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私の貯金
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瑠美ちゃんみたいに可愛いと周りが持ち上げてしまうから、瑠美ちゃんが成長する機会を奪ってしまうのを管理職が気づいていないのは大丈夫なんだろうか?
でも、それと人の彼氏を奪うのはまた別の話か。
いや、奪うじゃないか。もともと田所さんの目には私は映ってなかったんだよね。
ああ、今は仕事中!落ち込むのは今じゃない!もう瑠美ちゃんと田所さんに関わる機会もなくなるだろうから、あとちょっとの我慢だ。
予定していた日が来た。
私は田所さんと一緒に住んでいた部屋に入り、私物を手早く段ボールに詰め込む。
今まで愛着のある家だったけど、今はピンクや紫のフリフリとしたクッションやソファカバーになっている。
まだ瑠美ちゃんと本格的に同棲していないのか調理器具は私が出て行った時から何も変わっていなかった。
でも、すべてが気持ち悪く見える。あんなに選んで揃えたものたちに申し訳ないけど、新しいぽんちゃんとの生活空間に持ち込むのは嫌だ。
かといって瑠美ちゃんも元カノが使っていた道具を残されても困るだろうし…。
結局私は捨てる専用の段ボールを作り、運び出してからそのままクリーンセンターに持っていくことにした。
本当に必要な書類とか思い出の物はマンションに持っていくけど、ほとんどの物は捨てる分になっている。
「マコちゃん、作業は順調?手伝いに来たよ。」里子さんがトラックを手配してくれて荷造りも手伝ってくれたので、変な感傷に浸りきることもなく順調に作業を進めた。
最後に貴重品を保管している引き出しに置ていある通帳を確認した。
二人の結婚資金として私名義の通帳に貯金をしてきた。
パソコンを買ったから、残金は300万くらいあったかな?
通帳を開くと残金が150万円になっている。
「え?なにこれ!?」
「何なに?マコちゃんどうしたの?」
「里子さん、私の貯金が半分になってる…。」
「え?どういうこと?ちょっと、元カレに連絡した方が良いよ?」
「そ、そうする。」田所さんにメッセージを送る。
『今私物を整理してます。私の通帳の残高が半分に減っています。何か知りませんか?』
既読になるけど返信がない。
「マコちゃん、お金がなくなっているから警察に届けるって送ってみて。」
「そ、そうだね。」
『警察とか大げさすぎ。あの貯金は二人のための貯金だろ?だから半分は俺の物のはず。
だから半分残して半分俺が使ってる。』
「うそ…。そんな…。」私が頑張って貯めたお金…。
田所さんはほとんど奨学金と家賃と自分の事にしか使ってなかったのに。
このお金はほとんど私が貯めたお金なのに。
『ひどすぎます。返してください。』
『うるさい。ババ臭いお前と付き合ってやったんだから謝礼みたいなものだろ。金の事ばっかりだな。だから嫌になったんだよ。警察がこんなしょうもない話に介入するわけないだろ。馬鹿じゃないか。
今瑠美とネズミーランドで楽しんでるんだ。もう変な事送ってくるなよ。』
「うわ!何この男!マコちゃん、ちょっとスクショするね。」里子さんが固まっている私から携帯操作を変わってスクショを撮っている。
「あ、何かブロックしたっぽいよこの男。スクショはぎりぎりセーフで間に合った。」
「…。」ひどいよ。
パソコンは持っていくなって言って、貯金は勝手に大金持って行って…。
声にならない悔しさが溢れてくる。涙が止まらない。
「…。マコちゃん。ここから出す荷物はこれで終わり?」
頷く。声が出ない。泣き終わりたいのに気持ちが切り替われない。
「じゃあ、後は運び出すだけだから引っ越し屋さんに頼もう。
廃棄分は引き取ってもらうから。マコちゃんと私は先にマンションに私の車で行くからね。」
うん。とまた頷く。ごめんね里子さん。変な場面に立ち会わせて…。
でも、それと人の彼氏を奪うのはまた別の話か。
いや、奪うじゃないか。もともと田所さんの目には私は映ってなかったんだよね。
ああ、今は仕事中!落ち込むのは今じゃない!もう瑠美ちゃんと田所さんに関わる機会もなくなるだろうから、あとちょっとの我慢だ。
予定していた日が来た。
私は田所さんと一緒に住んでいた部屋に入り、私物を手早く段ボールに詰め込む。
今まで愛着のある家だったけど、今はピンクや紫のフリフリとしたクッションやソファカバーになっている。
まだ瑠美ちゃんと本格的に同棲していないのか調理器具は私が出て行った時から何も変わっていなかった。
でも、すべてが気持ち悪く見える。あんなに選んで揃えたものたちに申し訳ないけど、新しいぽんちゃんとの生活空間に持ち込むのは嫌だ。
かといって瑠美ちゃんも元カノが使っていた道具を残されても困るだろうし…。
結局私は捨てる専用の段ボールを作り、運び出してからそのままクリーンセンターに持っていくことにした。
本当に必要な書類とか思い出の物はマンションに持っていくけど、ほとんどの物は捨てる分になっている。
「マコちゃん、作業は順調?手伝いに来たよ。」里子さんがトラックを手配してくれて荷造りも手伝ってくれたので、変な感傷に浸りきることもなく順調に作業を進めた。
最後に貴重品を保管している引き出しに置ていある通帳を確認した。
二人の結婚資金として私名義の通帳に貯金をしてきた。
パソコンを買ったから、残金は300万くらいあったかな?
通帳を開くと残金が150万円になっている。
「え?なにこれ!?」
「何なに?マコちゃんどうしたの?」
「里子さん、私の貯金が半分になってる…。」
「え?どういうこと?ちょっと、元カレに連絡した方が良いよ?」
「そ、そうする。」田所さんにメッセージを送る。
『今私物を整理してます。私の通帳の残高が半分に減っています。何か知りませんか?』
既読になるけど返信がない。
「マコちゃん、お金がなくなっているから警察に届けるって送ってみて。」
「そ、そうだね。」
『警察とか大げさすぎ。あの貯金は二人のための貯金だろ?だから半分は俺の物のはず。
だから半分残して半分俺が使ってる。』
「うそ…。そんな…。」私が頑張って貯めたお金…。
田所さんはほとんど奨学金と家賃と自分の事にしか使ってなかったのに。
このお金はほとんど私が貯めたお金なのに。
『ひどすぎます。返してください。』
『うるさい。ババ臭いお前と付き合ってやったんだから謝礼みたいなものだろ。金の事ばっかりだな。だから嫌になったんだよ。警察がこんなしょうもない話に介入するわけないだろ。馬鹿じゃないか。
今瑠美とネズミーランドで楽しんでるんだ。もう変な事送ってくるなよ。』
「うわ!何この男!マコちゃん、ちょっとスクショするね。」里子さんが固まっている私から携帯操作を変わってスクショを撮っている。
「あ、何かブロックしたっぽいよこの男。スクショはぎりぎりセーフで間に合った。」
「…。」ひどいよ。
パソコンは持っていくなって言って、貯金は勝手に大金持って行って…。
声にならない悔しさが溢れてくる。涙が止まらない。
「…。マコちゃん。ここから出す荷物はこれで終わり?」
頷く。声が出ない。泣き終わりたいのに気持ちが切り替われない。
「じゃあ、後は運び出すだけだから引っ越し屋さんに頼もう。
廃棄分は引き取ってもらうから。マコちゃんと私は先にマンションに私の車で行くからね。」
うん。とまた頷く。ごめんね里子さん。変な場面に立ち会わせて…。
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