289 / 300
最終章 彼女の会話はとめどない
足掻いても足掻いても 1
しおりを挟む
ザイードは、腕組みをして座っている。
キャスのことを考えていた。
家の中は、とても静かだ。
それを寂しく感じている。
(結局、余は言えぬのだな)
言わなければ後悔する、と思った。
だが、ザイードは言わないことにしたのだ。
キャスの気持ちが自分にないからではない。
臆病だからでもなかった。
キャスの覚悟を悟ったからだ。
アヴィオとナニャは、長としての優位性を突きつけ合っている。
お互いに好意があっても、長同士は番にはなれない。
どちらかが、長を退く必要があった。
それと似ている。
キャスは、自らを「ラーザの女王」だと名乗ったのだ。
それは、ひとつの種族をまとめる立場を明確にしたという意味を持つ。
魔物でも、個としての種族間の交わりはあれど、種族同士がひとつになることはないのだ。
子が大人になるまで領土を出ないのは、生きるすべが違うからだった。
それぞれの種族には、それぞれの生きかたというものがある。
食べるものの違いに、狩りの仕方や家の作りかた、着るものも言葉遣いも違う。
それを学んだうえで、他の種族とのつきあいを考えるのだ。
魔物という大きな括りの中では同胞でも、その前に同種のものの存在がある。
魔物は自然の理で生きてはいるが、各種族の特徴を受け継いでいた。
自分の種族を知らなければ、ほかの種族との違いを認められなくなる。
逆に言えば、自分とほかの種族は違うのだという前提にいるので、その違いを、当然のこととして受けとめられるのだ。
『人になろうとしても、魔物は魔物にござりますれば』
ラシッドの言葉を思い出す。
ザイードは、わずかに苦笑いをもらした。
「……3桁にもならぬ弟に、理を説かれるとはの……情けなき兄ぞ……」
ラシッドの言う通り、魔物は人にはなれない。
人も魔物にはなれない。
番になることはできるだろうが、互いの持つ理が混じることはないのだ。
それは、どうやってもわかり合えない、受け入れることのできないものができるということを意味する。
キャスは、魔物でいう「長」だと、自らで示した。
だが、キャスは魔物ではないのだ。
今までは、人でもなく、中間種だったのだけれども。
(そなたは、人であることを選ぶのだな)
キャス自身が、そう決めている。
なんの覚悟もなく言ったわけではないだろう。
わかっているので、ザイードは、自分の心を打ち明けないことにした。
人と魔物は共存できない。
キャスも、そう思っているに違いない。
わかっていて「ラーザの女王」を名乗った。
ならば、それをザイードは受け入れる。
そう決めた。
キャスが、それでも、魔物を守ろうとしていると、知っていたからだ。
そのためにこその覚悟であり、決断だった。
尊重しないなど、有り得ない。
キャスの心を認めるのが、自然の理だ。
キャスは、人として生きようとしている。
その想いの前では、なにを言うこともできなかった。
これから先の長い時間の中で、いずれ今の気持ちも薄れていく。
キャスのいない日々が、日常となる時が来る。
「なるべくして、なる……ということぞ」
ラシッドには「3桁になっても腰抜け」と言われるかもしれない。
ダイスには「頑固者」だと呆れられるだろう。
だとしても、自分にできるのはキャスの覚悟を受け止めることだけなのだ。
ザイードは魔物だった。
自然の理に生き、やりたいことをやりたいようにやる。
今までそうしてきたし、これからも、そうするのだ。
誰になんと言われても。
「ままならぬものよな。3桁になっても、己の心ひとつ、どうにもできぬ」
決断と感情は別物だった。
寂しいものは寂しい。
どうしようもなく胸が痛くなる。
今さらに、キャスが、これほど大きな存在になっていたのか、と思った。
キャスに出会うまで、ザイードは「愛しい」という感情を知らずにいたのだ。
守るべきは民であり、固有の誰かではなかった。
好ましいと思う気持ちも同じで、そこに優劣はない。
なので、番を持つことも、持ちたいと思う気持ちも、理解できずにいた。
なにが違うのか、と。
特別な相手ができて、初めてわかったのだ。
キャスの隣には自分がいて、自分の隣にはキャスがいる。
そんな毎日を望む、その気持ちが「愛しい」ということなのだと知った。
ほかの誰かでは意味がない。
そう思えるほどに、感情が勝手に揺らぐ。
ふう…と、ザイードは息を吐いた。
