるがどれも糸車を廻している。女神の糸車から紡ぎだされる糸は『運命の糸』と呼ばれ、様々なものを糸で結びつけている。
それは親子や友人等あらゆるものを結びつける糸で最も有名なものは『運命の赤い糸』そう呼ばれるものだ。クレマンテの紡ぐ赤い糸は強力で必ず相手と結ばれるという……。
この国がただの貴族の所領だった頃、ある日みすぼらしい物乞いの様な老婆の如き女性が一夜の宿を求めて来た。外は嵐が吹き荒れて、とても外を歩ける状態ではない。
しかし、領主は女性を無下にして追い出したのだ。気の毒に思った若い門番は、自分の住んでいる馬小屋をその女性に貸し与えた。
翌日、嵐は去ったが今度は足を痛めて女性は歩けないと言った。そこで若い門番は、屋敷外の自分の家に連れ帰り、彼女を手厚く看病した。そして、風呂に入る様に促した。
当然、湯船は見る見る内に彼女の身体から出た垢で薄汚れ、何ともいえないような異様な悪臭を放っていた。所が湯あみをして出てきた女性はこの世のものとは言えぬほど美しく光り輝いていた。その神々しい姿に門番は彼女を一目で恋い慕う様になる。
女性は自分が落とした垢の風呂水を畑に撒けば作物が良く育つ様になる。そう言われ、門番は近くの畑にそれを撒いた。
すると、枯れた大地から苗が芽吹くと次の日には、美味しそうな赤いトマトがなっている。
それからも女性の言うとおりにすると、次々と奇跡の様な出来事が起こっていった。
こうなると領主も放置することが出来ず、遂に女性を人々を惑わす魔女だと言い放つ。そして、彼女を火炙りのかけようとした時、女性の身体から眩い光が放たれ、彼女の背には10本の翼が生えているではないか。
驚く人々を見向きもせず、女性は持っていた糸車で糸を紡ぎ始めた。領主はその糸車からでた糸が全身に絡まって息ができずにこと絶えた。
人々はその女性こそが女神クレマンテだという事を知ったのだ。
その後、門番は建国の王となり、この国の礎を築いたのだが、彼は女神を恋い慕うあまり、他の女性を見向きもしなくなり、段々痩せ細っていく。
女神は憐れな国王の為に自分の翼を一枚抜き取って、形代を作った。
国王はその形代をこよなく愛し、次に生まれてくる時も夫婦になりたいと願う。女神は国王の願いを叶え、100年に一度形代をこの世に生み出した。
国王は死ぬ時に『王族の誰かが女神の代弁者と婚姻し、彼女を愛し守る様に…』そう言い残した。
王城の地下にある女神の像の背には翼が九枚しかない。そして、その左手には運命の糸車を持っており、右手には時戻しの石版を抱えている。台座に女神から授けられたと伝えられている石版が埋め込まれている。
誰かが時を戻す時、石版に彫られている神語と呼ばれる古い文字が順番に光を放つと、女神が持っている糸車が逆回転をし始める。
そして、糸車の先にあらゆる色の糸が吸い込まれていく。
カインデルは最初の時に自身の魔力を注いで石版に触れた。しかし、魔力が足りずに弟王子アーロンの手を借りたのだ。
その所為で。アーロンは記憶の一部を持っている。
二人が記憶の答え合わせをするのは何時も時が巻き戻る数週間前となる。
何度時を巻き戻してもクロイツェルの身体には別のどす黒い不気味な赤い糸が絡みついているのだ。
どんなに振り払っても糸はクロイツェルを追いかけてきて、逃れる事はできない。
息も出来ないほど絡み付いている糸を手繰り寄せればその先には彼女がいる。
無邪気な微笑みを浮かべながら、何度もクロイツェルの名を呼ぶ。
──クロイツェルクロイツェルクロイツェルクロイツェル……。
その禍々し程の黒く濁った赤い糸は、いつかクロイツェルを雁字搦めに捉えて離さないだろう。
息を着くことも出来な程、ただクロイツェルを求め続けている……永遠に……。
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