前職キャバ嬢、異世界に来たら悪女になっていた。あんまり変わらないのかな?

ミミリン

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ディランにふさわしい女性は…

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ディランと話し合った次の日、イリスに二人で冷静に話し合えたかを聞かれた。


「そうね、まあ、妥協点は見つかったという感じかな。」


「ダキョウテン?よく分らないな。
何を妥協するのだ?」



「まあ、色々よ。」

エッチの回数とか言えないでしょ。



「…色々ねえ。
まあ、二人が納得した形に収まるのならそれで良いが。」



「そうそう。
それで良いのよ。
イリスのおかげでディランも反省してくれているし、変な誤解も解けたのは事実よ。
色々心配かけてごめんなさい。
本当にありがとう。」



「ああ、そうだな。
我が主であり友であるルキアには幸せでいてもらいたいからな。」



「幸せ…ね。
そうだね。」



「なぜ、そこで悲しそうな顔をするんだ?」

イリスが少し顔をしかめながら質問してくる。



「え?そんな顔してた?
私、今幸せだよ。
今の幸せを貯金しておいて今後の糧にして生きていくんだから。
貯蓄できるくらい幸せがあるって事なの。」



「どういう意味だ?
ため込んで後の備える考え方が理解できない。
ルキアの幸せは常に溢れ続けるものではないのか?
いつか止まるものなのか?」



「え?だっていつかはこのマックレーン家とは縁を切るでしょう?
まあ、クロエの支援は何らかの形で続けるけど、この家の女主人ではなくなるわ。
そうなったらまた別の幸せの形を探さなくちゃね。」



「はあああ?
いや…ちょっと待て。
ルキアはマスターと離縁する気なのか?」



「え?ずっと前からそう思ってるわよ。
そもそもこの結婚自体が契約というかデイビット様の遺言で成り立っているのよ。
レイズ君の爵位が確実になれば私はお役御免でしょ?」



イリスが珍しくふらついて頭を押さえている。



「いや…だが、そなたたち夫婦はそれこそ夫婦として十分すぎる営みをしているではないか。
何故そんな事が言えるんだ?
一体そなたらの関係は何のだ?」



「え~私たちの関係?
う~ん…何て言うんだろう…そうだな…セフレになるのかな…。
夫婦だけどセフレ。
変だけど。」




「せ…せふれとは何なのだ?
聞いたことない単語だが。」



「えっと、まあ友人のような距離感なんだけど、行為…をする関係って感じかな。
確かにこの世界ではこんな関係聞いたことないよね。」



「なんと…せふれと言うのか…。
ルキアが居た世界は何とも前衛的な場所だったんだな。」


「色々な人がいるからね。
あっ私は元の世界でそんなことしなかったわよ。」



「だが、マスターとはそうなっているではないか。
お互いがその関係で納得しているのか?」


「え~。そりゃそうでしょ。
ほら、今のディランは女性と関係を持つのも慎重にならざるを得ない時期でしょ?
だから対象が今の妻である私になっているだけ。
私もマックレーン家と縁が切れたらどんな生活が待ち受けているか分からないじゃない。
だから大切な経験としてディランに相手をしてもらっているの。
それだけの事よ。」



「ルキアはマスターへの好意はないのか?」



「ディランへの好意?
そりゃあるわよ。
尊敬もしているし最近頑張っているなって思うし。
人として嫌いではないわ。
好きな部類よ。」



「マスターはルキアへの好意があると思うのだが…。」



「どうだろう?
まあマックレーン家にとって有益な人材として好意は持ってくれていると思うわ。
今は妻だから女性としても扱ってくれているし。
けどね…。」




「けど…?」



「私なんかが彼の隣にずっと居るべきじゃないわ。
もっとふさわしい女性が現れるはずよ。
私はそれまでの繋ぎ要員なの。」



「そんな訳があるか!
私なんかがなどと、そなたが言うのはおかしいだろう?」



「え?何で?」



「そなたは、伴侶に愛される素質を十分に持つ魅力的な女性だろう?
何故そこまでひねくれた考え方なのだ?」



「ひねくれてる?
そうかな…まあそうかもしれないね。
だって分かんないもの。
師弟とか義理とか友情とかそういうもので結ばれる関係は分かるわ。
でも男女の愛情なんて私には分からない。
そんなもの長くは続かない。
特に私のようなひねくれものでは無理な話だわ。
だからこんな私よりもっと愛情に溢れた人の方がディランには良いって事。」



「そんな屁理屈を言って…。
人を愛することに臆病な事を隠しているだけじゃないのか?」



「…かもしれない。
けど、これが私だから…。
私みたいな人間は増やしちゃだめって事も分かってるから大丈夫。
そこは抜かりないんだから。」



「…。」


イリスは私のお腹のあたりを睨みつけている。



「はい、この話はこれでおしまい!
さて、クロエが新しいドレスの仮縫いが終わりそうって言ってたからちょっと部屋まで様子見てこようかな。
じゃあねイリス。」



これ以上この手の話をするのは嫌だったのでイリスを避けるようにクロエの部屋に避難した。



残されたイリスは


「…マスター、とんでもない女を愛してしまったな…。
同情するぞ。
そして、あの二人はとんでもない阿呆だ。」




とため息をついた。
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