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スキンシップ
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部屋に戻り、ドレスをハンガーにかける。
化粧を落として肌の手入れも出来た。
クロエからプレゼントしてもらった白いシルクのナイトドレスに身を包む。
癒しの効果でじんわりと体がほぐれている気がする。
今日のナイトドレスはちょっぴり胸元が広くカットされたデザインだけど、もっと大胆なデザインのドレス着てるしまあ、大丈夫でしょ。
胸元が開いていると、首や鎖骨までケアしやすいからとクロエが気を利かせてくれたのだ。
何ともありがたい。
流石クロエ、私のこと分かってくれてる…まさに天使っ。
この後は、ディランが話し合いたいと言ってたから共用のリビングに行かないとね。
だらしない恰好って思われちゃうかな?
でも、もうリラックスタイムだから良いよね。
ナイトドレスのままリビングに向かった。
ディランは入浴中のようでまだ来ていない。
温かい紅茶を飲みながらゆっくりとディランを待つ。
にしても…今日はなかなかパンチの利いたご令嬢が居たなあ。
まあ、ディランがあそこまでカッコいいのも罪だよね~。
ファンクラブの推し活が血迷うとあんな感じになるんだろうな。
けど、ディランは軍人だからああいうのただの迷惑でしかないんだけどさ。
もっと合法的に追っかけが出来る対象が出来たら良いんだろうけど、この世界じゃ舞台俳優か演奏家くらいしか推し活って出来ないもんな~。
エンタメ系の事業は…
いや、私には向いてないわ。
あまり慣れない事業に手を出すと火傷するからやめておこう。
あのご令嬢が、これを機にいい女を目指してくれたらそれで良いか。
そんなどうでも良い事を考えながら紅茶をすする。
「ルキア…?」
ディランの声がした。そちらに目を向けるとまだ髪の毛が濡れているしっとりセクシーなディランが居た。
ああ…もう…。
いちいちカッコいいんだから…。
「ルキア…その格好は…。」
「ああ、このナイトドレス?
クロエが作ってくれたの。
可愛いでしょ?すごく着心地が良いのよ。」
「そのドレスは…。」
ディランの目が若干うつろいでいる。
あれ?
似合わなさすぎなのかな?
「これ、似合ってないかしら?」
それとも、やっぱりだらしない?
「に、似合っている…。
似合っているのだが、無防備な女神にしか見えない。
このドレス、他で着たことはあるのか?」
むぼうびなメガミ?
はて?
一部ディランのコメントは理解できないけど
「いいえ、自宅でしか着てないわよ。
これを外で着たら不審者扱いされちゃうわ。」
流石にナイトドレスってパジャマみたいなものだから外で着るのは無理でしょ。
「…不審者が寄ってくる…、いや不審者でなくても男女構わず近づいてくるだろう。」
そう言いながら私をぎゅっと抱きしめるディラン。
石鹸のいい香りがする。
「少し、座って話そうか。」
そう言うと私をお姫様抱っこしてソファに座る。
…私はディランにお姫様抱っこされたまま彼の膝の上に座らされてしまった。
「ディラン、この格好は…ちょっと恥ずかしい…かも。」
「そうか?俺は恥ずかしくない。
帰ったら恋人らしいことをするとご令嬢の前で俺に言ってくれていたじゃないか。」
「い、言ったけど…あれはあの場では仕方がなくて…。」
「劇場でも今はダメだと言っていたから我慢したのだ。
もう屋敷に着ているのだから我慢しなくても良いと言うことだ。」
「そ、そうだけど…。」
「早くここにキスしたかった。」
そう言って私の唇にチュッとキスをする。
ああ、甘い…。
この甘いムードに胸がどきどきと落ち着かない。
「このナイトドレスは美しいが、清らかさと淫らが混ざり俺を惑わしてくる。
いや、他の者が見れば皆同じように君に触れたくなるだろう…。」
ディランが私の腰を服の上から触る。
ディランの手つきが…撫で方が何かエロい…。
いや、私が意識しすぎているだけだよね。
腰なんてエスコートされるときに良く触られるし。
「ディラン…ちょっとくすぐったいわ。」
ディランは少しむっとした顔で
「ディランではないだろう。
これからはどんな時もディルと呼んでくれ。」
えええ~ディルって…。
ディルって…あの時にだけ呼んでるから、何か恥ずかしいんだけど…。
「あのご令嬢の前では呼んでくれただろ?
ほら、ディルって呼んでくれ。」
あの時はノーカウントでしょ?
