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アリスティア編
赤い髪の女
新しい父が母と何か話しているのが聞こえた。
「すまない。アデライト。実はマリエルと別れる時、彼女のお腹に私の子を宿していたのを私は知らなかった。知った時には既に3才になっていた。アリスティアと同い年になる女の子だ。実はこの間、偶然会って大変な苦労をしているからマリエルとその子を引き取りたい。こんな事を言える立場で無いのは解っている。だが、もし…」
「その件については私の一存では決められないわ。父にお伺いを立てないと」
「そうか、無理を言ってすまない」
「でも代りに、私が母から譲り受けた別邸をその方の住まいにしてはどうかしら」
「えっ、本当にいいのか?」
「但し、注意して欲しいの。これはあくまでも私の考えで公爵家としての返答ではないわ。その方に分相応の生活を与える代わりに、それ以上の事を貴方に強請る様な真似をしたら、公爵家が黙っていない事をよく言い聞かせてね」
「分かった。ありがとう。アデライト。君が私の妻で良かったよ」
父は嬉しそうにしていたが、母は何処か寂しそうに見えた。
声を掛けそびれた私が扉の前にいるのに気が付いた母は、私を抱き寄せて額にキスを落とした。新しい父は私の頭を撫でてくれている。ごくありふれたあたり前の日常。
「アリスティア、私には君と同い年の娘がいるんだ。その内、紹介するから仲良くしてくれるかい?とても素直ないい子なんだ」
「ええ、いいわ。私もお友達が欲しかったから」
「そうか、ありがとう」
新しい父は満足そうに微笑んでいた。でも、母の顔は逆に暗く沈んでいくように感じていた。
ある日、母は5才の誕生日に何が欲しいか聞いてきたので、新しい父が言っていた女の子に会いたいと強請った。
母が渋っている様に思えたが、最終的には折れてくれ、一緒に別邸に馬車を走らせた。小さな女の子が好みそうなお菓子やリボンを持って。
別邸に着いたのは昼過ぎだったので、お茶を楽しむのには丁度いい時間だった。
屋敷に着くと、父より年若い執事が出迎えてくれた。でもその視線は値踏みでもするように母と私を見ていた。
不快な視線を向けられて
「この屋敷には貴方以外の使用人はいないのかしら」
母は、遠回しに注意をしていたのだ。
直ぐに家令らしき年配の男性がやってきて
「お嬢様、お久しぶりです。ここへ又お出でになる日が来るなんて夢の様です」
「ええ、母の思い出の詰まったこの屋敷に来るのは、気が重かったのだけれど、昔と変わらず良く手入れされているのね」
懐かしそうに辺りを見まわしながら母は目を細めていた。この時、母は自分の幼い頃を思い出していたのだろう。
別邸は元々、祖母の実家である侯爵家の所有物で、祖母が嫁ぐ時の持参金の目録にあったものだった。それを母は祖母が亡くなった時に相続した。
母は幼い頃、この別邸で過ごしていた。体が弱かった母は静かな佇まいのこの別邸で静養を兼ねて祖母と過ごした。この家令はその時から母を知っている古参の者。
「ああ、こちらがアリスティアお嬢様ですね。亡きローフェル様に良く似ておられる。さぞかし伯爵様もお慶びでしょう」
「ええ、でも伯爵家とはある約束で、この子には直接会えないのよ。だから毎年この子の誕生日にだけお呼びしてるの。それも実の祖父母だとは伝えない様にしてね」
「はい、わかりました」
「ところで、何か困った事や必要な物はない?あちらの方とも上手くやっていけているの?」
「まあ、なんとか。お連れ様は平民出の方なので、些細な行き違いや貴族社会にまだ不慣れな点がありますが、お嬢様に助けを求める程ではありません」
