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21.時を戻したのは……
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カインデルは、レスティーナを蘇らせるため、隣国セガールにある賢者の石を探していた。
しかし、そんなものは存在すのかどうかも分からない。何の手がかりもないままに時間だけが過ぎた頃、セガールにある母方の従兄弟ロダンから別の事を聞かされた。
『なあ、お前知らないのか?お前の故郷エイダールには女神クレマンテの石版があるのを…』
『石版…?』
『ああ、何でも時を戻すことが出来るそうだ』
『時を…』
カインデルは知らない。自国エイダールに伝わる女神の石版は王位を継ぐ者…つまり王太子時代に国王自ら口頭でしか伝えられない事を……。なら何故ロダンが知っているんだ?
『今、何で知っているのか不思議に思ったんだろう?それはお目が持っている『神眼』を昔持っていた王族の一人が日記に記して残してあるんだよ。だから王族はその日記をある時期に読まされる。お前も読んでみればいいさ』
『俺が読ませてもらえるのか?』
『当然だ。お前はもう200年以上生まれなかった『神眼』の持ち主なんだから、生きているだけでこのセガールでは生神様扱いだよ。いっそエイダールなんか捨ててこっちにくればいい。王にはなれないが枢機卿にはなれる。どうだ』
いい話だろうとばかにロダンはカインデルに囁いた。
しかし、カインデルはそんなことよりもレスティーナを生き返らす事の方が重要だったのだ。
言い伝えの賢者の石を使っても死んだ者は生き返らないだろう。なら、時を戻せば全てを取り戻せるのではないか?その方がいい。時を戻したら、今度は自分の手でレスティーナを救い出し、手元に置けばいい。
そんな考えが沸々と湧き起って来た。
そうと決まればここにはもう用はない。急いで帰り支度をしているとロダンが部屋に入って来た。
『なあ、手荒真似はしたくなかったんだが仕方がないよな。お前をこのままエイダールに戻すと思っているのか?伯母上の腹から『神眼』を持つ者が生まれると分かっていたなら、彼女を他国に嫁がせなかったのに……』
『そんな事は俺には関係ない』
『関係あるさ。お前が『神眼』を持っている限り、永遠にセガールの者だ!』
ロダンが連れてきた騎士達に合図を送ってカインデルを拘束しようとした。
カインデルも抵抗し、両者の攻防が暫しの間繰り広げられたが、騎士の剣が過ってカインデルの右脇腹を刺してしまったのだ。
『愚か者!全知全能の神イフェルの加護を持つ者を死なせる気か!!神罰が下るぞ!!』
そうロダンが声を上げて怒鳴りつけている時に、カインデルを何か大きな光が包み込んでいた。カインデルは心に中で『エイダールの王城に行きたい』そう呟いた。
光は渦となって、カインデルを呑みこんで消えていったのだ。
カインデルが目を開けるとそこは王城の回廊に立っていた。
先程までは、確かに自分はセガールの従兄弟の所にいたはずだ。誰かが自分を助けてくれた。これが神の慈悲でなければ何だと言うのだろう。しかし最早カインデルに残された時間は僅か、一刻も早く石版の所に辿りつかなければならない。痛む脇腹を手で押さえ、止血しながら歩いて行く。
──目指すは王太子アーロンの元へ……。
レスティーナを取り戻す。その想いだけが瀕死の身体を突き動かしていた。
たまたま、アーロンは誰かに呼ばれたような気がして、夜中に回廊を歩いていた。
そこで出くわしたのだ。腹から血を流して片膝をついているカインデルに……。
『カインデル兄上…』
アーロンはカインデルに駆け寄って、肩を貸そうとした。だが、それよりも早くカインデルの両手がアーロンの襟ぐりを掴み、恐ろしい形相でアーロンを締め付けた。
『アーロン、女神の石版は何処だ!時間が無い、その場所に案内しろ!!』
『ですが兄上あれは緊急時にしか…』
『今がその時だ!!次期に王侯は消滅する。そうなってからでは遅いんだ!!やるなら今しかない。お前も分かっているだろう?あいつのように判断を誤るな』
強い口調で脅しの様な言葉を投げかけられ混乱しながらもアーロンは同調した。
──確かに使うなら今しかないだろう。
アーロンとカインデルは女神の像がある地下への扉を開いたのだ。
しかし、そんなものは存在すのかどうかも分からない。何の手がかりもないままに時間だけが過ぎた頃、セガールにある母方の従兄弟ロダンから別の事を聞かされた。
『なあ、お前知らないのか?お前の故郷エイダールには女神クレマンテの石版があるのを…』
『石版…?』
『ああ、何でも時を戻すことが出来るそうだ』
『時を…』
カインデルは知らない。自国エイダールに伝わる女神の石版は王位を継ぐ者…つまり王太子時代に国王自ら口頭でしか伝えられない事を……。なら何故ロダンが知っているんだ?