「ほら、早く。ディルと呼んでくれ。」
んも~、こんなイケメンに頼まれたら断れないでしょ。
「でぃ、ディル…。」
「もう一回。」
これ、何の時間。
もう、どうとでもなれ。
「ディル…これで良い?」
ディルの目を見て聞いてみる。
するとディルが柔らかく甘く笑う。
「ん…嬉しい。」
あああああ~その笑顔破壊力1000%ですからあ~っ。
「このドレス、シルクだな。
ルキアの肌のように滑らかでまるでルキアに触れているみたいだ。」
そう言ってまた腰や太ももをゆっくり触られる。
「ルキアの温度も服越しで伝わってくる。
ルキアの匂いも…。」
ディランは私の首筋に鼻を近づける。
「あ、あの…私まだ入浴してないからっ。
だから…あまり近づかない方が…。」
ああ、ディランは石鹸の香りがしているのにっ。
私もお風呂入っておけばよかった。
「だから良いんだよ。
このドレス、首や胸元からルキアの香りがよく嗅げる。」
でぃ、ディラン…だんだんコメントが変態に変わってきてないですか?
鼻先を近づけていた首筋をペロリと舐められる。
「でぃ、ディラン…?
何を…。」
「ディルだ。
さっきまで着ていたドレスはここが見えていただろう?
だから色々な奴らが見ていたんだ。
ここをこうして良いのは俺だけだ。」
また首筋を舐めとられる。
「ちょっ…ディル…ん…。」
ダメ…変な声になる…。
「ルキア…何で君はそんなに可愛すぎるんだ…。」
そう言って、私の唇にキスを落とす。
一度口を離すと
「ルキア…もっと恋人らしいキスをしよう…。
口開けて…。」
と私の顎をそっと持ち上げる。
緊張して口なんかすぐ開けられないんだけど…。
無意識に力が入って口がへの字に曲がってしまう。
「何でこんな強情なんだろうな…。
俺は早くキスしたいのに…。」
ディランは少しため息をついて、私の胸に手を伸ばす。
「コルセットをしていないから服の上からでもルキアの柔らかさがよく分る。」
「ちょっ…ディル…っ。」
焦りすぎて、どこ触ってるの?
まで言えない。
「このふくらみも、他の男に見せて欲しくないんだがな…。」
私の胸を触るディランの手つきがいやらしい。
じわじわと胸の先端にディランの指が近づいてくる。
「や…ディル…。」
「ここに可愛らしいツボミがあると男どもは皆想像してしまうだろう…。」
ディランの指が私の胸の先端を服の上からスリスリと撫でてくる。
「んっ…。
それ…だ…めっ。」
身体がびくびくと反応してしまう。
何とも言えない感覚に目ぎゅっと閉じる。
「これもスキンシップだろ?
ほら、ルキア俺を見て。」
ディルは手を止めてくれない。
「ふっ…ん…。」
声が抑えられない。
ディルに言われた通りうっすらと目を開けると彼は私をまっすぐ見ている。
その瞳は色を含んでいて少しギラギラとしている。
こんな顔されたら、それこそ腰が砕けてしまう。
ディランの顔が更に使づいてきたと思えば、私は彼からの濃厚なキスを迎えていた。
少し開いてしまっていた唇からディルの舌がゆっくりと侵入してくる。
舌同士が絡み合う感触。
驚いて舌を後ろに引いても追いかけてくる彼の舌に思わずまた声が漏れ出しまう。
「ふ…あ…っ。」
角度を変えて何度も深く口の中で溶け合うようなキスを続けた。
ディルとのキスで頭の中がフワフワと気持ちが良くなっている。
そう言えば、初めはディルの膝に座っていたけどいつの間にかソファに寝かされディルの下にいる私。
目の前のディルは私を悩ましげな瞳で見下ろしている。
「ルキア…このまま君を抱けたらどれだけ幸せか…。
だが、これ以上はもう止められなくなる。」
そんなことを悲しそうに話す。
「ディル…大丈夫?」
何だが小刻みに震えているのは気のせいかな?
「ルキア…。」
がしっと両肩をディランに掴まれる。
「は、はい…。」
「俺はルキアを愛している。
それは分かっているな?」
「は、はい…。」
「俺が欲しいのはルキアの全てだ。
体だけではなく心も全て欲しいんだ。
分かるか?」
ディランが熱く教えてくれる。
いや、これは口説いてくれているのかな?
「は、はい。」
「本当はこのまま素肌で抱きしめ合いながら君と深く愛し合いたいのが本音だ。
だがしかしっ!