「そう、何かあったら知らせてね。ローフェルの弟の恋人と娘なんだから、大切に仕えてほしいの」
「畏まりました。誠心誠意仕えさせて頂きます」
「ありがとう。母が信頼していた家令のトーマスにしか頼めないから、宜しくお願いするわ」
先ほどの執事が
「実はお嬢様は旦那様とお出かけになっておられ、奥様も今日は朝から気分が悪いと臥せっておられます」
「そう、こちらも急に先触れもなく来たのだから仕方がないわ。アリスティア」
「これ、お父様の娘さんに渡して下さい」
持ってきたお菓子とリボンを渡した。
帰ろうとしたら、何だかトイレに行きたくなって、家令に場所を教えられて用を足して帰ろうとした時に誰かの話し声が聞こえてきた。
「ふふ、いけない女だな。あんたは、旦那が留守の時にこんなことをして」
「あら、いいじゃない。昔のよしみで雇ってあげたのよ。その恩に報いるぐらいなんでもないでしょう」
開いていた扉の隙間から男女の縺れ合う姿が見えていた。
子供の私にはその悍ましい光景がどういう物なのかはわかっていなかったが、
「仮病を使って会いたくないのか。いい女だぞ。一度是非お相手を願いたいぐらいだよ」
「ふん。生まれが高貴なただの女よ。私と比べれば価値のない病弱な女」
「やけに突っかかってくるな。何かあるのか」
「大有りよ。折角、オーウェンを誘惑して手に入れたのに、オーウェンは結局あの赤毛の忌々しい女と結婚した。オーウェンがずっと兄の婚約者だった赤毛の女を密かに想っていたことは知っていたけれど、まさか兄が死んだ途端、後釜に治まる程とは思っていなかった。計算が違ったわ。伯爵家も私に涙金を積んで、『私のような女がオーウェンの傍にいると兄の結婚に障るから』無理矢理別れさせた。失恋の痛手を慰めてあげると近寄って誘惑したのに」
「結構、悪なんだな。まあ、見かけの儚げな容姿に騙される男は大勢いただろう」
「ええ、まあね。その中でもオーウェンは貴族だから、贅沢をさせてくれるから手放せないわ。偶然を装って近づいて、子供がいるっていったら、自分の子供だと信じて疑わなかった」
「じゃあ、あの子は他の男の子供なのか?」
「ふふ、誰の子か分からないわ。酒場で働いていたから、そういう関係になる男もいたから」
「まるでカッコウだな。他人の家に子供を押し付けて育てさせる。あの鳥の様だ。まったく大した悪女だな」
「それは褒め言葉と取っていいのかしら。この世は金よ。狡賢い者が支配するのよ。私の見かけに騙される方が悪いのよ」
クスクスと父と母を嘲笑うその赤い唇。
「あら、扉が開いてるわ。きちんとしめないとダメじゃない」
そう言って、私のいる扉に近付いてくる。
「あら、泥棒猫の子猫が一匹こんな所にいるわ。ダメよ。いけない子ね。お仕置きしなくちゃね。ふふ、何がいいかしら。ああ、いい物が丁度あった。ほらこれなんかいいでしょう」
「はは、そりゃあ、物凄い悪趣味だな」
ゲラゲラと下品に笑う男と赤い髪をした女。
その女は、私を部屋に引きずり込み、扉の鍵を閉めた。
---ああ、貴女はなんてオーウェンに似ているの。その赤い髪とエメラルドの瞳が無ければ生き写しなのに残念ね。あの澄ました憎らしい女にそっくりよ!---
赤い髪の鬘をつけ、長い爪を赤く染め、真っ赤な唇はまるで童話に出てくる魔女の様。
そうだ、あの呪いの言葉で縛っていたのは母ではなかった。
あの日から私を縛り付けたのは魔女だったのだ。
赤い爪で私の顔の輪郭をなぞりながら、クスクスと獲物をいたぶる捕食者の様な狂気の目を私に向けながら……。
その後、私は叫び声をあげて気を失った。目が覚めた時にその日遭った事を忘れていたのだ。
私の【記憶欠乏症】はこの時から始まった。
「すまない。アデライト。実はマリエルと別れる時、彼女のお腹に私の子を宿していたのを私は知らなかった。知った時には既に3才になっていた。アリスティアと同い年になる女の子だ。実はこの間、偶然会って大変な苦労をしているからマリエルとその子を引き取りたい。こんな事を言える立場で無いのは解っている。だが、もし…」
「その件については私の一存では決められないわ。父にお伺いを立てないと」
「そうか、無理を言ってすまない」
「でも代りに、私が母から譲り受けた別邸をその方の住まいにしてはどうかしら」
「えっ、本当にいいのか?」
「但し、注意して欲しいの。これはあくまでも私の考えで公爵家としての返答ではないわ。その方に分相応の生活を与える代わりに、それ以上の事を貴方に強請る様な真似をしたら、公爵家が黙っていない事をよく言い聞かせてね」
「分かった。ありがとう。アデライト。君が私の妻で良かったよ」
父は嬉しそうにしていたが、母は何処か寂しそうに見えた。
声を掛けそびれた私が扉の前にいるのに気が付いた母は、私を抱き寄せて額にキスを落とした。新しい父は私の頭を撫でてくれている。ごくありふれたあたり前の日常。
「アリスティア、私には君と同い年の娘がいるんだ。その内、紹介するから仲良くしてくれるかい?とても素直ないい子なんだ」
「ええ、いいわ。私もお友達が欲しかったから」
「そうか、ありがとう」
新しい父は満足そうに微笑んでいた。でも、母の顔は逆に暗く沈んでいくように感じていた。
ある日、母は5才の誕生日に何が欲しいか聞いてきたので、新しい父が言っていた女の子に会いたいと強請った。
母が渋っている様に思えたが、最終的には折れてくれ、一緒に別邸に馬車を走らせた。小さな女の子が好みそうなお菓子やリボンを持って。
別邸に着いたのは昼過ぎだったので、お茶を楽しむのには丁度いい時間だった。
屋敷に着くと、父より年若い執事が出迎えてくれた。でもその視線は値踏みでもするように母と私を見ていた。
不快な視線を向けられて
「この屋敷には貴方以外の使用人はいないのかしら」
母は、遠回しに注意をしていたのだ。
直ぐに家令らしき年配の男性がやってきて
「お嬢様、お久しぶりです。ここへ又お出でになる日が来るなんて夢の様です」
「ええ、母の思い出の詰まったこの屋敷に来るのは、気が重かったのだけれど、昔と変わらず良く手入れされているのね」
懐かしそうに辺りを見まわしながら母は目を細めていた。この時、母は自分の幼い頃を思い出していたのだろう。
別邸は元々、祖母の実家である侯爵家の所有物で、祖母が嫁ぐ時の持参金の目録にあったものだった。それを母は祖母が亡くなった時に相続した。
母は幼い頃、この別邸で過ごしていた。体が弱かった母は静かな佇まいのこの別邸で静養を兼ねて祖母と過ごした。この家令はその時から母を知っている古参の者。
「ああ、こちらがアリスティアお嬢様ですね。亡きローフェル様に良く似ておられる。さぞかし伯爵様もお慶びでしょう」
「ええ、でも伯爵家とはある約束で、この子には直接会えないのよ。だから毎年この子の誕生日にだけお呼びしてるの。それも実の祖父母だとは伝えない様にしてね」
「はい、わかりました」
「ところで、何か困った事や必要な物はない?あちらの方とも上手くやっていけているの?」
「まあ、なんとか。お連れ様は平民出の方なので、些細な行き違いや貴族社会にまだ不慣れな点がありますが、お嬢様に助けを求める程ではありません」
