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序
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ここは中国風の宮殿の一室。そこで、ある太った初老の男が、ボロボロの中国服を着た老若男女から口々に「毛沢東主席万歳!」と祝福されていた。
(はぁ? 俺が毛沢東だって? いやいや、似たような話がライトノベル『オーバーロード』であったよな。確か、アンデッドの魔王の体に、平凡な男が転移してしまう話だったか……)
初老の男は、「いや、俺は毛沢東主席なんて立派な男じゃないぞ。本当は……」としどろもどろに反論しようとしたが、脇に控えていた白髪の老女に思いっきり足を踏まれる。
「バカだねぇ。こういうときは、素直に祝福を受けておくものさね。だいたい、毛沢東という男が、天下をとってから、どれだけのぜいたくな暮らしをしてきたか、知ってるのか? ここで偽物だなんて自分から言ってしまったら、健作はあのボロボロの服を着た貧民たちの仲間入りだよ。ここは嘘でも良いから、俺は毛沢東本人だと言っておきな」
白髪の老女ににらまれて、初老の男は大きく口を開くと、声高に宣言した。
「いかにも。俺は毛沢東である。この中華人民共和国の建国者であり、このちゅうなんかい中南海の主だ」
とたんに老若男女から「オオオオオオッ!」と歓呼の声が上がる。それを聞いているうちに、初老の男は不思議な高揚感に包まれていった。
(ああ、この幸福感……。この充足感……。今まで勉強もスポーツもダメなやつだとバカにされてきた俺の人生には、まるで縁が無かったものだ。これを守るためなら、マジでどんな悪いことでもできそうだ……)
初老の男は、いつの間にか涙を流していた。
(はぁ? 俺が毛沢東だって? いやいや、似たような話がライトノベル『オーバーロード』であったよな。確か、アンデッドの魔王の体に、平凡な男が転移してしまう話だったか……)
初老の男は、「いや、俺は毛沢東主席なんて立派な男じゃないぞ。本当は……」としどろもどろに反論しようとしたが、脇に控えていた白髪の老女に思いっきり足を踏まれる。
「バカだねぇ。こういうときは、素直に祝福を受けておくものさね。だいたい、毛沢東という男が、天下をとってから、どれだけのぜいたくな暮らしをしてきたか、知ってるのか? ここで偽物だなんて自分から言ってしまったら、健作はあのボロボロの服を着た貧民たちの仲間入りだよ。ここは嘘でも良いから、俺は毛沢東本人だと言っておきな」
白髪の老女ににらまれて、初老の男は大きく口を開くと、声高に宣言した。
「いかにも。俺は毛沢東である。この中華人民共和国の建国者であり、このちゅうなんかい中南海の主だ」
とたんに老若男女から「オオオオオオッ!」と歓呼の声が上がる。それを聞いているうちに、初老の男は不思議な高揚感に包まれていった。
(ああ、この幸福感……。この充足感……。今まで勉強もスポーツもダメなやつだとバカにされてきた俺の人生には、まるで縁が無かったものだ。これを守るためなら、マジでどんな悪いことでもできそうだ……)
初老の男は、いつの間にか涙を流していた。
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