疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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新しい出会い


「あんたがちょっとくらい幼稚になって若返っても、ロイの奴は関係ねえぞ。前を進むあんたに心底惚れてるからな。」

「そうなのかしら…。だったら嬉しいわ。」

「ロイの奴は、お嬢ちゃんと出会って成長した。それだけお嬢ちゃんといたいんだろう。いいコンビじゃねえか。あんたの過去とか関係なく考えてやった方がいいぞ。

「そうですね。ありがとう。ダンさん。」

「礼を言う話じゃねえよ。それよりロイのやつどこまで薪をとりに行ったんだ?」

「確かに、ちょっと遅いですね。」





ロイは以前もダンとリリアの会話が気になっても聞き取れなかったので、ジルにリリアがいないところで気配を消し長距離で音を聞く訓練をしてもらっていた。

それもリリアを守るためだったが、今回誘惑に負けて魔法を使ってしまった。

(ごめん、俺最低だよな。こんなことに魔法を使うのは最後にする。浮気調査みたいですごい罪悪感だ…。そもそも付き合ってもいないのに…。俺こんな女々しかったっけ…。)

ロイが葛藤しながらもリリアとダンとの会話を聞いているのを、
もちろんダンは気配で分かっていた。


ロイの奴やっぱり盗み聞きしてやがる。
お嬢ちゃんの本音を聞き出すためにオレもしっかり向き合ったからな。

オレのお節介かも知れねえけど、ここまでやってやたんだから後は自分で何とかしろよ馬鹿王子。
と心の中でロイにエールを送っていた。


しばらくしてロイがぎこちない振る舞いで戻ってきた。



その日はダンとロイ交代で火の番をしながら眠りについた。




次の日も順調に道を進むことができ、夜になる頃には目的地に着けた。

植物が生い茂っていてどこから入っていいか分からない。
うっそうと生い茂っている道なき道を進むけど、気づいた頃には同じところに戻っている。

草を切っても異常なスピードですぐ成長して戻ってしまう。

「こりゃ見たことねえ魔法がかけられてるな。化け物マーガレットが言って通りだ。誰でも入れてくれるような場所じゃねえってことだ。」

「そうね、どうすればいいかしら…。このイヤリング持ってきたけど、どう使うのかしら。あっ。」

リリアは暗い草の生い茂った地面にイヤリングを落としてしまった。

「やだ。見つけられるかしら。魔法で照らした方がいいかしら、でも侵略者と思われても困るし…。」

その時、リリアのイヤリングが独自で柔らかな光を出し始めた。

「これ、光ってるよな。イヤリングの石が自分で光ってる。」ロイが驚いている。

「化け物マーガレットが言ってたな。このイヤリングは精霊の石が何とかって。
おい!イヤリングの石の周りだけ草がよけているぞ。」ダンがイヤリングの周辺の草を見て驚いた。

「お嬢ちゃん、このイヤリングをつけてここをまっすぐ歩いてみろ。」

「は、はい。」急いでイヤリングを耳につける。


イヤリングをつけたリリアが草が生い茂る道なき道を歩くと、邪魔だった草たちが自分からリリアをよけていくべき道をしるしてくれる。

(モーゼの十戒みたい…)


「やっぱりな。おいロイ、お嬢ちゃんの後ろに続いておれたちも進むぞ!変なもんが出てきたらお前が守れよ!」

「あ、ああ。」

リリアを先頭に3人が草の避けられた道を進む。



しばらく歩くと、行き止まりに着いた。

「これは壁かしら?塀?登るといってもどこまで続いてるか分からないし、危険よね。通せんぼだわ。」

「リリア、この壁にリリアの魔力を入れてみたらどうだ?レディダーク(マーガレット)が魔力をコントロールしろって言ってたのはこれのためかも知れないってちょっと今思い出した。」


「魔力を?そうね、やってみるわ。」
リリアは壁にそっと手を当て、優しく結界を張るように魔力を使った。


すると、壁にリリアの白の魔力がツタの葉の絵のようなものを映し出し光り始めた。

光ったと思ったら、壁か塀だと思っていたところがフッと消えて中に入れるようになった。



恐る恐る中の様子をのぞくと、壁の中は幻想的な世界が広がっていた。
夜の暗さにぼんやり浮かび上がる一つ一つの小さな光。

(蛍?いいえ、もっと大きい光だし色も様々だわ…でも、優しい光で、綺麗…。)リリアはうっとりと見ていた。

光をずっと見ていると、光の中に影が見える。目を凝らすと小さな妖精のような可愛らしい存在があった。
「これが精霊なのね。すごく綺麗…。みんなは見える?」

「光は見えるけど、なんかぼんやりしているなあ。多分リリアが一番見えてるんじゃないか?」

「そうなの?ダンさんは見える?」

「よくわかんねーよ。で、この中に入るのか?」

「もちろんよ。薬草の育て方を聞かなくちゃ。さあ、入りましょう。」


リリアが足を踏み入れようとすると、空中を飛んできた一匹の精霊がリリアの前で通せんぼをする。
その精霊は、他の精霊と比べて発光していない。
一人だけ大きめサイズだ。
人間で言うと0~1歳くらいの赤ちゃんのような体型。肌の質感は陶器のような真っ白だ。
まるで教会にある彫刻の天使のような容姿だった。羽も生えている。

「この子も精霊のようね。通せんぼしているようだけど、入っちゃダメなのかしら?」

「え?本当か。ここで引き返すのもなあ。」ロイが腕を組む。

「…。なあ、こいつ、このチビの精霊警戒してるんじゃないか?お嬢ちゃんだけでも入れるか聞いてみろよ。」
ダンがリリアに提案する。

「そうですね。聞いてみます。
ねえ、精霊さん。私はリリア・アルバと申します。あなた達に、ある植物の育て方を教わりにきました。この素敵な場所を荒らす気は全くないの。
何か知っている方がいれば教えてほしいの。どうか、お願いします。」

リリアは精霊に頭を下げた。


精霊はしばらく不機嫌そうに考え込んでいたが、リリアを通そうとしてくれた。

「通してくれるの?ありがとう。後ろの男性二人も私の大切な人たちなの。一緒に話を聞きに行かせてくれませんか?」

精霊はダンとロイをじろじろ見ている。

飛んで二人に近づき、さらに見定めている。

ロイはぼんやりとしか見えないので、じっと立って事が済むのを待っている。

ダンはじっと立って汗を流し、息を潜めている。どう見ても緊張しているようだ。
精霊はダンの前にいる時間が長い。

精霊が満足したのか、リリアの場所に戻り、男二人の方を振り向いて手招きした。


「オレたちもお嬢ちゃんについて来ていいってお許しが出たみたいだぞ。」

「そっか。よかった~。ここで置いてきぼりはちょっと悲しいもんな。あ~良かった。」ロイがほっとした表情で話す。
「…。」ダンは黙っている。

精霊の案内について行くと、小さな屋敷に着いた。


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