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約束※ジュリアス視点
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雨が降るとあの人との約束を思い出す。
あれは5才の誕生会。
この国は5才になると嫡男は後継者としてのお披露目を行う。
だが、僕の家は少し複雑だった。
普通ならいるはずの両親は、既に亡くなっており、祖父が親代わりとして僕を育てていた。
3才の時、両親は領地に帰る途中で賊に襲われて、死んだのだ。
僕の叔父が自分の息子を後継者にする為に、僕達親子を殺そうと企んだが、叔父の思惑は外れ僕はその日、熱を出していた為、王都のタウンハウスで寝込んでいた。
後から、祖父と一緒に領地に帰る事になっていた。
母はその時、懐妊していてもうすぐ生まれる予定だった。その弟か妹は母と一緒に死んだのだ。
その後、祖父は叔父達一家を処断した。
彼らに毒を飲ませ、流行病で死んだ事になった。
祖父と面会した叔父の言葉が忘れられない。
「お前さえいなければ、息子に跡を継がせられたのだ。お前さえ!!お前が生まれて来なければ良かったんだ。そうすればレニアードがこの家の跡取りだったのに!!」
騎士に強制的に連れられていた叔父は、僕の横を通り過ぎる時、鬼のような形相でそう喚いていた。
両親は長い間、子供に恵まれなかった。半ば諦めかけていた所に、僕が生まれたのだ。
レニアードは3つ年上の従兄だった。その彼も一緒に殺された。優しい兄のような大切な存在だったのに…。
でも本当は彼も叔父と同じで、僕を内心嫌っていたのかもしれない。そう思うと寂しい気持ちになった。
両親の訃報の知らせが届いた時にも雨が降っていた。叔父一家が処断された時も雨が降っていた。
僕にとっては、雨は不幸を運ぶ疫病神の様に思えた。
5才の誕生会で、表情が乏しくなった僕を「冴え凍る君」と呼ぶようになった。意味は分かっている。
夜空に浮かぶ月の様に冴え冴えとした冷たさで人を凍らせる。
使用人達でさえ、僕をそう影で呼んでいた。
居た堪れなくなった僕は庭の植木の隅に隠れたいた。
ぽつりぽつりと滴が頬を伝っているのがわかる。それは雨だった。泣けなくなった僕の代わりに空から僕の涙が落ちてきている様に思えた。
暫くすると、衣擦れの音が聞こえて、俯いていた頭を上げると一人の貴婦人が立っていた。
「こんな所にいるとお風邪を召しますよ。小公子様」
「ほうておいてください」
随分と可愛げのない言葉を返したが、今も感情がないと言われている僕は誰にどういわれようが構わなかった。
「では、あちらで雨を凌ぎましょうか。さあ」
貴婦人はそういって、傘と手を差し出した。吸い寄せられるように僕は彼女の手をとった。
彼女と僕は庭にある小屋で雨が止むのを待っていた。
彼女は、小屋にあった暖炉に火を付けて、僕の濡れた衣服を乾かしてくれた。そして小屋には使用人らが使っているらしいカップやポットが置いてある。暖炉にかけていたケトルのお湯を注いで、お茶を入れてくれた。
慣れた手つきで、僕にコップを差し出した。
その手際の良さに彼女は本当に貴族なのだろうかとぼんやりと考えていた。
「小公子様。お顔にも赤みが戻ってきましたね。良かったですわ」
「なにもよくない。ぼくはぼくはほんとうはいらないこどもだったのかもしれないのに…」
「どうしてそう思うのかは分かりませんが、亡くなられたご両親は小公子様がそのように考えられる事を悲しまれるでしょう。それにわたくしも哀しみますわ」
「そうだろうか。ぼくのせいでおおぜいのひとがいのちをおとしたのに…」
「でも人は前を向いて生きていかなければなりません。亡くなった人たちの為にもそうしなければ、彼らの魂は浮かばれませんわ」
