貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第54話

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「お姉様…一体こんな所で、どうなさったのですか?」
私は馬車の横から、声をかけた。

「貴女…私に関わらないようにしたでしょ」
バレバレだった。
出来れば関わりたくない。昔を知るからこその反応だった。
「申し訳ございません」
「まぁ良いわ。
 昔のことを思えば納得できるし…とりあえず、乗ってくれないかしら?」
「お話、長くなりますか?」
「なるわね」
私はため息を付いた後、馬車に乗り込み、姉の正面に座った。

「それで?」
「貴女そんなに、気競りだったかしら?」
「時間が取れれば今日中に、旅に出たかったもので…」
「旅に出るの?」
「私は一つの世界しか知りませんから。
 もっといろいろな場所を。見てみたいなと思いまして」
「アルの予想が大当たりってことね」
「アル…アルフォンス第二王子殿下がなにか?」
「いいえ。
 アルがね、ファル家を出たらすぐ何処かに行ってしまうかも…
 と言ってたものだから心配になって…」
「それは、何の心配ですか?お姉様のおもちゃが、無くなる心配ですか?」
「もぉ、あんな事しないわ。
 アルに言われて気が付いたのに、同じ事をやったら呆れられてしまうわ。
 もう二度とやらない」

姉の言葉に何かあったのかなと思うほどの、怯えがあった。
アルフォンス様…
まさか、姉がやってきた色々を、実地で体験させ言いません…よ、ね。
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