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王家の秘密
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俺は、物心ついた時から何処か家の中で居心地の悪さを感じていた。それが何かは、弟達が生まれた時にわかった。
両親の俺に対する接し方と弟達では、違っていた。よそよそしい態度や距離を置かれた。無条件に愛される弟や妹が羨ましかった。
だが、そんな事は当たり前だ。俺は両親の実の子では無いのだから…
あれは、18歳の学園を卒業した日、両親から自分の出生の秘密を聞かされた。
「今から話すことは他言無用だ。決して約束を違えてはいけない。お前の命に関わることになるからだ」
父ダンドーラ公爵は、俺に釘を刺した。
「お前の本当の両親は、今は亡きアルバトロス大公閣下だ」
「えっ、亡くなられた王弟殿下ですか?じゃあ母親は、誰なんです」
「母親は、市勢で育った王女アマーリエ様だ。二人は叔母と甥の間柄だ。お前は、王家の禁断の子供なのだ」
「俺は生まれて来てはいけなかったのですか?」
「違います。そんな事はありません」
俺の言葉に母は、勢いよく否定した。
ーーーそれから、父に呼ばれた乳母が真実を語った。
真の父 アントニオ・アルバトロス大公
真の母 アマーリエ
アントニオ大公は、現国王陛下の同母弟だった。
先王の王妃は『ビクトリア女王』と呼ばれる程の女傑なのだ。
『ビクトリア女王』とは、実在した第十代女王でその治世は、王国の基盤を作り、女性差別や職業の安定等、国に貢献した名君として知られている。没後、優れた王妃等に贈られる尊称なのだ。
確かに先王の王妃マーガレット・ハウエル元伯爵令嬢は、沈着冷静にして、先見の明があり、国道や水道の整備、女性の学業の向上等、王の右腕として国に貢献した。
先々王の時代に無謀な戦争や度重なる飢饉で国力は低下の一途を辿っていた。そこで伯爵家の出ながら、その知性を買われ王妃として彼女を選定した。
だが、そんな彼女にも唯一の欠点があった。嫁いだ時は、良かった夫婦仲も時と共に移ろい、先王は、多くの女に手を出したのだ。政務に忙しかった彼女もそれに関しては黙認していた。しかし、側妃や愛人から子が生まれる事はなかった。例え生まれても成人まで生きた者は、彼女の二人の王子と王女の三人だけだった。
ーーー子を身籠ったら、『ビクトリア女王』から逃げなくてはいけないーーー
誠密やかに囁かれていた噂話だった。
それは、現実で彼女は王が生理的欲求で女と交わることは黙認したが、子を産むことは許していなかった。
長年、為政者として君臨していた彼女の矜持が許さなかった。
苦労して傾きかけた国を我が子に譲りたい気持ちは理解はできるかもしれない。
彼女は、やり過ぎた。王も彼女の暴挙に拍車をかけるように女と関係を持ち続けた。その結果、王宮のメイドの一人を孕ませ、放置した。メイドは『ビクトリア女王』の悋気に触れるのを畏れて、市勢へ身を隠した。
王はメイドに王族の証を渡してあった。無事生まれればそれなりの待遇を考えていたようだが、それも徒労に終わった。
メイドは女の子を出産して亡くなった。
その女の子がアマーリエであった。
アマーリエは、孤児院で育ち、子供のいない裕福な商家に引き取られた。
そして、学園でアントニオと恋に落ちた。
二人が自分達の定めに気がついた時には、既にアマーリエのお腹には、ウィストンが宿っていた。
『ビクトリア女王』が夫の不貞の子供を見逃すはすがなかった。実の我が子ですら、兄王の妨げになると葬ったのだから。
表向きには、病死だが余りにも突然の若い死に多くの人間が疑問を持ったが、逆らうものは誰もいなかった。
恋人の死と殺されるかも知れない恐怖と心労でアマーリエは、衰弱していった。
父王は、ある二つの公爵家に使いを出し、生まれてくる子の身の安全を頼んだ。死を前にした王には、妻の凶行を抑える力など無かった。
二つの公爵家は、同じ時期に懐妊中の妻がいた。だから、実子として育てるよう頼んだ。
クリーク公爵の子は無事生まれたが、ダンドーラ公爵の子は死産だった。ウィストンは、死んだ子と取り換えられた。
夫人には、ウィストンが五歳の時に真実を明かした。
両親の俺に対する接し方と弟達では、違っていた。よそよそしい態度や距離を置かれた。無条件に愛される弟や妹が羨ましかった。
だが、そんな事は当たり前だ。俺は両親の実の子では無いのだから…
あれは、18歳の学園を卒業した日、両親から自分の出生の秘密を聞かされた。
「今から話すことは他言無用だ。決して約束を違えてはいけない。お前の命に関わることになるからだ」
父ダンドーラ公爵は、俺に釘を刺した。
「お前の本当の両親は、今は亡きアルバトロス大公閣下だ」
「えっ、亡くなられた王弟殿下ですか?じゃあ母親は、誰なんです」
「母親は、市勢で育った王女アマーリエ様だ。二人は叔母と甥の間柄だ。お前は、王家の禁断の子供なのだ」
「俺は生まれて来てはいけなかったのですか?」
「違います。そんな事はありません」
俺の言葉に母は、勢いよく否定した。
ーーーそれから、父に呼ばれた乳母が真実を語った。
真の父 アントニオ・アルバトロス大公
真の母 アマーリエ
アントニオ大公は、現国王陛下の同母弟だった。
先王の王妃は『ビクトリア女王』と呼ばれる程の女傑なのだ。
『ビクトリア女王』とは、実在した第十代女王でその治世は、王国の基盤を作り、女性差別や職業の安定等、国に貢献した名君として知られている。没後、優れた王妃等に贈られる尊称なのだ。
確かに先王の王妃マーガレット・ハウエル元伯爵令嬢は、沈着冷静にして、先見の明があり、国道や水道の整備、女性の学業の向上等、王の右腕として国に貢献した。
先々王の時代に無謀な戦争や度重なる飢饉で国力は低下の一途を辿っていた。そこで伯爵家の出ながら、その知性を買われ王妃として彼女を選定した。
だが、そんな彼女にも唯一の欠点があった。嫁いだ時は、良かった夫婦仲も時と共に移ろい、先王は、多くの女に手を出したのだ。政務に忙しかった彼女もそれに関しては黙認していた。しかし、側妃や愛人から子が生まれる事はなかった。例え生まれても成人まで生きた者は、彼女の二人の王子と王女の三人だけだった。
ーーー子を身籠ったら、『ビクトリア女王』から逃げなくてはいけないーーー
誠密やかに囁かれていた噂話だった。
それは、現実で彼女は王が生理的欲求で女と交わることは黙認したが、子を産むことは許していなかった。
長年、為政者として君臨していた彼女の矜持が許さなかった。
苦労して傾きかけた国を我が子に譲りたい気持ちは理解はできるかもしれない。
彼女は、やり過ぎた。王も彼女の暴挙に拍車をかけるように女と関係を持ち続けた。その結果、王宮のメイドの一人を孕ませ、放置した。メイドは『ビクトリア女王』の悋気に触れるのを畏れて、市勢へ身を隠した。
王はメイドに王族の証を渡してあった。無事生まれればそれなりの待遇を考えていたようだが、それも徒労に終わった。
メイドは女の子を出産して亡くなった。
その女の子がアマーリエであった。
アマーリエは、孤児院で育ち、子供のいない裕福な商家に引き取られた。
そして、学園でアントニオと恋に落ちた。
二人が自分達の定めに気がついた時には、既にアマーリエのお腹には、ウィストンが宿っていた。
『ビクトリア女王』が夫の不貞の子供を見逃すはすがなかった。実の我が子ですら、兄王の妨げになると葬ったのだから。
表向きには、病死だが余りにも突然の若い死に多くの人間が疑問を持ったが、逆らうものは誰もいなかった。
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夫人には、ウィストンが五歳の時に真実を明かした。
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