『今、何で知っているのか不思議に思ったんだろう?それはお目が持っている『神眼』を昔持っていた王族の一人が日記に記して残してあるんだよ。だから王族はその日記をある時期に読まされる。お前も読んでみればいいさ』
『俺が読ませてもらえるのか?』
『当然だ。お前はもう200年以上生まれなかった『神眼』の持ち主なんだから、生きているだけでこのセガールでは生神様扱いだよ。いっそエイダールなんか捨ててこっちにくればいい。王にはなれないが枢機卿にはなれる。どうだ』
いい話だろうとばかにロダンはカインデルに囁いた。
しかし、カインデルはそんなことよりもレスティーナを生き返らす事の方が重要だったのだ。
言い伝えの賢者の石を使っても死んだ者は生き返らないだろう。なら、時を戻せば全てを取り戻せるのではないか?その方がいい。時を戻したら、今度は自分の手でレスティーナを救い出し、手元に置けばいい。
そんな考えが沸々と湧き起って来た。
そうと決まればここにはもう用はない。急いで帰り支度をしているとロダンが部屋に入って来た。
『なあ、手荒真似はしたくなかったんだが仕方がないよな。お前をこのままエイダールに戻すと思っているのか?伯母上の腹から『神眼』を持つ者が生まれると分かっていたなら、彼女を他国に嫁がせなかったのに……』
『そんな事は俺には関係ない』
『関係あるさ。お前が『神眼』を持っている限り、永遠にセガールの者だ!』
ロダンが連れてきた騎士達に合図を送ってカインデルを拘束しようとした。
カインデルも抵抗し、両者の攻防が暫しの間繰り広げられたが、騎士の剣が過ってカインデルの右脇腹を刺してしまったのだ。
『愚か者!全知全能の神イフェルの加護を持つ者を死なせる気か!!神罰が下るぞ!!』
そうロダンが声を上げて怒鳴りつけている時に、カインデルを何か大きな光が包み込んでいた。カインデルは心に中で『エイダールの王城に行きたい』そう呟いた。
光は渦となって、カインデルを呑みこんで消えていったのだ。
カインデルが目を開けるとそこは王城の回廊に立っていた。
先程までは、確かに自分はセガールの従兄弟の所にいたはずだ。誰かが自分を助けてくれた。これが神の慈悲でなければ何だと言うのだろう。しかし最早カインデルに残された時間は僅か、一刻も早く石版の所に辿りつかなければならない。痛む脇腹を手で押さえ、止血しながら歩いて行く。
──目指すは王太子アーロンの元へ……。
レスティーナを取り戻す。その想いだけが瀕死の身体を突き動かしていた。
たまたま、アーロンは誰かに呼ばれたような気がして、夜中に回廊を歩いていた。
そこで出くわしたのだ。腹から血を流して片膝をついているカインデルに……。
『カインデル兄上…』
アーロンはカインデルに駆け寄って、肩を貸そうとした。だが、それよりも早くカインデルの両手がアーロンの襟ぐりを掴み、恐ろしい形相でアーロンを締め付けた。
『アーロン、女神の石版は何処だ!時間が無い、その場所に案内しろ!!』
『ですが兄上あれは緊急時にしか…』
『今がその時だ!!次期に王侯は消滅する。そうなってからでは遅いんだ!!やるなら今しかない。お前も分かっているだろう?あいつのように判断を誤るな』
強い口調で脅しの様な言葉を投げかけられ混乱しながらもアーロンは同調した。
──確かに使うなら今しかないだろう。
アーロンとカインデルは女神の像がある地下への扉を開いたのだ。
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