俺は君に結婚式が終わるまで手を出さないと誓った。
俺は誓いを破るような男ではない。」
「う、うん…。そうね…。」
と言うか、結婚式が終わるまでどうのこうのってディルが一方的に誓いを立てた感じなんだけどな。
これは振りなんだろうか?
熱湯ギャグみたいにやめろ止めろって言われたら逆に突き落とさないといけないノリなんだろうか?
元関西人としてのノリと突っ込みの資質を問われているの?
『もう、エッチしちゃおうよ!今しても式のあとでも一緒じゃないの?』
的な逆張りを君は欲しているの?
どっちなのディル…。
けど、私は無駄に知っている。
男心は見栄とプライドとロマンティックで成り立っているのだと。
ここまで誓いと言うか掟に縛られている彼を絶対傷つけるから。
自分が次にどう振舞えばいいか答えが出せずただただ困惑する。
「すまない…。
ルキアを困らせてしまったな。
こんな誓いを一つ守れず葛藤する男の姿を見せるなんてな…。」
「…。」
何か自己解決してる?
「俺が望むことは、君の俺の愛が伝わっている事だけだ。
これは大丈夫か?」
「え、ええ。
もちろん伝わっているわ。」
「…ならこれ以上望むことはない。
俺は先に休む。
ルキアも早めに休むように。」
「え…ええ。そうするわ。」
ディランがのそのそとソファから立ち上がりリビングを出て行った。
ふう~。
しかし、物凄いスキンシップだったな…。
ディルって見かけによらず積極的なのよね…。
あんなキスされたら力抜けちゃうよ。
モヤモヤと先ほどまでのエッチな回想が頭をよぎる。
「あああ~だめだめっ!思い出すな。恥ずかしいからっ。」
独り言を言って頭の中の煩悩を振り払う。
ー--------
先ほども何とか己の暴走を止めることが出来た。
あと数秒ルキアと触れ合っていれば俺は自分をコントロールできなくなっていただろう。
それにしても…。
ルキアの返事は何故あのように軽々しいんだろうか…。
俺からの愛情は本当に受け止めてくれているのだろうか…。
お互い思いは通じ合っているはずなのだが、まだ今一つ夫婦としての足並みが揃っていない。
と言うか俺との温度差を感じる…。
もしかすると、今のヒメカと同じ職業だったと言っていたから愛の言葉は聞きなれている可能性もある。
今は精いっぱいの言葉で愛情を伝えているが、式が終われば体で知ってもらうしかないな…。
早く式を迎えねば…。
化粧を落として肌の手入れも出来た。
クロエからプレゼントしてもらった白いシルクのナイトドレスに身を包む。
癒しの効果でじんわりと体がほぐれている気がする。
今日のナイトドレスはちょっぴり胸元が広くカットされたデザインだけど、もっと大胆なデザインのドレス着てるしまあ、大丈夫でしょ。
胸元が開いていると、首や鎖骨までケアしやすいからとクロエが気を利かせてくれたのだ。
何ともありがたい。
流石クロエ、私のこと分かってくれてる…まさに天使っ。
この後は、ディランが話し合いたいと言ってたから共用のリビングに行かないとね。
だらしない恰好って思われちゃうかな?
でも、もうリラックスタイムだから良いよね。
ナイトドレスのままリビングに向かった。
ディランは入浴中のようでまだ来ていない。
温かい紅茶を飲みながらゆっくりとディランを待つ。
にしても…今日はなかなかパンチの利いたご令嬢が居たなあ。
まあ、ディランがあそこまでカッコいいのも罪だよね~。
ファンクラブの推し活が血迷うとあんな感じになるんだろうな。
けど、ディランは軍人だからああいうのただの迷惑でしかないんだけどさ。
もっと合法的に追っかけが出来る対象が出来たら良いんだろうけど、この世界じゃ舞台俳優か演奏家くらいしか推し活って出来ないもんな~。
エンタメ系の事業は…
いや、私には向いてないわ。
あまり慣れない事業に手を出すと火傷するからやめておこう。
あのご令嬢が、これを機にいい女を目指してくれたらそれで良いか。
そんなどうでも良い事を考えながら紅茶をすする。
「ルキア…?」
ディランの声がした。そちらに目を向けるとまだ髪の毛が濡れているしっとりセクシーなディランが居た。
ああ…もう…。
いちいちカッコいいんだから…。
「ルキア…その格好は…。」
「ああ、このナイトドレス?
クロエが作ってくれたの。
可愛いでしょ?すごく着心地が良いのよ。」
「そのドレスは…。」
ディランの目が若干うつろいでいる。
あれ?
似合わなさすぎなのかな?
「これ、似合ってないかしら?」
それとも、やっぱりだらしない?
