【完結】あなた、私の代わりに妊娠して、出産して下さい!

春野オカリナ

文字の大きさ
2 / 2

後編

しおりを挟む
 次の日、私は、王宮魔導士の父に連絡をとると、王宮に夫や義父母と一緒に来るよう連絡がありました。

 「こんな姿、誰にも見せたくない」

 「何でこんなことになったんだ」 

 皆、顔を青くさせてぶつくさ言っていましたが、私は無視していました。

 王宮に来ると、謁見の間に通され、

 「何故、こんなことになったのか?事情を説明しなさい」

 と国王陛下に促され、夫と義父母が説明しました。

 すると、父は真っ赤な顔で今にも部屋を木っ端微塵にしそうな勢いで、怒り狂っていました。

 その横で国王陛下は青ざめていました。

 「はぁ、この国にまだこんな愚か者がいたとは」

 国王陛下の言葉に義父母は、真っ赤に俯いた顔から怒りがにじみ出ています。

 夫は、しょんぼりしてますね。きっと、自分の姿が恥ずかしいのでしょう。

 「まあ、この程度の悪戯で済まされたのは、不幸中の幸いですな」

 宰相閣下がおっしゃいました。

 「宰相、彼らはわかっていない様だから、説明してやってくれ」

 「畏まりました。では、説明させて頂きます。そちらにいらっしゃる伯爵夫人のカテリーナさんは、妖精王のお気に入りなんですよ。彼女の実家は、大変優秀な魔法使いを排出している家系で、しかも皆、妖精と契約できる大変珍しい家なのですな。その上、女の子が生まれると必ず妖精王が求婚しに来る程、稀有な存在なんですよ。」

 「当時、夫人が生まれたらあの『時の鐘』がなり、ヘンゼル家に花弁が空から降り注がれた位でした。」


『時の鐘』とは、妖精が祝福を与えると鳴ると云われているものだ。

 父が続けて、

 「カテリーナは、覚えているかな。15歳の誕生日に一人の青年から求婚された事を、彼が妖精王なんだが、お前は、『普通の人』がいいと断ったんだ。そして、ドロッセル伯爵を選んだ。妖精王の加護は代々、女の子にしか、与えられないんだ。だから、我が家は、女子が生まれると跡継ぎに定められているんだ。」

 そういえば、3人の娘も妖精がついていたわね。

 「でも、伯爵から熱烈な求婚にこちらも折れたんだが、因みに王家以外の高位の貴族から降るような縁談が合ったのに、お前が選んだのは、彼だった」

 何だか、皆落ち込んでいますね。別に夫を愛していますし、本当に普通の人が良かったんですが、今まで、大切にしてもらったし、他所の家の様に愛人もいませんしね。

 「私には、不満はありませんけど。夫と結婚して良かったと思っていますわ。但し、産まれる子供の性別には、口を挟んで欲しくないですわ。産まれる子供には、何も罪はないのですから」

 私が発言すると、夫は顔を綻ばせました。私は昔からこの夫が可愛いいと思ってしまうので、仕方がない。

 「兎に角、今後はよく考えて物を言う様に、つまらない夫婦喧嘩で国が滅んだら、大変な事になるからな」

 国王陛下にそう告げられ、私達は自宅に帰りました。

 義父母は、もう何も言いません。夫は、ひたすら謝ってくれたので、私は、許す事にしました。

 次の日には、元に返り、夫のお腹は引っ込み、代わりに私のお腹が膨れました。

ーーーー4ヶ月後、私は双子の男の子を産みました。どうやら、妖精に気に入られた様で、『時の鐘』が鳴り響きました。

 あれから夫は、更に優しくなりました。

 「すまない、妊娠があんなに大変な事だと思わなかったんだ。二度とあんなバカな事は言わないし、生涯かけて君を愛すると誓うよ」

 と、反省もして、今まで以上に夫婦仲も上々です。

 私達の長女の所に、たまに妖精王の彼がやって来ます。きっとあの子が今のお気に入りなのでしょう。

 妖精は気まぐれもの、大きくなったらあの二人がどうなるかは、まだ分かりません。


 今日も私は、子供達と夫と賑やかな一日を過ごしています。



ーーーー完
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

korosuke
2025.04.28 korosuke

とても楽しく拝読しました。
このような形式は、かなり読みやすくサクサクと読むことができました。
どのストーリーもそれぞれの味わいがあってよかったです。
特に、夫への妊娠変更はたった1日じゃなくもう少し長い期間でもいいのに、なんて思いました。


解除
sanzo
2025.03.04 sanzo

軽く短く、でも面白かったですよ?

ただ、義父母へのキッツイ「ザマァ」が欲しかった!
なんかこー、国王からキッツイお仕置き(数年単位で息子夫婦への接近禁止とか)食らわせたかった(笑)

解除

あなたにおすすめの小説

お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。

四季
恋愛
お前は要らない、ですか。 そうですか、分かりました。 では私は去りますね。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

俺の子供が出来ためでたい?あの……婚約者の私は懐妊していないのですが?

仰木 あん
恋愛
ショートショートです

大切にしていた母の形見のネックレスを妹に奪われましたが、それ以降私と妹の運は逆転しました!

四季
恋愛
大切にしていた母の形見のネックレスを妹に奪われましたが、それ以降私と妹の運は逆転しました!

正妃である私を追い出し、王子は平民の女性と結婚してしまいました。…ですが、後になって後悔してももう遅いですよ?

久遠りも
恋愛
正妃である私を追い出し、王子は平民の女性と結婚してしまいました。…ですが、後になって後悔してももう遅いですよ? ※一話完結です。 ゆるゆる設定です。

姉の婚約者に愛人になれと言われたので、母に助けてと相談したら衝撃を受ける。

佐藤 美奈
恋愛
男爵令嬢のイリスは貧乏な家庭。学園に通いながら働いて学費を稼ぐ決意をするほど。 そんな時に姉のミシェルと婚約している伯爵令息のキースが来訪する。 キースは母に頼まれて学費の資金を援助すると申し出てくれました。 でもそれには条件があると言いイリスに愛人になれと迫るのです。 最近母の様子もおかしい?父以外の男性の影を匂わせる。何かと理由をつけて出かける母。 誰かと会う約束があったかもしれない……しかし現実は残酷で母がある男性から溺愛されている事実を知る。 「お母様!そんな最低な男に騙されないで!正気に戻ってください!」娘の悲痛な叫びも母の耳に入らない。 男性に恋をして心を奪われ、穏やかでいつも優しい性格の母が変わってしまった。 今まで大切に積み上げてきた家族の絆が崩れる。母は可愛い二人の娘から嫌われてでも父と離婚して彼と結婚すると言う。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。