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出会い
第1話 挨拶
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レクタゴ国の王宮は過去で1番と言ってもいいほど忙しかった。
今日、隣国の王女であり、世界最高の魔術師であるマヌエラが来訪するからだ。
エルヴィンはベッドに横たわっていて、今にも死にそうな雰囲気を作っていた。
「面白いですね。今ならエルヴィン様を殺して王位継承権貰えそうですね。」
ルーファスが嫌味を言う。エルヴィンはいつもより鋭くなった眼光で睨みつけた。
「お前は部屋から出ていろ!マヌエラに会ってはいけない。もしマヌエラがお前を見かけたことがあるなんて言い出したら、国の問題に発展するからな!」
「こじつけですね。嫉妬しているんでしょう?可愛い可愛いマヌエラの様子を自分で見れないから。」
「…」
マルクスが入ってきた。
ルーファスはもう部屋から消えていた。
「殿下!マヌエラ様がご到着されました!今客室にご案内しています。この後はどうされますか?」
エルヴィンは、マヌエラに心配されたいという欲が出てきた。計画とは違うが、倒れたら心配してくれるだろうか。
「マルクス、すまない。計画変更だ。俺が今からマヌエラに挨拶してくる。お前たちは部屋の外で待っていろ。頼む。」
「え?…全く何を考えているんだか…。くれぐれもマヌエラ様の気分を悪くしないようお願い致しますね。」
「そんなことは言われなくても分かっている。」
_______________________________
_______________
「すみません、すぐお迎えしようと思っていたのですが。」
エルヴィンがマヌエラに声をかけた。
「いえ?この客室は快適でしたよ。お気遣い頂きありがとうございます。」
マヌエラが機械的に返事を返す。
客室が静まってしまい、とても気まずい空気が流れた。
そこでふと、マヌエラが疑問に思った。
「…?王太子殿下は立っていられないほどの難病なのではないのですか?元気そうですね。」
「あ…いや……私の病気を治してくれるような天才のあなたに失礼なことはしたくなかったので。」
「大丈夫なのですか?辛かったら、寝ていても平気ですよ。というか、寝てください!心配です!」
エルヴィンは影でニンマリした。マヌエラが可愛すぎる。やはり、性格も可愛かった。
もうレクタゴ国からは出さないでおこう。
「さて、本題ですが…。殿下はどのような病気にかかっておられるのでしょうか?」
「あ…ここでは失礼なので、私の執務室に移動しながら話しましょう。お互い王族という立場ですので、気遣いは不要ですよ。エルヴィンとでも呼んでください。」
「分かりました、エルヴィン。私のこともマヌエラなどと呼んでいただいて結構です。
案内をお願いします。ただエルヴィンは今、病人ですので無理はなさらぬように。」
そう言ってマヌエラは満開の花のように微笑んだ。「ベルク国の薔薇」とはこの微笑みに由来しているのだろう。
エルヴィンは今、演技ではなく本気で倒れそうだった。心臓にマヌエラの全てが刺さったのだ。いや、元々刺さっていたものがもっと深いところに刺さったという感じか。
「はぁ…はぁ…では行きましょう。こちらです。」
「大丈夫なのですか?息切れされていますよ!辛いなら辛いとおっしゃって下さらないと!」
マヌエラはなんとエルヴィンの背中をさすったのだ。予期せぬ事態に、エルヴィンは息をするのを忘れていた。
「あっ!申し訳ありません。不用意に触れるほど親しい関係ではないということを忘れていました。」
"親しい関係ではない"という言葉が、またエルヴィンの心に突き刺さる。
こんなに自分のことを振り回す女性は初めてだとエルヴィンは思った。
マヌエラは真っ赤な顔になっていて、可愛らしい。マヌエラにさっきまで顔を覗き込まれていたので、まだ顔が近くにあった。
エルヴィンはキスしようとするのを妄想にとどめ、我慢した。
今日、隣国の王女であり、世界最高の魔術師であるマヌエラが来訪するからだ。
エルヴィンはベッドに横たわっていて、今にも死にそうな雰囲気を作っていた。
「面白いですね。今ならエルヴィン様を殺して王位継承権貰えそうですね。」
ルーファスが嫌味を言う。エルヴィンはいつもより鋭くなった眼光で睨みつけた。
「お前は部屋から出ていろ!マヌエラに会ってはいけない。もしマヌエラがお前を見かけたことがあるなんて言い出したら、国の問題に発展するからな!」
「こじつけですね。嫉妬しているんでしょう?可愛い可愛いマヌエラの様子を自分で見れないから。」
「…」
マルクスが入ってきた。
ルーファスはもう部屋から消えていた。
「殿下!マヌエラ様がご到着されました!今客室にご案内しています。この後はどうされますか?」
エルヴィンは、マヌエラに心配されたいという欲が出てきた。計画とは違うが、倒れたら心配してくれるだろうか。
「マルクス、すまない。計画変更だ。俺が今からマヌエラに挨拶してくる。お前たちは部屋の外で待っていろ。頼む。」
「え?…全く何を考えているんだか…。くれぐれもマヌエラ様の気分を悪くしないようお願い致しますね。」
「そんなことは言われなくても分かっている。」
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「すみません、すぐお迎えしようと思っていたのですが。」
エルヴィンがマヌエラに声をかけた。
「いえ?この客室は快適でしたよ。お気遣い頂きありがとうございます。」
マヌエラが機械的に返事を返す。
客室が静まってしまい、とても気まずい空気が流れた。
そこでふと、マヌエラが疑問に思った。
「…?王太子殿下は立っていられないほどの難病なのではないのですか?元気そうですね。」
「あ…いや……私の病気を治してくれるような天才のあなたに失礼なことはしたくなかったので。」
「大丈夫なのですか?辛かったら、寝ていても平気ですよ。というか、寝てください!心配です!」
エルヴィンは影でニンマリした。マヌエラが可愛すぎる。やはり、性格も可愛かった。
もうレクタゴ国からは出さないでおこう。
「さて、本題ですが…。殿下はどのような病気にかかっておられるのでしょうか?」
「あ…ここでは失礼なので、私の執務室に移動しながら話しましょう。お互い王族という立場ですので、気遣いは不要ですよ。エルヴィンとでも呼んでください。」
「分かりました、エルヴィン。私のこともマヌエラなどと呼んでいただいて結構です。
案内をお願いします。ただエルヴィンは今、病人ですので無理はなさらぬように。」
そう言ってマヌエラは満開の花のように微笑んだ。「ベルク国の薔薇」とはこの微笑みに由来しているのだろう。
エルヴィンは今、演技ではなく本気で倒れそうだった。心臓にマヌエラの全てが刺さったのだ。いや、元々刺さっていたものがもっと深いところに刺さったという感じか。
「はぁ…はぁ…では行きましょう。こちらです。」
「大丈夫なのですか?息切れされていますよ!辛いなら辛いとおっしゃって下さらないと!」
マヌエラはなんとエルヴィンの背中をさすったのだ。予期せぬ事態に、エルヴィンは息をするのを忘れていた。
「あっ!申し訳ありません。不用意に触れるほど親しい関係ではないということを忘れていました。」
"親しい関係ではない"という言葉が、またエルヴィンの心に突き刺さる。
こんなに自分のことを振り回す女性は初めてだとエルヴィンは思った。
マヌエラは真っ赤な顔になっていて、可愛らしい。マヌエラにさっきまで顔を覗き込まれていたので、まだ顔が近くにあった。
エルヴィンはキスしようとするのを妄想にとどめ、我慢した。
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