「に、似合っている…。
似合っているのだが、無防備な女神にしか見えない。
このドレス、他で着たことはあるのか?」
むぼうびなメガミ?
はて?
一部ディランのコメントは理解できないけど
「いいえ、自宅でしか着てないわよ。
これを外で着たら不審者扱いされちゃうわ。」
流石にナイトドレスってパジャマみたいなものだから外で着るのは無理でしょ。
「…不審者が寄ってくる…、いや不審者でなくても男女構わず近づいてくるだろう。」
そう言いながら私をぎゅっと抱きしめるディラン。
石鹸のいい香りがする。
「少し、座って話そうか。」
そう言うと私をお姫様抱っこしてソファに座る。
…私はディランにお姫様抱っこされたまま彼の膝の上に座らされてしまった。
「ディラン、この格好は…ちょっと恥ずかしい…かも。」
「そうか?俺は恥ずかしくない。
帰ったら恋人らしいことをするとご令嬢の前で俺に言ってくれていたじゃないか。」
「い、言ったけど…あれはあの場では仕方がなくて…。」
「劇場でも今はダメだと言っていたから我慢したのだ。
もう屋敷に着ているのだから我慢しなくても良いと言うことだ。」
「そ、そうだけど…。」
「早くここにキスしたかった。」
そう言って私の唇にチュッとキスをする。
ああ、甘い…。
この甘いムードに胸がどきどきと落ち着かない。
「このナイトドレスは美しいが、清らかさと淫らが混ざり俺を惑わしてくる。
いや、他の者が見れば皆同じように君に触れたくなるだろう…。」
ディランが私の腰を服の上から触る。
ディランの手つきが…撫で方が何かエロい…。
いや、私が意識しすぎているだけだよね。
腰なんてエスコートされるときに良く触られるし。
「ディラン…ちょっとくすぐったいわ。」
ディランは少しむっとした顔で
「ディランではないだろう。
これからはどんな時もディルと呼んでくれ。」
えええ~ディルって…。
ディルって…あの時にだけ呼んでるから、何か恥ずかしいんだけど…。
「あのご令嬢の前では呼んでくれただろ?
ほら、ディルって呼んでくれ。」
あの時はノーカウントでしょ?
「ほら、早く。ディルと呼んでくれ。」
んも~、こんなイケメンに頼まれたら断れないでしょ。
「でぃ、ディル…。」
「もう一回。」
これ、何の時間。
もう、どうとでもなれ。
「ディル…これで良い?」
ディルの目を見て聞いてみる。
するとディルが柔らかく甘く笑う。
「ん…嬉しい。」
あああああ~その笑顔破壊力1000%ですからあ~っ。
「このドレス、シルクだな。
ルキアの肌のように滑らかでまるでルキアに触れているみたいだ。」
そう言ってまた腰や太ももをゆっくり触られる。
「ルキアの温度も服越しで伝わってくる。
ルキアの匂いも…。」
ディランは私の首筋に鼻を近づける。
「あ、あの…私まだ入浴してないからっ。
だから…あまり近づかない方が…。」
ああ、ディランは石鹸の香りがしているのにっ。
私もお風呂入っておけばよかった。
「だから良いんだよ。
このドレス、首や胸元からルキアの香りがよく嗅げる。」
でぃ、ディラン…だんだんコメントが変態に変わってきてないですか?
鼻先を近づけていた首筋をペロリと舐められる。
「でぃ、ディラン…?
何を…。」
「ディルだ。
さっきまで着ていたドレスはここが見えていただろう?
だから色々な奴らが見ていたんだ。
ここをこうして良いのは俺だけだ。」
また首筋を舐めとられる。
「ちょっ…ディル…ん…。」
ダメ…変な声になる…。
「ルキア…何で君はそんなに可愛すぎるんだ…。」
そう言って、私の唇にキスを落とす。
一度口を離すと
「ルキア…もっと恋人らしいキスをしよう…。
口開けて…。」
と私の顎をそっと持ち上げる。
緊張して口なんかすぐ開けられないんだけど…。
無意識に力が入って口がへの字に曲がってしまう。
「何でこんな強情なんだろうな…。
俺は早くキスしたいのに…。」
ディランは少しため息をついて、私の胸に手を伸ばす。
「コルセットをしていないから服の上からでもルキアの柔らかさがよく分る。」
「ちょっ…ディル…っ。」
焦りすぎて、どこ触ってるの?
