17 / 44
15.愛を与えられる者と愛を乞う者④
しおりを挟む
レスティーナが豊穣祭に行ったことがないと聞きエルリアーナ達は、
「では、今度の豊穣祭には皆で行きませんこと」
「賛成だ!俺達も友人と行った事がない」
「そうだな。就学前の懇親も兼ねて皆で行こう」
「あっ…でも殿下は……」
「……」
クロイツェルは、既に14才となり、この国の貴族学院に通っている。
貴族学院は中等部から高等部そして専門分野を学ぶ研究室に入る者が通う大学部がある。
クロイツェルは13才から通う中等部に在籍しており、次の春には卒業を控えていた。といってもエスカレーターで高等部に上がるだけなのだが、今の時期は生徒会の引継ぎなどで忙しいのだ。
王族が入学すると、必然的に王族は生徒会に入り、生徒会の運営に携わる事が義務付けられている。
学院は、国に見立た模擬訓練として学生を束ねていく能力を培う為の演習場でもある。
だから、クロイツェルも今は引継ぎで忙しい。
「折角の機会だ。出来るだけ一緒に行けるように努力するよ」
この時は本心からそう思っていた。
15才でデビュタントを迎えるこの国では、子供でいられる時間は後少し……。
友人達と自由に過ごせる時間も残り少ないのだ。クロイツェルは子供でいられる最後の年の豊穣祭を友人やらと楽しく過ごそうと考えていた。
楽しいお茶会も終わり皆が帰った後、クロイツェルはレスティーナに贈り物をした。
「レスティーナ、君に渡したい物があるんだ」
「まあ、なんでしょう」
クロイツェルは小さな包みをレスティーナに渡した。
「中を開けてみて」
そう言われて、レスティーナが中を開けるとそこには髪飾りが入っていた。金色の縁に銀色の薔薇の花にルビーとサファイアの宝石が填め込まれている。それは二人の髪と目の色を表しているようだった。
「殿下…ありがとうございます。大切にしますね」
レスティーナは花の様な微笑みをクロイツェルに向けた。その微笑みはまるで神殿にある女神の像の様だとクロイツェルは思った。
数日後、レスティーナはカインデルが帰国する事になり、王城から公爵家に帰宅する事になった。
その時に国王はゲイルにこれまでのアマンダの所業を全て調べて、「離縁するか領地に幽閉するかを選べ」そう告げられたのだ。
幼いレスティーナを騙して神殿に軟禁した挙句、病弱等といって王家主催の懇親会にも出席させなかった虚偽。
王族を騙した罪としては軽いだろう。そう言われればゲイルも二の句を継げなかった。
アマンダの処分については豊穣祭が終わり次第、領地にて静養という形を取りたいとゲイルは伝えた。例え離縁してもまたゲイルの周りをうろつき、レスティーナやグレイシスに迷惑をかける事は想像するに容易かったからだ。
そして、運命の豊穣祭がやって来た。
豊穣祭は一週間程の日程で毎年行われている。
一日目は、女神クレマンテに豊穣の感謝を込めて神殿で王族一同が会して、式典が行われる。その間、レスティーナは祈りの間で女神と対話するという。だが、実際にレスティーナは女神の声を聞いた事はない。それは比喩的な意味合いのもので単なる儀式の一環にすぎない。
2日目は一般公開される為、レスティーナは女神の神子として参拝者に姿を見せ、祝福を与えるのだ。
本来なら3日目からレスティーナは自由な時間が持てるはずだった。しかし、アマンダの言いつけを守って今までは神殿で過ごしていた。でも今年は違う。友人らと一緒に街の祭りに参加できるのだ。
あまりの嬉しさにレスティーナはその夜、中々寝付けなかった。
カインデルは祭の最終日までには帰って来る。もし間に合ったならカインデルとも祭を一緒に楽しみたいと思っていた。最終日には花火が上がっている。今までは神殿に籠っていた為、実際に見た事もない。とてもきれいだと皆が言っているから、間近で見てみたいとレスティーナは思った。
レスティーナが眠りに付けたのは、夜も深まる頃だった。
寝台脇にあるテーブルの上にはクロイツェルから贈られた髪飾りがあった。
レスティーナは嬉しそうにその髪飾りを見つめながら、静かに瞼を閉じるのだった。
「では、今度の豊穣祭には皆で行きませんこと」
「賛成だ!俺達も友人と行った事がない」
「そうだな。就学前の懇親も兼ねて皆で行こう」
「あっ…でも殿下は……」
「……」
クロイツェルは、既に14才となり、この国の貴族学院に通っている。
貴族学院は中等部から高等部そして専門分野を学ぶ研究室に入る者が通う大学部がある。
クロイツェルは13才から通う中等部に在籍しており、次の春には卒業を控えていた。といってもエスカレーターで高等部に上がるだけなのだが、今の時期は生徒会の引継ぎなどで忙しいのだ。
王族が入学すると、必然的に王族は生徒会に入り、生徒会の運営に携わる事が義務付けられている。
学院は、国に見立た模擬訓練として学生を束ねていく能力を培う為の演習場でもある。
だから、クロイツェルも今は引継ぎで忙しい。
「折角の機会だ。出来るだけ一緒に行けるように努力するよ」
この時は本心からそう思っていた。
15才でデビュタントを迎えるこの国では、子供でいられる時間は後少し……。
友人達と自由に過ごせる時間も残り少ないのだ。クロイツェルは子供でいられる最後の年の豊穣祭を友人やらと楽しく過ごそうと考えていた。
楽しいお茶会も終わり皆が帰った後、クロイツェルはレスティーナに贈り物をした。
「レスティーナ、君に渡したい物があるんだ」
「まあ、なんでしょう」
クロイツェルは小さな包みをレスティーナに渡した。
「中を開けてみて」