キャスの覚悟に、自分も応えなければならない。
決めたキャスを、残酷だとは思っていなかった。
(少なくとも、キャスは泣けるようになったのだ……それは自然の理ぞ……)
涙だけを流し、声を出さない。
そんな泣きかたは、不自然なのだ。
悲しみや嘆きをいだき続けることはある。
だが、声を上げて泣くことで、ほんのわずか心の傷みが癒される。
たとえ、本人が癒されるのを望んでいなくても。
ザイードは、ゆっくりと立ち上がった。
周りは暗い。
あえて明かりは灯していなかったからだ。
「よう、魔物」
声がする前から、気配は察している。
だが、呼びかけられたので、そちらに視線を向けた。
暗闇の中でも、その姿が鮮明に見える。
これが、ベンジャミン・サレス、という名の者なのだろう。
中は、魔人だ。
開発施設で戦ったのとは違う男だが、口調は似ている。
なにより、うっすらと黒い魔力の影がまとわりついていた。
「余は、お前を待っておったのだ」
「だろうな。俺も、お前がいると思ってたぜ?」
魔人は、少し嫌そうな顔をする。
開発施設でも「獣くさいのは嫌い」だと言われていた。
魔物の魔力が匂うのだろう。
ザイードも含め、魔物同士でも「匂い」は感じるのだ。
嫌いだとは思わないが、それはともかく。
「キャスはおらぬぞ」
「そうかよ。ま、そのほうが俺にとっちゃ都合がいい」
「お前は、キャスを殺しに来たのかと思うたがな」
「いいや、俺は、お前を殺しに来たのさ」
「かまわぬぞ。好きにいたせ。だが、無為に殺される気なぞない」
魔人は人の体を使っている。
魔力攻撃を弾く装備もつけているはずだ。
とはいえ、1対1の攻撃なら、問題はない。
人の動きは限られている。
「いやに、余裕じゃねぇか」
警戒しているらしく、魔人がザイードと距離を取っていた。
室内なので、ザイードも動きは制限される。
それに、大きな「縛り」があった。
ザイードは、ベンジャミン・サレスを殺せない。
(殺さぬように無力化せねばならぬのが、ちと厄介よな)
そのため、自分からは仕掛けずにいる。
魔人が仕掛けてきたら、動けばいいのだ。
間合いに入ってくれば、こちらの有利になる。
「へえ。なんだかよくわからねぇが、お前は俺を殺したくねぇんだろ? いや、この体を、か? 生け捕りにしてぇんだな?」
「で、あれば、なんとする?」
「そりゃあ、こっちの有利に動くに決まってんじゃねぇか」
魔人が、さらに距離を取った。
手に銃を構えている。
それは想定内だ。
引き金が引かれても、ザイードは慌てない。
サッと躱す。
後ろで、なにかの壊れる音が響いた。
隣近所のものたちは、何日か前から、あらかじめ避難させている。
いずれ魔人が、ここに来るとわかっていた。
「お前の攻撃は、前の奴と同じぞ」
「そりゃあ、しかたねぇな。あっちのほうが、つきあいが長かったもんでね」
ザイードは、開発施設から戻って以来、フィッツと、しばしば鍛錬をしている。
フィッツが銃弾を軽々と避けているのを見て、不思議だったのだ。
フィッツだけにできることなのか、鍛錬すればできるようになれるのか。
訊いたザイードに、フィッツは淡々とした口調で言っている。
『ザイードさんなら避けられますよ。目がいいですからね』
キャスを守るためにも、人との戦いかたを知っておきたかった。
フィッツも、それを察していたのだろう、と思う。
(あやつ、なぜか、最近、余とキャスだけにすることが多かったが……)
ザイードが人との戦いかたを覚えたと見込んだからかもしれない。
護衛役としてキャスを任せていたのは確かだ。
あんなに「使命」を口にしていたのにとは思っていたものの、キャスといられるのが楽しかったので、喜んで引き受けていた。
「どういたす、魔人? 余は、銃なぞ恐れはせぬぞ?」
銃を手に、魔人が肩をすくめる。
開発施設の時よりも、本気が感じられない。
からかっているような雰囲気が、気に食わなかった。
キャスのことを考えていた。
家の中は、とても静かだ。
それを寂しく感じている。
(結局、余は言えぬのだな)
言わなければ後悔する、と思った。
だが、ザイードは言わないことにしたのだ。
キャスの気持ちが自分にないからではない。
臆病だからでもなかった。
キャスの覚悟を悟ったからだ。
アヴィオとナニャは、長としての優位性を突きつけ合っている。
お互いに好意があっても、長同士は番にはなれない。
どちらかが、長を退く必要があった。
それと似ている。
