前職キャバ嬢、異世界に来たら悪女になっていた。あんまり変わらないのかな?

ミミリン

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私にも分からないから

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最後に紅茶の店まで歩き、目当ての茶葉があるか店主に聞く。


「おや、いらっしゃい。今日も奥様のおつかいかい?」


いつもの通り店の店主は優し気な笑顔で迎えてくれる。


この店主、なかなかのイケオジだと思う。



デイビット様もそうだけど、イケオジの原則は
余裕、包容力、そして品性だと思うわ。
まあ、あと清潔感もかな。



これがあれば禿げてても何でもカッコいいと思うんだよね。


「ここの紅茶が好きなのか?」



わっ。そうだ、今はディランが一緒だったんだ。

店の外で待っていたみたいだが、私がぼんやりしているから店内に入ってきたみたいだ。


イケオジ鑑賞に浸っている場合じゃなかった。


「ほう、マックレーン家のご子息ですか?」


「…ああ。そうだ。」


「そうなの。今日は旦那様も一緒に買い物してたんです。」


「そうでございましたか。
旦那様も気になる紅茶があればおっしゃってくださいね。
さて、お嬢さんに頼まれていた茶葉、入荷しているよ。
これで良いかな?」


「そう、それです。良かった~。あ、じゃあ、これが代金です。
いつもありがとう。」


「いやいや、こちらこそいつもこの店を利用してくれてありがとう。
これ、ちょっとしたおまけだよ。
また良かったら感想聞かせてね。」


そう言って店主は可愛いクッキーが数枚入った綺麗な袋を茶葉と一緒に渡してくれた。


「わあ、ありがとう!」


もう、ここの店主さん男前すぎるわあ。


目がハートになるやん。


と思ったけど、冷たい視線が直撃する。


そうだった。

ディランが横に居るんだった。

くそう、私の聖域に連れてくるんじゃなかった。



ディランがため息をついて何か言いたげだったので、店主さんとの癒しの時間を早々に切り上げて馬車に乗り込んだ。


馬車の中で色々嫌味やら中傷のオンパレードなんだろうな…。



覚悟していたが、ディランは重苦しいオーラを出しつつもそこまで私に攻撃はしてこなかった。


「…さっきの店主、雰囲気が父上に似ていたな…。」


え?何?デイビット様の事?



「…どう、でしょうか。
まあ、上品で紳士的な雰囲気は似ていたかもしれませんね。」


ルキアで夜の仕事している時も、似たようなお客さんは居たよね。

一定数ああいう感じの紳士は存在するんだろうな。



「あのような歳を重ねた男が好きなのか?」



ええ?それ、どういう質問?



いわゆる枯れ専って言いたいのかしら?



デイビット様は好きだけど、別に年上だからって話じゃないもんね。

恩人でもあるし。
デイビット様に惚れない人いるのかって思うくらい魅力的だったからな。


「男性の好き嫌いを年齢などで考慮したことはないので、分かりません。」



って言うか、若い男性とお付き合いしたこともないのに好みのタイプなんて突き詰められないでしょ。



「…若い男は範疇にはないのか?」



何なの


やっぱり私の事尻軽女って思ってるからこんな質問ばかりしてくるのかしら。


「その質問に答えたくありません。」


はっきり言ってやった。



私にだって拒否権はある。

答えたくないものは答えたくない。




「…いや、もういい。」


ディランはそれ以上何も言ってこなかった。



これで生意気な女だとか言われたら馬車から降りて一人歩いて帰ろうと思ったけど、そんな事は言われなかった。



やっと屋敷に戻ったら、クロエもイリスもお腹がペコペコ状態で出迎えてくれた。



料理に取り掛かるとき、ディランから手伝いを申し出てもらったけど、料理は時間勝負の段取りがあるから断った。



気持ちはありがたかったので、片付けを一緒にしてほしいと伝えた。



男に片付けをさせるなんて非常識だとか言われるかと思ったけど、ディランは穏やかな顔で

「分かった。」とだけ言ってくれた。





ディランとの関係が今後、修也みたいに友達になれたら、クロエを守る同士みたいになったら理想なんだけどな。

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