「そんなふうにはおもえない」
「そうかもしれませんが、そう思って彼らの分まで幸せに生きる事が小公子様の償いではないでしょうか」
「いつかそうおもえるようにどりょくする」
「いいえ、努力しなくても案外幸せだと思う事は身近にありますのよ。例えば、こうやって小公子様とお話をしている事がわたくしのささやかな幸せですのよ」
「ほんとうですか?ぼくといてもくつうにならないでしょうか」
「なる訳ありませんわ。小公子様は誰よりも純粋でお優しいのですから」
「ぼくがやさしい?」
そんな事はない。だって本当に優しいのなら、従兄の助命を祖父に願い出れば良かったのに、僕にはその勇気が持てない。
厳格な祖父を前にして縮こまってしまう情けない僕が…。
「小公子様はお優しいから、悩んでおられ後悔しておられる。心が優しくなければ気に病んだりしないでしょう」
そういって、穏やかな微笑みを僕に向けながら、頭を撫でてくれた。
彼女の仕種や言葉に僕は何時の間にか亡くなった母の面影を重ねていたのだろう。
知らない間に僕の視界がぼやけていた。
「泣きたいときは泣けばいいのです。大人になったらそれを恥じだという人がいますが、貴方様はまだ子供なのです」
「ふっ…う…うわああああああーーーん」
堰を切って溢れ出した涙は次から次へと流れて行く。僕は彼女の胸に抱かれながら泣いていた。
僕が泣き止むまで彼女は背中を擦ってくれている。その温もりに身を委ねながら、
「いつかあなたのおんをかえしたい。なまえをおしえてくれませんか?」
「ふふっ、またいつか会えるでしょう。でも、もしわたくしに恩を感じているのなら、それはわたくしの娘に返していただけたらとても嬉しいですわ」
「むすめ…?」
「ええ、もうすぐ4才になるのですが、とてもお転婆で、わたくしに良く似ておりますのよ。会えばわかります。あの子がこの先、なにか大変な事にあったら、助けて欲しいのです。それこそ本の中に出てくるような王子様ように」
「わかりました。おやくそくします」
「わたくしも安心して…」
その後の事は夢現でよく覚えていない。温かな彼女の腕に抱かれている内に次第に瞼が重くなっていった事だけは記憶していた。
遠くで誰かが彼女を「エリー」と呼んでいたことだけははっきりと耳に残っていた。
目が覚めると屋敷の自分の部屋の寝台の上に寝かされていた。
あの時の貴婦人が『エリーロマネ・シンドラー』だと知ったのは、彼女の訃報を聞いた時だった。
その日の空は冬の曇天で、雲の間に光が幾つも射していた。まるでその様子は天から彼女を迎えに来たかのように感じた。
あの日から僕の中で、曇りの日が嫌いになっていた。
そして、あの思い出のお陰で、雨の日が特別なものになった。
だから、僕は雨の日が好きなのだ。
彼女の葬儀の日、祖父と一緒に弔問に訪れたシンドラー侯爵家は閑散とした雰囲気で、大人たちが忙しく働いている中、部屋の隅の方で俯いている女の子を見つけた。
それが、シェリーネだった。
母親の死を理解していないのか。何処か虚ろな瞳には現世が映っていないかのようだった。迷子の様に色を失った瞳を彷徨わせながら遠くを見ているようだった。
声を掛けてみようかと思ったその矢先、シェリーネに近付いた男性が彼女を抱き上げて、
「シェリーネ。疲れただろう。少し休むといいよ」
優しい声音で彼女の頭を撫でながら、部屋を退出していく男性の声に聞き覚えがある。
あの日、「エリー」と呼んでいた声を同じものだった。
僕が広間に飾っている当主の肖像画に目をやれば、そこにはあの日、僕を抱きしめて慰めてくれた女性の肖像画が飾ってあった。
肖像画に描かれていた彼女は、僕の記憶の彼女とは違って、似つかわしくない赤いドレスを纏っていた。
シェリーネの髪の色も赤。だが、エリーロマネの金色の髪や翠の瞳とかけ離れた色に僕は違和感を覚えた。
