お兄ちゃんのことが好きすぎて困ってしまう件

王太白

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 優菜の活躍により、川上くんはしぶしぶながら、中原くんと和解の握手を交わした。中原くんは心底ホッとしていた様子だが、川上くんには不満の色が見てとれた。機会さえあれば、もう一度、中原くんにケンカをふっかける気だろう。
「今回の和解は、あまり長続きしないよね。『平和とは、次の戦争までのだまし合いの期間に過ぎない』なんて、どこかの本に書いてあったしさ。そのとき、私が仲裁しようとしたとして、ついてきてくれるクラスメイトが大勢いれば良いんだけど……」
「まあ、優菜ちゃんが今回みたいに体を張って止めてくれるなら、ついてくる子は大勢いると思うよ。ウチだって、優菜ちゃんの行動力で味方に加わったようなものだしね」
 優菜は亜美子ちゃんと一緒に帰りながら話す。
「そうそう。オレも、川上くんの子分から解放されたしさ。まあ、あれから万引きのことが学校にバレて、親にも先生にもこっぴどく怒られたうえに、万引きした店にまで連れて行かされて土下座させられたけどな。それでも、川上くんの小間使いにされるよりは、だいぶマシってもんだ。勇気をくれた秋月さんには、感謝しかないよ」
 内海くんも横から嬉しそうに言う。内海くんも、いつの間にか優菜たちのグループに加わっていた。以前よりも屈託なく笑う様子は、胸のつかえが取れたように見える。
 優菜の活躍を聞いた優斗は、満足そうにうなずいた。
「どうだ? 小説を書くには、かなりの本を読んだりしなければならず、勉強が必要だが、あながち無駄ではなく、実生活にも役立つものだと、身にしみてわかっただろう」
「うん。でも、小説を書いてばかりだと、ケンカには強くなれないよね。だけど、人の心を動かす術は、前よりもわかった気がする。小説を書く効能って、急に目に見えて現れるわけじゃないけど、ジワジワと現れてくるものなのかな?」
「それは、これから優菜が自分で見つけていくものだろう。俺は優菜本人じゃないから、最適解を見出すことはできない」
「そうか。私が自ら見つけなきゃ、最適解にはたどり着けないか……。お兄ちゃんは厳しいな。でも、私は小説を書いてみて良かったと思えるよ。亜美子ちゃんとかの友達も増えたしさ」
 それから数日間、優斗は学園ものの小説を読み漁っていた。ジャンルも古典的な恋愛ものから、ケンカを扱うものまで多岐にわたる。
「お兄ちゃん、そんなに学園ものを読み始めて、どうしたの? 今まで、思想や哲学とかが中心だったのに」
「いや、深い意味は無いんだがな……。ただ、優菜が成果を挙げたから、俺も負けてはいられないと、発奮させられただけだ。次は絶対、学園もので優菜に勝ちたくてな」
 優斗はニヤリと笑う。
「もう、お兄ちゃんったら、負けず嫌いの子供みたいなんだから……」
 優菜もつられて、プッと笑った。
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