【完結】色欲の悪魔は学園生活に憧れる

なかじ

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第一部

17※ 有×夏義

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 屋上の庭園は朝は少し寒いが運動するには丁度良い。
 夏は屋上の給水塔の壁に腕をつきながら身体を震わせて射精していた。夏の尻には俺の性器が刺さり、その入口からは俺の精液が滴り落ちている。苦しそうに嗚咽のような喘ぎを漏らす夏の声を聞きながら、俺は再び腰をユサユサと大きく揺すり始める。

「ひっ……っぐっ!」
「声を聞かせたくないとはまたいじらしい」

 夏は俺の快感増幅のせいか数回達した後に一度意識が吹っ飛んでしまい、それを無理矢理叩き起こして今に至る。催淫効果のある俺の精液を尻に入れられているのに、何とか歯を食いしばって快感や喘ぎを堪らえようとしていて驚いた。普通の人間ならよがり狂っているところだ。耐性がつくのが早いタイプなのかもしれない。

「俺、なんっ……おかし、いッ! いやだっ……!」
「尻が気持ちよいのはおかしなことじゃないぞ。男ならみんなそうだ」

 俺の性器は夏の身体に合わせて通常より少し大きめ目に勃起させている。人間の身体でできるか不安だったが、まぁなんとかなるものだ。太くなった性器は何となく感度が悪い気がして、いつもより激しく行き来してより沢山の快感を得ようとする。

「っは、はぁ! んぁっ! きもちいっ……! いぃっ! いぃぃぃ!!」
「あぁ、可愛い可愛い。おやまたイッてしまっているな」

 夏はもう何度目かもわからないほど達している。身体を弛緩させ、ぼたぼたと精液を零して足元を真っ白に彩っていた。歯を食いしばる際に失敗したのか、夏は唇を噛んでしまって流血している。その血が足元に落ちれば精液の白と混ざって、破瓜のようだった。

「っはぁ……も、嫌だッ……」
「そんな寂しいことを言わないでくれ。もっと可愛がってやろう。夏、ほぅら、尻を突き出せ。はらの中をかき混ぜてやる」
「ひ、ァ、ああああっ! あ、もっ……許し、てっ!!」
「あぁ、夏。可愛い。温かい。夏、気持ちが良い」

 俺の性器がドロドロになった夏の胎内なかを突き進む。熱い襞が絡みつき欲しい欲しいと俺の性器を締め付けてくる。何度も夏の中を抉り、奥へと精を吐き出す。しかしこれだけでは足りないと俺は夏を抱きしめながら何度も腰を動かし続けた。

「ひぅ……っふー……んぅ……あっ……あ、るぅ……あるぅ……」
「よしよし。あともう一回だけ頼むぞ」
「っはぁ、ある、好きだ、好きぃっ!」
「俺も好きだぞ、夏」

 夏が泣くほど俺を欲しているのが嬉しい。嬉しくて嬉しくて、夏が欲しくて堪らなくなって、感情に任せて夏を抱く。切なげに呼ぶ声に背筋が震えた。もっと求めればいい。欲望のままに。誰しも欲望の前では理性という皮をかぶってはいられない。ここまでおいで、と俺は口角を上げる。 そのまま夏の中にドロリとした欲を吐き出した。





+++





 事が終わった後、夏はベンチで俺の膝を枕に横になっていた。身体はすっかり落ち着いたらしく、服も問題なく着れるようだった。硬いベンチは痛いだろうと俺は夏の唇にキスして治癒魔法をかける。俺の魔力が行き渡った夏の体なら回復は早いはずだ。その証拠に唇の傷は血の痕すらなくなっていた。

「夏、体は大丈夫か?」
「あぁ……」

 夏は今にも舌打ちしそうな仏頂面だったが、小さく頷いた。俺は夏を労わるように髪を撫でる。初めて受け身になったというのに沢山無理させてしまった。しかしやはり初物は良い。イウディネのお仕置きが帳消しになるほどすっきりし、身体の隅々まで力が漲っていた。

「ん?」

 ブルル、と太股に振動を感じ、俺はポケットからスマートフォンを取り出す。差出人はイウディネだ。イウディネからは『帰ったらお話があります。リングは忘れず持ち帰ってください。失くしたなどという言い訳はききません』という死刑宣告メールがきていた。ひん、と俺の尻が思わずキュっと締まる。

「有、お前は……」

 夏に声をかけられ、俺はスマートフォンをポケットにしまう。夏は小さな声で『お前は誰を選ぶんだ?』と問いかけてきた。その表情にはいつもの威勢も元気もない。年相応の少年の顔をしていた。

「生憎俺は誰のものにもならない。思い込みたいなら話は別だが、夏はそういうのは嫌そうだしな。嘘はつかない」

 夏は俺の言葉に傷ついたようだったが、必死に顔に出すまいとしていた。そのせいか眉間の皺は深まり、いつも以上に強面になってしまっている。俺はその眉間を指先で押しながら、出来うる限り優しく微笑んでみせた。

「だから、お前のものにはならんが、春樹のものにもならない」
「……」

 夏は俺の腰に腕を回して抱きついてきた。大きな子供ができたような気分だ。よしよし、と背中や腕を撫で擦り甘やかす。

「それで俺はお前のもの、なんて……都合がよくねぇか?」
「そうだな」
「……」

 俺は誰か一人のものになるということが未だにわからない。貞淑を貫けと言われるのはとてもじゃないが無理だ。俺は本当だったら毎日毎時間いつまでもいやらしいことをしていたい身体で、今は人間界を楽しみたいという欲望と人間の体の制約で落ち着いているにすぎない。本来の俺は同じ悪魔であるイウディネすら一人では手に余る。人間一人では何もかもが足りない。

「有、わかったから、しけた面してんじゃねぇよ」

 俺は困ったと顔に出ていたのだろう。いつの間にか俺を見上げていた夏が笑いながら俺の頬を撫でていた。慰められている気持ちになり、俺は夏の手を上から握り込む。

「今はそれで良い。俺から離れんなよ」

 夏はそれでも俺と一緒にいたいと言ってくれた。嬉しい、と素直に思う。そして抱かれたばかりでほんのり赤い夏の肌に再び興奮してしまった。

「あぁ、夏。そんな可愛らしいことを言われたらまた抱きたくなる」
「……」

 夏は俺のスイッチが入りかけていることに気付いたのか、顔を固まらせ、あっさりと俺から手を離して立ち上がった。ここはこの雰囲気に任せて、仕方ないなと服を脱ぐ場面ではないのか、と俺は唇を尖らせる。夏は不満げな俺に気付いて耳を赤くしながらプイと俺から顔を背けた。

「夏が冷たい……」
「次は俺に抱かせろよ。借りはきっちり利子つけて返してやる」
「気分によるな」
「……抱かれたくなったら俺を選べ」
「その場にいてくれれば呼ぼう」
「……」

 俺はこの時、自分の発言をとても後悔する。

 この日から、夏は俺にいっそう執着を見せ、いつ俺が抱かれたい気分になっても良いようにと俺の傍を離れなくなった。それを見た春樹は青筋を浮かべるほど不機嫌になり、秋名は『土佐犬背負ってるー!』と大爆笑をして夏に叩かれるのだが、この時の俺は久々の射精にすっきりしすぎて何も気付いていなかったのであった。



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