まで言えない。
「このふくらみも、他の男に見せて欲しくないんだがな…。」
私の胸を触るディランの手つきがいやらしい。
じわじわと胸の先端にディランの指が近づいてくる。
「や…ディル…。」
「ここに可愛らしいツボミがあると男どもは皆想像してしまうだろう…。」
ディランの指が私の胸の先端を服の上からスリスリと撫でてくる。
「んっ…。
それ…だ…めっ。」
身体がびくびくと反応してしまう。
何とも言えない感覚に目ぎゅっと閉じる。
「これもスキンシップだろ?
ほら、ルキア俺を見て。」
ディルは手を止めてくれない。
「ふっ…ん…。」
声が抑えられない。
ディルに言われた通りうっすらと目を開けると彼は私をまっすぐ見ている。
その瞳は色を含んでいて少しギラギラとしている。
こんな顔されたら、それこそ腰が砕けてしまう。
ディランの顔が更に使づいてきたと思えば、私は彼からの濃厚なキスを迎えていた。
少し開いてしまっていた唇からディルの舌がゆっくりと侵入してくる。
舌同士が絡み合う感触。
驚いて舌を後ろに引いても追いかけてくる彼の舌に思わずまた声が漏れ出しまう。
「ふ…あ…っ。」
角度を変えて何度も深く口の中で溶け合うようなキスを続けた。
ディルとのキスで頭の中がフワフワと気持ちが良くなっている。
そう言えば、初めはディルの膝に座っていたけどいつの間にかソファに寝かされディルの下にいる私。
目の前のディルは私を悩ましげな瞳で見下ろしている。
「ルキア…このまま君を抱けたらどれだけ幸せか…。
だが、これ以上はもう止められなくなる。」
そんなことを悲しそうに話す。
「ディル…大丈夫?」
何だが小刻みに震えているのは気のせいかな?
「ルキア…。」
がしっと両肩をディランに掴まれる。
「は、はい…。」
「俺はルキアを愛している。
それは分かっているな?」
「は、はい…。」
「俺が欲しいのはルキアの全てだ。
体だけではなく心も全て欲しいんだ。
分かるか?」
ディランが熱く教えてくれる。
いや、これは口説いてくれているのかな?
「は、はい。」
「本当はこのまま素肌で抱きしめ合いながら君と深く愛し合いたいのが本音だ。
だがしかしっ!
俺は君に結婚式が終わるまで手を出さないと誓った。
俺は誓いを破るような男ではない。」
「う、うん…。そうね…。」
と言うか、結婚式が終わるまでどうのこうのってディルが一方的に誓いを立てた感じなんだけどな。
これは振りなんだろうか?
熱湯ギャグみたいにやめろ止めろって言われたら逆に突き落とさないといけないノリなんだろうか?
元関西人としてのノリと突っ込みの資質を問われているの?
『もう、エッチしちゃおうよ!今しても式のあとでも一緒じゃないの?』
的な逆張りを君は欲しているの?
どっちなのディル…。
けど、私は無駄に知っている。
男心は見栄とプライドとロマンティックで成り立っているのだと。
ここまで誓いと言うか掟に縛られている彼を絶対傷つけるから。
自分が次にどう振舞えばいいか答えが出せずただただ困惑する。
「すまない…。
ルキアを困らせてしまったな。
こんな誓いを一つ守れず葛藤する男の姿を見せるなんてな…。」
「…。」
何か自己解決してる?
「俺が望むことは、君の俺の愛が伝わっている事だけだ。
これは大丈夫か?」
「え、ええ。
もちろん伝わっているわ。」
「…ならこれ以上望むことはない。
俺は先に休む。
ルキアも早めに休むように。」
「え…ええ。そうするわ。」
ディランがのそのそとソファから立ち上がりリビングを出て行った。
ふう~。
しかし、物凄いスキンシップだったな…。
ディルって見かけによらず積極的なのよね…。
あんなキスされたら力抜けちゃうよ。
モヤモヤと先ほどまでのエッチな回想が頭をよぎる。
「あああ~だめだめっ!思い出すな。恥ずかしいからっ。」
独り言を言って頭の中の煩悩を振り払う。
ー--------
先ほども何とか己の暴走を止めることが出来た。
あと数秒ルキアと触れ合っていれば俺は自分をコントロールできなくなっていただろう。
それにしても…。
ルキアの返事は何故あのように軽々しいんだろうか…。
俺からの愛情は本当に受け止めてくれているのだろうか…。
お互い思いは通じ合っているはずなのだが、まだ今一つ夫婦としての足並みが揃っていない。
と言うか俺との温度差を感じる…。
もしかすると、今のヒメカと同じ職業だったと言っていたから愛の言葉は聞きなれている可能性もある。
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