そう言われて、レスティーナが中を開けるとそこには髪飾りが入っていた。金色の縁に銀色の薔薇の花にルビーとサファイアの宝石が填め込まれている。それは二人の髪と目の色を表しているようだった。
「殿下…ありがとうございます。大切にしますね」
レスティーナは花の様な微笑みをクロイツェルに向けた。その微笑みはまるで神殿にある女神の像の様だとクロイツェルは思った。
数日後、レスティーナはカインデルが帰国する事になり、王城から公爵家に帰宅する事になった。
その時に国王はゲイルにこれまでのアマンダの所業を全て調べて、「離縁するか領地に幽閉するかを選べ」そう告げられたのだ。
幼いレスティーナを騙して神殿に軟禁した挙句、病弱等といって王家主催の懇親会にも出席させなかった虚偽。
王族を騙した罪としては軽いだろう。そう言われればゲイルも二の句を継げなかった。
アマンダの処分については豊穣祭が終わり次第、領地にて静養という形を取りたいとゲイルは伝えた。例え離縁してもまたゲイルの周りをうろつき、レスティーナやグレイシスに迷惑をかける事は想像するに容易かったからだ。
そして、運命の豊穣祭がやって来た。
豊穣祭は一週間程の日程で毎年行われている。
一日目は、女神クレマンテに豊穣の感謝を込めて神殿で王族一同が会して、式典が行われる。その間、レスティーナは祈りの間で女神と対話するという。だが、実際にレスティーナは女神の声を聞いた事はない。それは比喩的な意味合いのもので単なる儀式の一環にすぎない。
2日目は一般公開される為、レスティーナは女神の神子として参拝者に姿を見せ、祝福を与えるのだ。
本来なら3日目からレスティーナは自由な時間が持てるはずだった。しかし、アマンダの言いつけを守って今までは神殿で過ごしていた。でも今年は違う。友人らと一緒に街の祭りに参加できるのだ。
あまりの嬉しさにレスティーナはその夜、中々寝付けなかった。
カインデルは祭の最終日までには帰って来る。もし間に合ったならカインデルとも祭を一緒に楽しみたいと思っていた。最終日には花火が上がっている。今までは神殿に籠っていた為、実際に見た事もない。とてもきれいだと皆が言っているから、間近で見てみたいとレスティーナは思った。
レスティーナが眠りに付けたのは、夜も深まる頃だった。
寝台脇にあるテーブルの上にはクロイツェルから贈られた髪飾りがあった。
レスティーナは嬉しそうにその髪飾りを見つめながら、静かに瞼を閉じるのだった。
10
あなたにおすすめの小説
ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に
ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。
幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。
だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。
特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。
余計に私が頑張らなければならない。
王妃となり国を支える。
そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。
学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。
なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。
何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。
なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。
はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか?
まぁいいわ。
国外追放喜んでお受けいたします。
けれどどうかお忘れにならないでくださいな?
全ての責はあなたにあると言うことを。
後悔しても知りませんわよ。
そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。
ふふっ、これからが楽しみだわ。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
旦那様、本当によろしいのですか?【完結】
翔千
恋愛
ロロビア王国、アークライド公爵家の娘ロザリア・ミラ・アークライドは夫のファーガスと結婚し、順風満帆の結婚生活・・・・・とは言い難い生活を送って来た。
なかなか子供を授かれず、夫はいつしかロザリアにに無関心なり、義母には子供が授からないことを責められていた。
そんな毎日をロザリアは笑顔で受け流していた。そんな、ある日、
「今日から愛しのサンドラがこの屋敷に住むから、お前は出て行け」
突然夫にそう告げられた。
夫の隣には豊満ボディの美人さんと嘲るように笑う義母。
理由も理不尽。だが、ロザリアは、
「旦那様、本当によろしいのですか?」
そういつもの微笑みを浮かべていた。
心の中にあなたはいない
ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。
一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる