122 / 304
第2章 黒い風と金のいと
そんなこととは露知らず 2
しおりを挟む
グレイの唐突な「退職願」に、レティシアは驚いた。
が、すぐに気を取り直している。
「街で、なんかあったんでしょ?」
それ以外に考えられない。
グレイが自ら退職したがるなんて、ありえないからだ。
グレイは祖父に心酔している。
幼い身で魔術騎士の隊に入り、執事修行をしてまで、祖父の側にいることを望んでいた。
にもかかわらず、退職をしたいと言う。
不自然過ぎて、話にならない。
「言って」
少し強い調子で、レティシアはグレイに呼びかけた。
話したくない様子なのは、わかっている。
グレイにはグレイなりの想いもあるのだろう。
だとしても、簡単に「退職願」を受理するわけにはいかない。
単なる職場の人であってでさえ、退職するとなれば、何があったのだろう、と考えずにはいられなかった。
ましてや、グレイは単なる職場の人とは違う。
大事な身内だ。
サリーが何か言いかけたが、その前に声がかけられていた。
「私戦を挑まれたのだね」
祖父の声は穏やかで、グレイを責めるものではない。
が、グレイはひどく緊張した様子になり、うつむいている。
レティシアはレティシアで、祖父の「私戦」との言葉に、怯んでいた。
驚くというよりも、一瞬で緊迫感につつまれたのだ。
(私戦……家同士の……)
少し前に、グレイやサリーと勉強したばかりだった。
とても荒っぽくて貴族らしからぬ風習。
とはいえ、この世界では、それがまかり通っている。
いわゆる「合法」なのだ。
「相手は、ラペル公爵家かな?」
祖父が聞いたのは、グレイではなかった。
グレイの後ろに立っていた3人を見ている。
テオが、くっと顔を上げ、前に進み出てきた。
「そうです。ラペルの家の騎士でした」
「そんなところだろうね」
なんでもなさそうな口調に、レティシアは少し安心する。
おそらく祖父は、なんとかする手立てを持っているに違いない。
グレイが退職なんかせずにすんで、事を荒立てないような、何かを。
(だよね。お祖父さまだもん。大丈夫だよ)
が、グレイは、うつむいたままだ。
祖父のゆるやかな声にも、顔を上げようとしない。
その姿を見て我慢できなくなったのか、テオが口を開く。
「グレイが悪いんじゃねぇんすよ! 悪いってなら、俺だ! 俺が、あいつのこと突き飛ばしたからっ……」
「それは、私を庇ったからでしょ!」
横からアリシアが口を挟んできた。
すると、隣にいたジョーも黙ってはいない。
「元はと言えば、私があいつのこと、うまくあしらえなかったせいで……」
声が重なり合う中、パンパンっという手を打つ音が響く。
祖父が両手を叩き、3人を制したのだ。
すぐに3人が黙り込む。
「事情はわかったよ」
レティシアにも、だいたいの予想がついた。
まずジョーが、その騎士に絡まれでもしたのだろう。
それをアリシアが庇い、そのアリシアをテオが庇った。
結果、テオに突き飛ばされた騎士が、私戦を挑んできたということだ。
「きみたちに非があるとは、誰も思っていないさ」
こくりとレティシアもうなずく。
そもそも、その騎士がジョーに「あしらわれる」ような何かをしたのが悪い。
アリシアがジョーを庇うのもわかるし、テオの気持ちもわかる。
レティシアが、その場にいたら、きっと同じことをしていた。
むしろ、先んじて、その騎士に食ってかかっていただろう。
「私が……愚かだったのです……」
グレイが力なく、そう言った。
彼は、まだうなだれている。
「その通りだ。きみは、もう騎士ではないのだからね」
グレイは元魔術騎士だが、今は執事として屋敷勤めをしている。
さりとて、騎士としての資質は捨てられるものではないはずだ。
あの地下室でも、グレイは騎士として戦ったに違いない。
見れば、サリーが沈痛な面持ちでいる。
まるでグレイが悪いとでも言うような表情だ。
「……お祖父さま……あの……グレイ、悪くないよね……?」
重過ぎる空気に、なんだか不安になっていた。
レティシアの感覚からすれば、グレイはちっとも悪くない。
やられたらやり返せ、とは言わないが、身内を助けようとするのは当然のことに思える。
が、静かに祖父は首を横に振った。
「いいや、グレイが悪い」
「……なんで? だって、グレイは……」
「彼が騎士ではなく、執事に徹しきれていれば、私戦は避けられたのだよ」
うなだれたままのグレイを、祖父は見つめている。
どんな感情が、その瞳にあるのか、レティシアにはわからなかった。
いつにない、祖父の厳しさを感じる。
「私戦は、騎士同士でなければ成立しないのでね」
パッと、レティシアは4人を見た。
グレイ以外の3人は平民だ。
グレイは貴族出身であり、元魔術騎士。
グレイ以外の者とでは、私戦は成立しない。
喉が、こくりと上下する。
もし市場に行ったのが3人だけだったら、こんなことにはなっていない。
もしかすると怪我をさせられていたかもしれないが、私戦にまでは発展していなかった。
『なら、グレイもついて行ってあげれば?』
自分の声が耳に蘇ってくる。
グレイを一緒に行かせたのはレティシアだ。
その安易な判断が、グレイを窮地に立たせている。
また自分のせいで、周りに迷惑をかけてしまった。
「違うよ。グレイのせいじゃない。3人についてってって頼んだのは私だもん。だから、私のせいだよ。グレイは、悪くない」
この世界は、前の世界とは違う。
わかっていたつもりでも、まったくわかっていなかった。
王子様を世間知らずだと思っていたが、自分だって変わらない。
本の上での知識だけで、わかった気になっていたのが間違いだった。
「たとえレティがグレイを行かせたのだとしても、それは関係のないことだ。グレイが騎士として振る舞ったことが問題なのだからね」
いつもはレティシアに甘く、どんなことでも許してくれる。
その祖父が、レティシアの言葉を否定していた。
「ともかく、グレイには、この屋敷から出て行ってもらう」
「そんな……っ……」
「わかったね、グレイ」
最後通牒に、グレイがようやく顔を上げる。
が、すぐに頭を下げた。
「かしこまりました」
誰も何も言わない。
ぎゅうっと、胸が圧し潰されそうになる。
「嫌だ! 嫌だよ、お祖父さま!」
レティシアは、祖父にすがりついた。
一心に祖父の瞳を見つめて言う。
「ここから出たら、グレイ、殺されちゃうよ! グレイが強くたって、相手は家ぐるみで来るんだよっ? そんなの、グレイ、死んじゃう! お祖父さま!」
祖父の困ったような表情に、目が潤んできた。
何を言っても駄目な気がしたからだ。
それでも、諦めきれない。
「お願い、お願い、お願い! 一生に一度のお願い! グレイを助けてあげて! この先、どんな我儘もしないし、お願いもしないから!」
祖父が、レティシアの頭を、いつものように撫でてくる。
困ったような笑みは消えていなかった。
そして、穏やかな口調でレティシアに訊ねる。
「この決断は覆らない。それでも、レティ、お前は私を信じるかい?」
が、すぐに気を取り直している。
「街で、なんかあったんでしょ?」
それ以外に考えられない。
グレイが自ら退職したがるなんて、ありえないからだ。
グレイは祖父に心酔している。
幼い身で魔術騎士の隊に入り、執事修行をしてまで、祖父の側にいることを望んでいた。
にもかかわらず、退職をしたいと言う。
不自然過ぎて、話にならない。
「言って」
少し強い調子で、レティシアはグレイに呼びかけた。
話したくない様子なのは、わかっている。
グレイにはグレイなりの想いもあるのだろう。
だとしても、簡単に「退職願」を受理するわけにはいかない。
単なる職場の人であってでさえ、退職するとなれば、何があったのだろう、と考えずにはいられなかった。
ましてや、グレイは単なる職場の人とは違う。
大事な身内だ。
サリーが何か言いかけたが、その前に声がかけられていた。
「私戦を挑まれたのだね」
祖父の声は穏やかで、グレイを責めるものではない。
が、グレイはひどく緊張した様子になり、うつむいている。
レティシアはレティシアで、祖父の「私戦」との言葉に、怯んでいた。
驚くというよりも、一瞬で緊迫感につつまれたのだ。
(私戦……家同士の……)
少し前に、グレイやサリーと勉強したばかりだった。
とても荒っぽくて貴族らしからぬ風習。
とはいえ、この世界では、それがまかり通っている。
いわゆる「合法」なのだ。
「相手は、ラペル公爵家かな?」
祖父が聞いたのは、グレイではなかった。
グレイの後ろに立っていた3人を見ている。
テオが、くっと顔を上げ、前に進み出てきた。
「そうです。ラペルの家の騎士でした」
「そんなところだろうね」
なんでもなさそうな口調に、レティシアは少し安心する。
おそらく祖父は、なんとかする手立てを持っているに違いない。
グレイが退職なんかせずにすんで、事を荒立てないような、何かを。
(だよね。お祖父さまだもん。大丈夫だよ)
が、グレイは、うつむいたままだ。
祖父のゆるやかな声にも、顔を上げようとしない。
その姿を見て我慢できなくなったのか、テオが口を開く。
「グレイが悪いんじゃねぇんすよ! 悪いってなら、俺だ! 俺が、あいつのこと突き飛ばしたからっ……」
「それは、私を庇ったからでしょ!」
横からアリシアが口を挟んできた。
すると、隣にいたジョーも黙ってはいない。
「元はと言えば、私があいつのこと、うまくあしらえなかったせいで……」
声が重なり合う中、パンパンっという手を打つ音が響く。
祖父が両手を叩き、3人を制したのだ。
すぐに3人が黙り込む。
「事情はわかったよ」
レティシアにも、だいたいの予想がついた。
まずジョーが、その騎士に絡まれでもしたのだろう。
それをアリシアが庇い、そのアリシアをテオが庇った。
結果、テオに突き飛ばされた騎士が、私戦を挑んできたということだ。
「きみたちに非があるとは、誰も思っていないさ」
こくりとレティシアもうなずく。
そもそも、その騎士がジョーに「あしらわれる」ような何かをしたのが悪い。
アリシアがジョーを庇うのもわかるし、テオの気持ちもわかる。
レティシアが、その場にいたら、きっと同じことをしていた。
むしろ、先んじて、その騎士に食ってかかっていただろう。
「私が……愚かだったのです……」
グレイが力なく、そう言った。
彼は、まだうなだれている。
「その通りだ。きみは、もう騎士ではないのだからね」
グレイは元魔術騎士だが、今は執事として屋敷勤めをしている。
さりとて、騎士としての資質は捨てられるものではないはずだ。
あの地下室でも、グレイは騎士として戦ったに違いない。
見れば、サリーが沈痛な面持ちでいる。
まるでグレイが悪いとでも言うような表情だ。
「……お祖父さま……あの……グレイ、悪くないよね……?」
重過ぎる空気に、なんだか不安になっていた。
レティシアの感覚からすれば、グレイはちっとも悪くない。
やられたらやり返せ、とは言わないが、身内を助けようとするのは当然のことに思える。
が、静かに祖父は首を横に振った。
「いいや、グレイが悪い」
「……なんで? だって、グレイは……」
「彼が騎士ではなく、執事に徹しきれていれば、私戦は避けられたのだよ」
うなだれたままのグレイを、祖父は見つめている。
どんな感情が、その瞳にあるのか、レティシアにはわからなかった。
いつにない、祖父の厳しさを感じる。
「私戦は、騎士同士でなければ成立しないのでね」
パッと、レティシアは4人を見た。
グレイ以外の3人は平民だ。
グレイは貴族出身であり、元魔術騎士。
グレイ以外の者とでは、私戦は成立しない。
喉が、こくりと上下する。
もし市場に行ったのが3人だけだったら、こんなことにはなっていない。
もしかすると怪我をさせられていたかもしれないが、私戦にまでは発展していなかった。
『なら、グレイもついて行ってあげれば?』
自分の声が耳に蘇ってくる。
グレイを一緒に行かせたのはレティシアだ。
その安易な判断が、グレイを窮地に立たせている。
また自分のせいで、周りに迷惑をかけてしまった。
「違うよ。グレイのせいじゃない。3人についてってって頼んだのは私だもん。だから、私のせいだよ。グレイは、悪くない」
この世界は、前の世界とは違う。
わかっていたつもりでも、まったくわかっていなかった。
王子様を世間知らずだと思っていたが、自分だって変わらない。
本の上での知識だけで、わかった気になっていたのが間違いだった。
「たとえレティがグレイを行かせたのだとしても、それは関係のないことだ。グレイが騎士として振る舞ったことが問題なのだからね」
いつもはレティシアに甘く、どんなことでも許してくれる。
その祖父が、レティシアの言葉を否定していた。
「ともかく、グレイには、この屋敷から出て行ってもらう」
「そんな……っ……」
「わかったね、グレイ」
最後通牒に、グレイがようやく顔を上げる。
が、すぐに頭を下げた。
「かしこまりました」
誰も何も言わない。
ぎゅうっと、胸が圧し潰されそうになる。
「嫌だ! 嫌だよ、お祖父さま!」
レティシアは、祖父にすがりついた。
一心に祖父の瞳を見つめて言う。
「ここから出たら、グレイ、殺されちゃうよ! グレイが強くたって、相手は家ぐるみで来るんだよっ? そんなの、グレイ、死んじゃう! お祖父さま!」
祖父の困ったような表情に、目が潤んできた。
何を言っても駄目な気がしたからだ。
それでも、諦めきれない。
「お願い、お願い、お願い! 一生に一度のお願い! グレイを助けてあげて! この先、どんな我儘もしないし、お願いもしないから!」
祖父が、レティシアの頭を、いつものように撫でてくる。
困ったような笑みは消えていなかった。
そして、穏やかな口調でレティシアに訊ねる。
「この決断は覆らない。それでも、レティ、お前は私を信じるかい?」
1
あなたにおすすめの小説
召喚先は、誰も居ない森でした
みん
恋愛
事故に巻き込まれて行方不明になった母を探す茉白。そんな茉白を側で支えてくれていた留学生のフィンもまた、居なくなってしまい、寂しいながらも毎日を過ごしていた。そんなある日、バイト帰りに名前を呼ばれたかと思った次の瞬間、眩しい程の光に包まれて──
次に目を開けた時、茉白は森の中に居た。そして、そこには誰も居らず──
その先で、茉白が見たモノは──
最初はシリアス展開が続きます。
❋他視点のお話もあります
❋独自設定有り
❋気を付けてはいますが、誤字脱字があると思います。気付いた時に訂正していきます。
赤貧令嬢の借金返済契約
夏菜しの
恋愛
大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。
いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。
クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。
王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。
彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。
それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。
赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。
【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。
虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~
八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。
しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。
それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。
幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。
それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。
そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。
婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。
彼女の計画、それは自らが代理母となること。
だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。
こうして始まったフローラの代理母としての生活。
しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。
さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。
ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。
※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります
※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)
牢で死ぬはずだった公爵令嬢
鈴元 香奈
恋愛
婚約していた王子に裏切られ無実の罪で牢に入れられてしまった公爵令嬢リーゼは、牢番に助け出されて見知らぬ男に託された。
表紙女性イラストはしろ様(SKIMA)、背景はくらうど職人様(イラストAC)、馬上の人物はシルエットACさんよりお借りしています。
小説家になろうさんにも投稿しています。
転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。
恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに!
しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに……
見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!?
小説家になろうでも公開しています。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品
このたび、あこがれ騎士さまの妻になりました。
若松だんご
恋愛
「リリー。アナタ、結婚なさい」
それは、ある日突然、おつかえする王妃さまからくだされた命令。
まるで、「そこの髪飾りと取って」とか、「窓を開けてちょうだい」みたいなノリで発せられた。
お相手は、王妃さまのかつての乳兄弟で護衛騎士、エディル・ロードリックさま。
わたしのあこがれの騎士さま。
だけど、ちょっと待って!! 結婚だなんて、いくらなんでもそれはイキナリすぎるっ!!
「アナタたちならお似合いだと思うんだけど?」
そう思うのは、王妃さまだけですよ、絶対。
「試しに、二人で暮らしなさい。これは命令です」
なーんて、王妃さまの命令で、エディルさまの妻(仮)になったわたし。
あこがれの騎士さまと一つ屋根の下だなんてっ!!
わたし、どうなっちゃうのっ!? 妻(仮)ライフ、ドキドキしすぎで心臓がもたないっ!!
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる