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αとかΩとか運命とか…。〈紬side〉
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「まずはじめに初歩的な確認だけど…αで間違いないですね?」
いきなりぶっ込んできた。
まぁ、聞かれるだろうとは思ってはいた。思ってはいたけれど、ここまでストレートに聞かれるとは…。
「そうです。
光流君がΩだという事は初めて会った後で友人から知らされました。
ただ予想はしていましたがΩだから気になったわけではない、と自分では思っています」
思ったことを隠さずに伝える。
変に自分を良く見せよう何て思ったところで辻崎兄には通じないだろう。
「まぁ、あの日は抑制剤飲んでたしね。
紬さんも?」
やっぱり、としか思わなかった。
あの日、付き添いできていたのであろう安形さんがαだということにはすぐに気が付いた。ただ、Ωのフェロモンを全く感じなかった為〈彼〉がそうなんだろうと予測をつけたのだ。だからと言ってΩだから惹かれたわけではないと言い切る事はできる。
学校でももちろん、フィールドワークに出た先で様々なバースの相手と会う事は多々ある。それでも光流に会った時のように相手に惹かれたことは今まで無かったことだ。
「ですね。
元々フィールドワークに出る時には余計なことに巻き込まれないように抑制剤を服用してますので。あの日もあの後すぐに出発する予定でしたので服用した後でした」
淡々と進む会話。
「光流は気づいてた?」
デセールを食べながら話を聞いていた光流に急に話を振ったせいで慌てているけれど、あんな表情もするのかと真面目な話の最中なのに得した気分になってしまう。
「僕もあの時は気付いてなかったけど…途中からそうなんじゃないかとは思ってた。
何だろう、何がってわけではないんだろうけど…そうなんだろうなって」
同じような感覚で、同じように感じてくれていたら良いのに。
〈俺のΩ〉漠然とそう思う俺はおかしいのだろうか?
「フェロモン、今日は?」
辻崎兄の言葉に光流が首を横に振る。俺のフェロモンが分かるのかという質問だろう。
「あぁ、それなら抑制剤を飲んでますから」
わざわざ告げる必要はないと思っていたけれど、このタイミングで言っておいた方がいいだろう。
フェロモンがどうとか、運命がどうとか、そんな事はどうでも良い。αである自分を押し殺して〈紬結斗〉と言う1人の男として見て欲しかったのだ。
「フェロモンとか、そんな事ではなくて僕自身を見て欲しいと思ったので抑制剤を飲んできてます。光流君は…飲んでないよね?」
そうなのだ。
こちらはフェロモンで惑わすような事があってはいけないと抑制剤を飲んできたけれど、光流は飲んでいないようでこの部屋に入ってからずっと甘い匂いがしているのだ。はじめはデセールの匂いかとも思ったけれど、コースの始めにデセールが用意されるはずがない。
…抑制剤を飲んできて良かった。
強烈な程、抗えない程、そんな暴力的な香りではないものの魅惑的で蠱惑的な甘い香り。そう思うのは俺だけかもしれないが…。
「今回、光流に抑制剤を飲むようにとはあえて言いませんでした。
光流は〈運命〉を嫌うので、もしもそうならば薬を飲んでいては見逃しかねないので」
サラリと爆弾発言をしやがる。
フェロモンに惑わされていたら、運命だったのなら光流本人に拒絶されていたと言うことだろうか。
「運命なら抑制剤は関係ないのでは?」
ここまで来て退く事はできない。
運命とかそんなもの関係ない。
ただ光流の側で、光流と共に有りたいだけなんだ。
「運命じゃないのがそんなに嬉しい?」
次はなんと言えばいいのか考える俺を置き去りにして光流に声をかける。
光流は…嬉しそうに微笑んでいた。
いきなりぶっ込んできた。
まぁ、聞かれるだろうとは思ってはいた。思ってはいたけれど、ここまでストレートに聞かれるとは…。
「そうです。
光流君がΩだという事は初めて会った後で友人から知らされました。
ただ予想はしていましたがΩだから気になったわけではない、と自分では思っています」
思ったことを隠さずに伝える。
変に自分を良く見せよう何て思ったところで辻崎兄には通じないだろう。
「まぁ、あの日は抑制剤飲んでたしね。
紬さんも?」
やっぱり、としか思わなかった。
あの日、付き添いできていたのであろう安形さんがαだということにはすぐに気が付いた。ただ、Ωのフェロモンを全く感じなかった為〈彼〉がそうなんだろうと予測をつけたのだ。だからと言ってΩだから惹かれたわけではないと言い切る事はできる。
学校でももちろん、フィールドワークに出た先で様々なバースの相手と会う事は多々ある。それでも光流に会った時のように相手に惹かれたことは今まで無かったことだ。
「ですね。
元々フィールドワークに出る時には余計なことに巻き込まれないように抑制剤を服用してますので。あの日もあの後すぐに出発する予定でしたので服用した後でした」
淡々と進む会話。
「光流は気づいてた?」
デセールを食べながら話を聞いていた光流に急に話を振ったせいで慌てているけれど、あんな表情もするのかと真面目な話の最中なのに得した気分になってしまう。
「僕もあの時は気付いてなかったけど…途中からそうなんじゃないかとは思ってた。
何だろう、何がってわけではないんだろうけど…そうなんだろうなって」
同じような感覚で、同じように感じてくれていたら良いのに。
〈俺のΩ〉漠然とそう思う俺はおかしいのだろうか?
「フェロモン、今日は?」
辻崎兄の言葉に光流が首を横に振る。俺のフェロモンが分かるのかという質問だろう。
「あぁ、それなら抑制剤を飲んでますから」
わざわざ告げる必要はないと思っていたけれど、このタイミングで言っておいた方がいいだろう。
フェロモンがどうとか、運命がどうとか、そんな事はどうでも良い。αである自分を押し殺して〈紬結斗〉と言う1人の男として見て欲しかったのだ。
「フェロモンとか、そんな事ではなくて僕自身を見て欲しいと思ったので抑制剤を飲んできてます。光流君は…飲んでないよね?」
そうなのだ。
こちらはフェロモンで惑わすような事があってはいけないと抑制剤を飲んできたけれど、光流は飲んでいないようでこの部屋に入ってからずっと甘い匂いがしているのだ。はじめはデセールの匂いかとも思ったけれど、コースの始めにデセールが用意されるはずがない。
…抑制剤を飲んできて良かった。
強烈な程、抗えない程、そんな暴力的な香りではないものの魅惑的で蠱惑的な甘い香り。そう思うのは俺だけかもしれないが…。
「今回、光流に抑制剤を飲むようにとはあえて言いませんでした。
光流は〈運命〉を嫌うので、もしもそうならば薬を飲んでいては見逃しかねないので」
サラリと爆弾発言をしやがる。
フェロモンに惑わされていたら、運命だったのなら光流本人に拒絶されていたと言うことだろうか。
「運命なら抑制剤は関係ないのでは?」
ここまで来て退く事はできない。
運命とかそんなもの関係ない。
ただ光流の側で、光流と共に有りたいだけなんだ。
「運命じゃないのがそんなに嬉しい?」
次はなんと言えばいいのか考える俺を置き去りにして光流に声をかける。
光流は…嬉しそうに微笑んでいた。
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