「そう、何かあったら知らせてね。ローフェルの弟の恋人と娘なんだから、大切に仕えてほしいの」
「畏まりました。誠心誠意仕えさせて頂きます」
「ありがとう。母が信頼していた家令のトーマスにしか頼めないから、宜しくお願いするわ」
先ほどの執事が
「実はお嬢様は旦那様とお出かけになっておられ、奥様も今日は朝から気分が悪いと臥せっておられます」
「そう、こちらも急に先触れもなく来たのだから仕方がないわ。アリスティア」
「これ、お父様の娘さんに渡して下さい」
持ってきたお菓子とリボンを渡した。
帰ろうとしたら、何だかトイレに行きたくなって、家令に場所を教えられて用を足して帰ろうとした時に誰かの話し声が聞こえてきた。
「ふふ、いけない女だな。あんたは、旦那が留守の時にこんなことをして」
「あら、いいじゃない。昔のよしみで雇ってあげたのよ。その恩に報いるぐらいなんでもないでしょう」
開いていた扉の隙間から男女の縺れ合う姿が見えていた。
子供の私にはその悍ましい光景がどういう物なのかはわかっていなかったが、
「仮病を使って会いたくないのか。いい女だぞ。一度是非お相手を願いたいぐらいだよ」
「ふん。生まれが高貴なただの女よ。私と比べれば価値のない病弱な女」
「やけに突っかかってくるな。何かあるのか」
「大有りよ。折角、オーウェンを誘惑して手に入れたのに、オーウェンは結局あの赤毛の忌々しい女と結婚した。オーウェンがずっと兄の婚約者だった赤毛の女を密かに想っていたことは知っていたけれど、まさか兄が死んだ途端、後釜に治まる程とは思っていなかった。計算が違ったわ。伯爵家も私に涙金を積んで、『私のような女がオーウェンの傍にいると兄の結婚に障るから』無理矢理別れさせた。失恋の痛手を慰めてあげると近寄って誘惑したのに」
「結構、悪なんだな。まあ、見かけの儚げな容姿に騙される男は大勢いただろう」
「ええ、まあね。その中でもオーウェンは貴族だから、贅沢をさせてくれるから手放せないわ。偶然を装って近づいて、子供がいるっていったら、自分の子供だと信じて疑わなかった」
「じゃあ、あの子は他の男の子供なのか?」
「ふふ、誰の子か分からないわ。酒場で働いていたから、そういう関係になる男もいたから」
「まるでカッコウだな。他人の家に子供を押し付けて育てさせる。あの鳥の様だ。まったく大した悪女だな」
「それは褒め言葉と取っていいのかしら。この世は金よ。狡賢い者が支配するのよ。私の見かけに騙される方が悪いのよ」
クスクスと父と母を嘲笑うその赤い唇。
「あら、扉が開いてるわ。きちんとしめないとダメじゃない」
そう言って、私のいる扉に近付いてくる。
「あら、泥棒猫の子猫が一匹こんな所にいるわ。ダメよ。いけない子ね。お仕置きしなくちゃね。ふふ、何がいいかしら。ああ、いい物が丁度あった。ほらこれなんかいいでしょう」
「はは、そりゃあ、物凄い悪趣味だな」
ゲラゲラと下品に笑う男と赤い髪をした女。
その女は、私を部屋に引きずり込み、扉の鍵を閉めた。
---ああ、貴女はなんてオーウェンに似ているの。その赤い髪とエメラルドの瞳が無ければ生き写しなのに残念ね。あの澄ました憎らしい女にそっくりよ!---
赤い髪の鬘をつけ、長い爪を赤く染め、真っ赤な唇はまるで童話に出てくる魔女の様。
そうだ、あの呪いの言葉で縛っていたのは母ではなかった。
あの日から私を縛り付けたのは魔女だったのだ。
赤い爪で私の顔の輪郭をなぞりながら、クスクスと獲物をいたぶる捕食者の様な狂気の目を私に向けながら……。
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