キャスは、自らを「ラーザの女王」だと名乗ったのだ。
それは、ひとつの種族をまとめる立場を明確にしたという意味を持つ。
魔物でも、個としての種族間の交わりはあれど、種族同士がひとつになることはないのだ。
子が大人になるまで領土を出ないのは、生きるすべが違うからだった。
それぞれの種族には、それぞれの生きかたというものがある。
食べるものの違いに、狩りの仕方や家の作りかた、着るものも言葉遣いも違う。
それを学んだうえで、他の種族とのつきあいを考えるのだ。
魔物という大きな括りの中では同胞でも、その前に同種のものの存在がある。
魔物は自然の理で生きてはいるが、各種族の特徴を受け継いでいた。
自分の種族を知らなければ、ほかの種族との違いを認められなくなる。
逆に言えば、自分とほかの種族は違うのだという前提にいるので、その違いを、当然のこととして受けとめられるのだ。
『人になろうとしても、魔物は魔物にござりますれば』
ラシッドの言葉を思い出す。
ザイードは、わずかに苦笑いをもらした。
「……3桁にもならぬ弟に、理を説かれるとはの……情けなき兄ぞ……」
ラシッドの言う通り、魔物は人にはなれない。
人も魔物にはなれない。
番になることはできるだろうが、互いの持つ理が混じることはないのだ。
それは、どうやってもわかり合えない、受け入れることのできないものができるということを意味する。
キャスは、魔物でいう「長」だと、自らで示した。
だが、キャスは魔物ではないのだ。
今までは、人でもなく、中間種だったのだけれども。
(そなたは、人であることを選ぶのだな)
キャス自身が、そう決めている。
なんの覚悟もなく言ったわけではないだろう。
わかっているので、ザイードは、自分の心を打ち明けないことにした。
人と魔物は共存できない。
キャスも、そう思っているに違いない。
わかっていて「ラーザの女王」を名乗った。
ならば、それをザイードは受け入れる。
そう決めた。
キャスが、それでも、魔物を守ろうとしていると、知っていたからだ。
そのためにこその覚悟であり、決断だった。
尊重しないなど、有り得ない。
キャスの心を認めるのが、自然の理だ。
キャスは、人として生きようとしている。
その想いの前では、なにを言うこともできなかった。
これから先の長い時間の中で、いずれ今の気持ちも薄れていく。
キャスのいない日々が、日常となる時が来る。
「なるべくして、なる……ということぞ」
ラシッドには「3桁になっても腰抜け」と言われるかもしれない。
ダイスには「頑固者」だと呆れられるだろう。
だとしても、自分にできるのはキャスの覚悟を受け止めることだけなのだ。
ザイードは魔物だった。
自然の理に生き、やりたいことをやりたいようにやる。
今までそうしてきたし、これからも、そうするのだ。
誰になんと言われても。
「ままならぬものよな。3桁になっても、己の心ひとつ、どうにもできぬ」
決断と感情は別物だった。
寂しいものは寂しい。
どうしようもなく胸が痛くなる。
今さらに、キャスが、これほど大きな存在になっていたのか、と思った。
キャスに出会うまで、ザイードは「愛しい」という感情を知らずにいたのだ。
守るべきは民であり、固有の誰かではなかった。
好ましいと思う気持ちも同じで、そこに優劣はない。
なので、番を持つことも、持ちたいと思う気持ちも、理解できずにいた。
なにが違うのか、と。
特別な相手ができて、初めてわかったのだ。
キャスの隣には自分がいて、自分の隣にはキャスがいる。
そんな毎日を望む、その気持ちが「愛しい」ということなのだと知った。
ほかの誰かでは意味がない。
そう思えるほどに、感情が勝手に揺らぐ。
ふう…と、ザイードは息を吐いた。
キャスの覚悟に、自分も応えなければならない。
決めたキャスを、残酷だとは思っていなかった。
(少なくとも、キャスは泣けるようになったのだ……それは自然の理ぞ……)
涙だけを流し、声を出さない。
そんな泣きかたは、不自然なのだ。
悲しみや嘆きをいだき続けることはある。
だが、声を上げて泣くことで、ほんのわずか心の傷みが癒される。
たとえ、本人が癒されるのを望んでいなくても。
ザイードは、ゆっくりと立ち上がった。
周りは暗い。
あえて明かりは灯していなかったからだ。
「よう、魔物」
声がする前から、気配は察している。
だが、呼びかけられたので、そちらに視線を向けた。
暗闇の中でも、その姿が鮮明に見える。
