貴方の✕✕、やめます

第106話

それから私はベットの住人とかし、スラヴェ様に全て介助してもらった。
食事を摂るために、上半身を起こそうとすると起き上がれず、彼に起こしてもらい、お手洗いのためにベットのから降りようとするとへたり込こんで、彼に起こしてもらって運んでもらい、横を向こうとして痛みで声が出たら、彼が体を支えて向きを変えてくれた。
「お手を煩わせて、すみません」
「いいや。原因は俺だ。だから今日は、俺が全部するから」
「でもそれでは、スラヴェ様が何も出来ません」
「俺はそれでもいい。今日一日、ずっとキミを見ていられる」
やさしく微笑み、うっとりととした目で私を見るスラヴェ様から、目が離せなくなっていた。

「なぁ、マリア」
「はっ、はいっ」
わたしは突然呼ばれ、びっくりして声が裏返る。
「ククッ…あの、さ。ラヴェ…って呼んでくれないか？」
「ラヴェ、様…」
「様無しで」
私は人を呼び捨てにしたことがない。
それは、必ず敬称を付けて呼ぶようにと、言われていたからだ。

「ラ、ラヴェ…」
とっても小さな声になってしまったが、なんとか呼ぶことが出来た。
聞こえたかどうか心配ではあったが、スラヴェ様には聞こえたのか、すごく嬉しそうに笑うと、私をぎゅっと抱きしめ
「ありがとう。
　今までそう呼んでくれたのは、母上だけだったんだ。
　出来ればこれからそう呼んで欲しい…が」
「せめて、様だけは付けさせてください」
「いいよ。たまに2人のときにでも、呼んでくれたら嬉しいけどね」
「努力…します」
「えっ!?それって…」
ラヴェ様は私から体を離して、まっすぐに私を見る。
「スラヴェ様からの、求婚のお申し出、お受けさせていただいても
　よろしいでしょうか？」
私の言葉に、スラヴェ様の目から涙がこぼれた。