74 / 134
新しい出会い
しおりを挟む「あんたがちょっとくらい幼稚になって若返っても、ロイの奴は関係ねえぞ。前を進むあんたに心底惚れてるからな。」
「そうなのかしら…。だったら嬉しいわ。」
「ロイの奴は、お嬢ちゃんと出会って成長した。それだけお嬢ちゃんといたいんだろう。いいコンビじゃねえか。あんたの過去とか関係なく考えてやった方がいいぞ。
「そうですね。ありがとう。ダンさん。」
「礼を言う話じゃねえよ。それよりロイのやつどこまで薪をとりに行ったんだ?」
「確かに、ちょっと遅いですね。」
ロイは以前もダンとリリアの会話が気になっても聞き取れなかったので、ジルにリリアがいないところで気配を消し長距離で音を聞く訓練をしてもらっていた。
それもリリアを守るためだったが、今回誘惑に負けて魔法を使ってしまった。
(ごめん、俺最低だよな。こんなことに魔法を使うのは最後にする。浮気調査みたいですごい罪悪感だ…。そもそも付き合ってもいないのに…。俺こんな女々しかったっけ…。)
ロイが葛藤しながらもリリアとダンとの会話を聞いているのを、
もちろんダンは気配で分かっていた。
ロイの奴やっぱり盗み聞きしてやがる。
お嬢ちゃんの本音を聞き出すためにオレもしっかり向き合ったからな。
オレのお節介かも知れねえけど、ここまでやってやたんだから後は自分で何とかしろよ馬鹿王子。
と心の中でロイにエールを送っていた。
しばらくしてロイがぎこちない振る舞いで戻ってきた。
その日はダンとロイ交代で火の番をしながら眠りについた。
次の日も順調に道を進むことができ、夜になる頃には目的地に着けた。
植物が生い茂っていてどこから入っていいか分からない。
うっそうと生い茂っている道なき道を進むけど、気づいた頃には同じところに戻っている。
草を切っても異常なスピードですぐ成長して戻ってしまう。
「こりゃ見たことねえ魔法がかけられてるな。化け物マーガレットが言って通りだ。誰でも入れてくれるような場所じゃねえってことだ。」
「そうね、どうすればいいかしら…。このイヤリング持ってきたけど、どう使うのかしら。あっ。」
リリアは暗い草の生い茂った地面にイヤリングを落としてしまった。
「やだ。見つけられるかしら。魔法で照らした方がいいかしら、でも侵略者と思われても困るし…。」
その時、リリアのイヤリングが独自で柔らかな光を出し始めた。
「これ、光ってるよな。イヤリングの石が自分で光ってる。」ロイが驚いている。
「化け物マーガレットが言ってたな。このイヤリングは精霊の石が何とかって。
おい!イヤリングの石の周りだけ草がよけているぞ。」ダンがイヤリングの周辺の草を見て驚いた。
「お嬢ちゃん、このイヤリングをつけてここをまっすぐ歩いてみろ。」
「は、はい。」急いでイヤリングを耳につける。
イヤリングをつけたリリアが草が生い茂る道なき道を歩くと、邪魔だった草たちが自分からリリアをよけていくべき道をしるしてくれる。
(モーゼの十戒みたい…)
「やっぱりな。おいロイ、お嬢ちゃんの後ろに続いておれたちも進むぞ!変なもんが出てきたらお前が守れよ!」
「あ、ああ。」
リリアを先頭に3人が草の避けられた道を進む。
しばらく歩くと、行き止まりに着いた。
「これは壁かしら?塀?登るといってもどこまで続いてるか分からないし、危険よね。通せんぼだわ。」
「リリア、この壁にリリアの魔力を入れてみたらどうだ?レディダーク(マーガレット)が魔力をコントロールしろって言ってたのはこれのためかも知れないってちょっと今思い出した。」
「魔力を?そうね、やってみるわ。」
リリアは壁にそっと手を当て、優しく結界を張るように魔力を使った。
すると、壁にリリアの白の魔力がツタの葉の絵のようなものを映し出し光り始めた。
光ったと思ったら、壁か塀だと思っていたところがフッと消えて中に入れるようになった。
恐る恐る中の様子をのぞくと、壁の中は幻想的な世界が広がっていた。
夜の暗さにぼんやり浮かび上がる一つ一つの小さな光。
(蛍?いいえ、もっと大きい光だし色も様々だわ…でも、優しい光で、綺麗…。)リリアはうっとりと見ていた。
光をずっと見ていると、光の中に影が見える。目を凝らすと小さな妖精のような可愛らしい存在があった。
「これが精霊なのね。すごく綺麗…。みんなは見える?」
「光は見えるけど、なんかぼんやりしているなあ。多分リリアが一番見えてるんじゃないか?」
「そうなの?ダンさんは見える?」
「よくわかんねーよ。で、この中に入るのか?」
「もちろんよ。薬草の育て方を聞かなくちゃ。さあ、入りましょう。」
リリアが足を踏み入れようとすると、空中を飛んできた一匹の精霊がリリアの前で通せんぼをする。
その精霊は、他の精霊と比べて発光していない。
一人だけ大きめサイズだ。
人間で言うと0~1歳くらいの赤ちゃんのような体型。肌の質感は陶器のような真っ白だ。
まるで教会にある彫刻の天使のような容姿だった。羽も生えている。
「この子も精霊のようね。通せんぼしているようだけど、入っちゃダメなのかしら?」
「え?本当か。ここで引き返すのもなあ。」ロイが腕を組む。
「…。なあ、こいつ、このチビの精霊警戒してるんじゃないか?お嬢ちゃんだけでも入れるか聞いてみろよ。」
ダンがリリアに提案する。
「そうですね。聞いてみます。
ねえ、精霊さん。私はリリア・アルバと申します。あなた達に、ある植物の育て方を教わりにきました。この素敵な場所を荒らす気は全くないの。
何か知っている方がいれば教えてほしいの。どうか、お願いします。」
リリアは精霊に頭を下げた。
精霊はしばらく不機嫌そうに考え込んでいたが、リリアを通そうとしてくれた。
「通してくれるの?ありがとう。後ろの男性二人も私の大切な人たちなの。一緒に話を聞きに行かせてくれませんか?」
精霊はダンとロイをじろじろ見ている。
飛んで二人に近づき、さらに見定めている。
ロイはぼんやりとしか見えないので、じっと立って事が済むのを待っている。
ダンはじっと立って汗を流し、息を潜めている。どう見ても緊張しているようだ。
精霊はダンの前にいる時間が長い。
精霊が満足したのか、リリアの場所に戻り、男二人の方を振り向いて手招きした。
「オレたちもお嬢ちゃんについて来ていいってお許しが出たみたいだぞ。」
「そっか。よかった~。ここで置いてきぼりはちょっと悲しいもんな。あ~良かった。」ロイがほっとした表情で話す。
「…。」ダンは黙っている。
精霊の案内について行くと、小さな屋敷に着いた。
80
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら少女漫画の悪役令嬢でした〜アホ王子との婚約フラグを壊したら義理の兄に溺愛されました〜
まほりろ
恋愛
ムーンライトノベルズで日間総合1位、週間総合2位になった作品です。
【完結】「ディアーナ・フォークト! 貴様との婚約を破棄する!!」見目麗しい第二王子にそう言い渡されたとき、ディアーナは騎士団長の子息に取り押さえられ膝をついていた。王子の側近により読み上げられるディアーナの罪状。第二王子の腕の中で幸せそうに微笑むヒロインのユリア。悪役令嬢のディアーナはユリアに斬りかかり、義理の兄で第二王子の近衛隊のフリードに斬り殺される。
三日月杏奈は漫画好きの普通の女の子、バナナの皮で滑って転んで死んだ。享年二十歳。
目を覚ました杏奈は少女漫画「クリンゲル学園の天使」悪役令嬢ディアーナ・フォークト転生していた。破滅フラグを壊す為に義理の兄と仲良くしようとしたら溺愛されました。
私の事を大切にしてくれるお義兄様と仲良く暮らします。王子殿下私のことは放っておいてください。
ムーンライトノベルズにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
悪役令嬢の生産ライフ
星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。
女神『はい、あなた、転生ね』
雪『へっ?』
これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。
雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』
無事に完結しました!
続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。
よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜
みかん桜
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。
ここは、乙女ゲームが舞台の小説の世界だった。
悪役令嬢が主役で、破滅を回避して幸せを掴む——そんな物語。
私はその主人公の姉。しかもゲームの妹が、悪役令嬢になった原因の1つが姉である私だったはず。
とはいえ私はただのモブ。
この世界のルールから逸脱せず、無難に生きていこうと決意したのに……なぜか第一王子に執着されている。
……そういえば、元々『姉の婚約者を奪った』って設定だったような……?
※2025年5月に副題を追加しました。
【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと
淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。
第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品)
※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。
原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。
よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。
王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。
どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。
家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。
1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。
2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる)
3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。
4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。
5.お父様と弟の問題を解決する。
それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc.
リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。
ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう?
たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。
これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。
【注意点】
恋愛要素は弱め。
設定はかなりゆるめに作っています。
1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。
2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
秋月一花
恋愛
旅芸人のひとりとして踊り子をしながら各地を巡っていたアナベルは、十五年前に一度だけ会ったことのあるレアルテキ王国の国王、エルヴィスに偶然出会う。
「君の力を借りたい」
あまりにも真剣なその表情に、アナベルは詳しい話を聞くことにした。
そして、その内容を聞いて彼女はエルヴィスに協力することを約束する。
こうして踊り子のアナベルは、エルヴィスの寵姫として王宮へ入ることになった。
目的はたったひとつ。
――王妃イレインから、すべてを奪うこと。
【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる
雨野
恋愛
難病に罹り、15歳で人生を終えた私。
だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?
でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!
ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?
1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。
ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!
主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!
愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。
予告なく痛々しい、残酷な描写あり。
サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。
小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。
こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。
本編完結。番外編を順次公開していきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