これが、ベンジャミン・サレス、という名の者なのだろう。
中は、魔人だ。
開発施設で戦ったのとは違う男だが、口調は似ている。
なにより、うっすらと黒い魔力の影がまとわりついていた。
「余は、お前を待っておったのだ」
「だろうな。俺も、お前がいると思ってたぜ?」
魔人は、少し嫌そうな顔をする。
開発施設でも「獣くさいのは嫌い」だと言われていた。
魔物の魔力が匂うのだろう。
ザイードも含め、魔物同士でも「匂い」は感じるのだ。
嫌いだとは思わないが、それはともかく。
「キャスはおらぬぞ」
「そうかよ。ま、そのほうが俺にとっちゃ都合がいい」
「お前は、キャスを殺しに来たのかと思うたがな」
「いいや、俺は、お前を殺しに来たのさ」
「かまわぬぞ。好きにいたせ。だが、無為に殺される気なぞない」
魔人は人の体を使っている。
魔力攻撃を弾く装備もつけているはずだ。
とはいえ、1対1の攻撃なら、問題はない。
人の動きは限られている。
「いやに、余裕じゃねぇか」
警戒しているらしく、魔人がザイードと距離を取っていた。
室内なので、ザイードも動きは制限される。
それに、大きな「縛り」があった。
ザイードは、ベンジャミン・サレスを殺せない。
(殺さぬように無力化せねばならぬのが、ちと厄介よな)
そのため、自分からは仕掛けずにいる。
魔人が仕掛けてきたら、動けばいいのだ。
間合いに入ってくれば、こちらの有利になる。
「へえ。なんだかよくわからねぇが、お前は俺を殺したくねぇんだろ? いや、この体を、か? 生け捕りにしてぇんだな?」
「で、あれば、なんとする?」
「そりゃあ、こっちの有利に動くに決まってんじゃねぇか」
魔人が、さらに距離を取った。
手に銃を構えている。
それは想定内だ。
引き金が引かれても、ザイードは慌てない。
サッと躱す。
後ろで、なにかの壊れる音が響いた。
隣近所のものたちは、何日か前から、あらかじめ避難させている。
いずれ魔人が、ここに来るとわかっていた。
「お前の攻撃は、前の奴と同じぞ」
「そりゃあ、しかたねぇな。あっちのほうが、つきあいが長かったもんでね」
ザイードは、開発施設から戻って以来、フィッツと、しばしば鍛錬をしている。
フィッツが銃弾を軽々と避けているのを見て、不思議だったのだ。
フィッツだけにできることなのか、鍛錬すればできるようになれるのか。
訊いたザイードに、フィッツは淡々とした口調で言っている。
『ザイードさんなら避けられますよ。目がいいですからね』
キャスを守るためにも、人との戦いかたを知っておきたかった。
フィッツも、それを察していたのだろう、と思う。
(あやつ、なぜか、最近、余とキャスだけにすることが多かったが……)
ザイードが人との戦いかたを覚えたと見込んだからかもしれない。
護衛役としてキャスを任せていたのは確かだ。
あんなに「使命」を口にしていたのにとは思っていたものの、キャスといられるのが楽しかったので、喜んで引き受けていた。
「どういたす、魔人? 余は、銃なぞ恐れはせぬぞ?」
銃を手に、魔人が肩をすくめる。
開発施設の時よりも、本気が感じられない。
からかっているような雰囲気が、気に食わなかった。
10
あなたにおすすめの小説
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
赤貧令嬢の借金返済契約
夏菜しの
恋愛
大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。
いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。
クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。
王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。
彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。
それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。
赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。
【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる