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第107話
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「まあまあ、ご主人様が泣いていらっしゃるわ」
その声を聞き振り向くと、そこには侍女長とマーサという年配の侍女が居た。
「マ、マーサ、何で此処に居る」
「すみません。私がここの片付けを手伝っていただこうと、お呼びしたのです」
「御主人様、良かったですね。長年の思いが叶って」
「マーサ、余計なことを言うなよ」
「あら?坊ちゃまの方が、良かったかしら」
「マーサっ!」
ホホホッと笑うマーサさんは、スラヴェ様の乳母だった方で、元はスラヴェ様のお母様の侍女だったそうだ。
そのマーサさんは私の所に来ると、ラヴェ様の入れてくださったクッションの位置を直して、もっと楽にしてくださったり、体を冷やしてはいけませんよと言って、上にもう一枚掛けてくださったり、色々手をかけてくださった。
「ありがとうございます」
「いえいえ。私が勝手にしただけの事。お気遣いはいりませんよ」
「ですが、私は嬉しかったので、お礼を…」
そう言った時マーサさんは目をパチパチさせて
「坊ちゃま。なんてお優しい女性を、お見つけになったのですか?」
と、とてもびっくりしていた。
「いい女性だろ。マリアだ」
「マリア様。坊ちゃまはあまり気の利かない堅物と言われておりますが、
本当はとても気の利く、優しい子でございます」
「はい。存じております。私もその優しさに助けられた者ですから」
「そうだったのですね」
「マーサ。彼女は17だ。そんな子が37の男に嫁いでくれると…先程受けてもらった」
「まあまあ、おめでとうございます。明日はパーティーでございますね」
そう言うと、マーサさんと侍女長は、明日の準備があると言って、部屋にある食器類を刺さっと片付けて、出ていってしまった。
その声を聞き振り向くと、そこには侍女長とマーサという年配の侍女が居た。
「マ、マーサ、何で此処に居る」
「すみません。私がここの片付けを手伝っていただこうと、お呼びしたのです」
「御主人様、良かったですね。長年の思いが叶って」
「マーサ、余計なことを言うなよ」
「あら?坊ちゃまの方が、良かったかしら」
「マーサっ!」
ホホホッと笑うマーサさんは、スラヴェ様の乳母だった方で、元はスラヴェ様のお母様の侍女だったそうだ。
そのマーサさんは私の所に来ると、ラヴェ様の入れてくださったクッションの位置を直して、もっと楽にしてくださったり、体を冷やしてはいけませんよと言って、上にもう一枚掛けてくださったり、色々手をかけてくださった。
「ありがとうございます」
「いえいえ。私が勝手にしただけの事。お気遣いはいりませんよ」
「ですが、私は嬉しかったので、お礼を…」
そう言った時マーサさんは目をパチパチさせて
「坊ちゃま。なんてお優しい女性を、お見つけになったのですか?」
と、とてもびっくりしていた。
「いい女性だろ。マリアだ」
「マリア様。坊ちゃまはあまり気の利かない堅物と言われておりますが、
本当はとても気の利く、優しい子でございます」
「はい。存じております。私もその優しさに助けられた者ですから」
「そうだったのですね」
「マーサ。彼女は17だ。そんな子が37の男に嫁いでくれると…先程受けてもらった」
「まあまあ、おめでとうございます。明日はパーティーでございますね」
そう言うと、マーサさんと侍女長は、明日の準備があると言って、部屋にある食器類を刺さっと片付けて、出ていってしまった。
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