彼女が赤色のものを好んで身に付けていたことを知るのは、もっと後の事。
この妙な違和感が僕の中で大きく膨らんでいくことになる。
そして、僕らが再び会ったのは貴族学園だった。
あれは5才の誕生会。
この国は5才になると嫡男は後継者としてのお披露目を行う。
だが、僕の家は少し複雑だった。
普通ならいるはずの両親は、既に亡くなっており、祖父が親代わりとして僕を育てていた。
3才の時、両親は領地に帰る途中で賊に襲われて、死んだのだ。
僕の叔父が自分の息子を後継者にする為に、僕達親子を殺そうと企んだが、叔父の思惑は外れ僕はその日、熱を出していた為、王都のタウンハウスで寝込んでいた。
後から、祖父と一緒に領地に帰る事になっていた。
母はその時、懐妊していてもうすぐ生まれる予定だった。その弟か妹は母と一緒に死んだのだ。
その後、祖父は叔父達一家を処断した。
彼らに毒を飲ませ、流行病で死んだ事になった。
祖父と面会した叔父の言葉が忘れられない。
「お前さえいなければ、息子に跡を継がせられたのだ。お前さえ!!お前が生まれて来なければ良かったんだ。そうすればレニアードがこの家の跡取りだったのに!!」
騎士に強制的に連れられていた叔父は、僕の横を通り過ぎる時、鬼のような形相でそう喚いていた。
両親は長い間、子供に恵まれなかった。半ば諦めかけていた所に、僕が生まれたのだ。
レニアードは3つ年上の従兄だった。その彼も一緒に殺された。優しい兄のような大切な存在だったのに…。
でも本当は彼も叔父と同じで、僕を内心嫌っていたのかもしれない。そう思うと寂しい気持ちになった。
両親の訃報の知らせが届いた時にも雨が降っていた。叔父一家が処断された時も雨が降っていた。
僕にとっては、雨は不幸を運ぶ疫病神の様に思えた。
5才の誕生会で、表情が乏しくなった僕を「冴え凍る君」と呼ぶようになった。意味は分かっている。
夜空に浮かぶ月の様に冴え冴えとした冷たさで人を凍らせる。
使用人達でさえ、僕をそう影で呼んでいた。
居た堪れなくなった僕は庭の植木の隅に隠れたいた。
ぽつりぽつりと滴が頬を伝っているのがわかる。それは雨だった。泣けなくなった僕の代わりに空から僕の涙が落ちてきている様に思えた。
暫くすると、衣擦れの音が聞こえて、俯いていた頭を上げると一人の貴婦人が立っていた。
「こんな所にいるとお風邪を召しますよ。小公子様」
「ほうておいてください」
随分と可愛げのない言葉を返したが、今も感情がないと言われている僕は誰にどういわれようが構わなかった。
「では、あちらで雨を凌ぎましょうか。さあ」
貴婦人はそういって、傘と手を差し出した。吸い寄せられるように僕は彼女の手をとった。
彼女と僕は庭にある小屋で雨が止むのを待っていた。
彼女は、小屋にあった暖炉に火を付けて、僕の濡れた衣服を乾かしてくれた。そして小屋には使用人らが使っているらしいカップやポットが置いてある。暖炉にかけていたケトルのお湯を注いで、お茶を入れてくれた。
慣れた手つきで、僕にコップを差し出した。
その手際の良さに彼女は本当に貴族なのだろうかとぼんやりと考えていた。
「小公子様。お顔にも赤みが戻ってきましたね。良かったですわ」
「なにもよくない。ぼくはぼくはほんとうはいらないこどもだったのかもしれないのに…」
「どうしてそう思うのかは分かりませんが、亡くなられたご両親は小公子様がそのように考えられる事を悲しまれるでしょう。それにわたくしも哀しみますわ」
「そうだろうか。ぼくのせいでおおぜいのひとがいのちをおとしたのに…」
「でも人は前を向いて生きていかなければなりません。亡くなった人たちの為にもそうしなければ、彼らの魂は浮かばれませんわ」
「そんなふうにはおもえない」
「そうかもしれませんが、そう思って彼らの分まで幸せに生きる事が小公子様の償いではないでしょうか」
「いつかそうおもえるようにどりょくする」
「いいえ、努力しなくても案外幸せだと思う事は身近にありますのよ。例えば、こうやって小公子様とお話をしている事がわたくしのささやかな幸せですのよ」
「ほんとうですか?ぼくといてもくつうにならないでしょうか」
「なる訳ありませんわ。小公子様は誰よりも純粋でお優しいのですから」
「ぼくがやさしい?」
そんな事はない。だって本当に優しいのなら、従兄の助命を祖父に願い出れば良かったのに、僕にはその勇気が持てない。
厳格な祖父を前にして縮こまってしまう情けない僕が…。
「小公子様はお優しいから、悩んでおられ後悔しておられる。心が優しくなければ気に病んだりしないでしょう」
そういって、穏やかな微笑みを僕に向けながら、頭を撫でてくれた。
彼女の仕種や言葉に僕は何時の間にか亡くなった母の面影を重ねていたのだろう。
知らない間に僕の視界がぼやけていた。
「泣きたいときは泣けばいいのです。大人になったらそれを恥じだという人がいますが、貴方様はまだ子供なのです」
「ふっ…う…うわああああああーーーん」
堰を切って溢れ出した涙は次から次へと流れて行く。僕は彼女の胸に抱かれながら泣いていた。
僕が泣き止むまで彼女は背中を擦ってくれている。その温もりに身を委ねながら、
「いつかあなたのおんをかえしたい。なまえをおしえてくれませんか?」
「ふふっ、またいつか会えるでしょう。でも、もしわたくしに恩を感じているのなら、それはわたくしの娘に返していただけたらとても嬉しいですわ」
「むすめ…?」
「ええ、もうすぐ4才になるのですが、とてもお転婆で、わたくしに良く似ておりますのよ。会えばわかります。あの子がこの先、なにか大変な事にあったら、助けて欲しいのです。それこそ本の中に出てくるような王子様ように」
「わかりました。おやくそくします」
「わたくしも安心して…」
その後の事は夢現でよく覚えていない。温かな彼女の腕に抱かれている内に次第に瞼が重くなっていった事だけは記憶していた。
遠くで誰かが彼女を「エリー」と呼んでいたことだけははっきりと耳に残っていた。
目が覚めると屋敷の自分の部屋の寝台の上に寝かされていた。
あの時の貴婦人が『エリーロマネ・シンドラー』だと知ったのは、彼女の訃報を聞いた時だった。
その日の空は冬の曇天で、雲の間に光が幾つも射していた。まるでその様子は天から彼女を迎えに来たかのように感じた。
あの日から僕の中で、曇りの日が嫌いになっていた。
そして、あの思い出のお陰で、雨の日が特別なものになった。
だから、僕は雨の日が好きなのだ。
彼女の葬儀の日、祖父と一緒に弔問に訪れたシンドラー侯爵家は閑散とした雰囲気で、大人たちが忙しく働いている中、部屋の隅の方で俯いている女の子を見つけた。
それが、シェリーネだった。
母親の死を理解していないのか。何処か虚ろな瞳には現世が映っていないかのようだった。迷子の様に色を失った瞳を彷徨わせながら遠くを見ているようだった。
声を掛けてみようかと思ったその矢先、シェリーネに近付いた男性が彼女を抱き上げて、
「シェリーネ。疲れただろう。少し休むといいよ」
優しい声音で彼女の頭を撫でながら、部屋を退出していく男性の声に聞き覚えがある。
あの日、「エリー」と呼んでいた声を同じものだった。
僕が広間に飾っている当主の肖像画に目をやれば、そこにはあの日、僕を抱きしめて慰めてくれた女性の肖像画が飾ってあった。
肖像画に描かれていた彼女は、僕の記憶の彼女とは違って、似つかわしくない赤いドレスを纏っていた。
シェリーネの髪の色も赤。だが、エリーロマネの金色の髪や翠の瞳とかけ離れた色に僕は違和感を覚えた。
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