夫婦で異世界放浪記

片桐 零

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第2章

第6話 説明不足って言われた

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旅する魔樹大老トラベルトレンダーが動き出して数分、朝食の魔樹の実を食べようとしていると、ナビさんから声をかけられた。

『情報提示。視認可能距離になりました。』

食べかけの魔樹の実を一気に頬張り、枝で出来た足場の端に移動する。
俺の目には、さっきよりも煙が近くなったくらいにしか感じない。

『情報提示。陸草鰐グラスゲーター5体、多頭鰐スクナダイル1体を確認、破損した荷馬車が複数あることから、野営中の一団が襲撃を受けて壊滅したようです。』

壊滅…嫌な響きだね…聞いたことのない魔物モンスターだが、名前からしてワニ型だろうか?
陸上、それも草原でワニなんて、さすが異世界だな…

(ナビさん、魔物モンスターの詳細は?)

『情報提供。どちらも鰐型の特異変異体です。個体名陸草鰐グラスゲーター、危険度はCクラスと推定。中型の魔物モンスターで、魔物化に伴い陸上での二足歩行能力と、非常に強固な鱗を獲得しています。
個体名多頭鰐スクナダイル、危険度Bクラスと推定。陸草鰐グラスゲーターの上位個体に位置する魔物モンスターです。両手が頭部のように変化していて、変化した頭部の咬合力は元の頭部と同程度あるため、非常に危険です。
それ以外の変化として、一回り大きくなった体を支えるために、足の作りが変化し大型化しています。
同様に尾も二股に分かれ、全体のバランスが良くなっています。
現有戦力での戦闘は、避けるべきと進言します。』

…危険度Bは、今までで一番高い。ナビさんが戦闘を避けるべきって言うくらいだから、余程やばいんだろうな…
昨夜襲撃をした魔物モンスターが、そんなやばい奴らで、今も同じ場所に留まっているってことは…
おそらく荷馬車の方に生き残りは居ないだろう…

(ナビさん、一応聞くけど生存者は?)

『情報提示。荷馬車が2台、無傷で残っています。防御結界の様な魔法反応もあるため、生存者のいる可能性はあります。』

…まじか…
誰も残ってないの確認出来れば、ヒール加速で一気に突破すればいいと思って聞いただけなのに…
完全に裏目…聞かなきゃ良かったよ…

「はぁ…」

「ぼん?ため息なんかついてどうしたの?」

俺のため息に気がついた優子マメが声をかけてきた。

「いや…んー…」

「なに?…なにかあったの?」

隠していても、良いことはない…か?
どうせ、もうすぐしたら嫌でも煙が見えてきて分かる事だし、その前に正確な情報を渡しておいた方が、慌てないで対処できるかもしれないしな…

「よし…みんな、食べながらでいいから、少し聞いてもらえるか?…」

俺は、この先に魔物モンスター、それもかなり危険だと思われる一団がいて、その一団に荷馬車を襲って壊滅していること。
生存者がいるかどうかは分からないが、仮に居たとしても、助けるとなったらこちらも怪我をする可能性、最悪死ぬ可能性もあること。
それらを、できるだけ簡単に感情がこもらないように伝える。
そして自分の中でももう一度、何を優先するべきかを考え直した…

「…正直言って、俺はこのまま進むべきだと思っている。生存者がいるかどうかも分からないのに、わざわざ危険を冒す必要はないからな。」

「え?助けに行かないんですか?」

シーホが意外そうに聞いてきた。
そんなに変なことだろうか?

「…俺が優先するべきなのは、ここに居る家族の命を守ることだ。赤の他人、それも、いるかどうかも分からない相手の為に、命を危険にさらす事じゃない。」

「でも…私のことは助けてくれたじゃないですか?」

「…シーホを助けたのは…あれは親父さんに頼まれたからだ…」

微妙な空気が流れてしまう…
これは俺のせいじゃないぞ?

「ぼん。私は良いけど、シーちゃんには、ちゃんと説明してあげないと分からないよ?」

「分からない?何がだ?ちゃんと説明しただろ?」

ため息とともに優子マメは続ける。

「ぼんは頭の中で自己完結して、結果だけ喋ることがあるからね。どうしてそう考えたのかを伝えないと、ほとんどの人は意味不明だと思うよ?」

「…いや、そんなことは…え?本当に?」

優子マメの発言を否定しようとしたが、同意するようにシーホが頷いているのを見て、少し驚いた。
出会って数日なのに…

「だから、このまま進むことに決めた理由も、シーちゃんに話してあげて。そうじゃないと、変な誤解が生まれちゃうだけだからね。」

…なんだろう、ほんのちょっとだけ釈然としない気分になってしまった…
だが、言ってることは分かる…
期間限定とはいえ、1年近く一緒に過ごすことになったんだし、変な誤解は産まない方がいいのは確かだと思うからね。

「…えっと、それじゃ…大きな理由は3つあるんだけど…順番に説明すればいいか?」

コクコクと頷くシーホに、俺の考えを説明することになってしまった。
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