貴方を忘れる

戒月冷音

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第5話

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私はお父様に抱えられ、部屋に連れていかれる間、少しずつ思い出していた。
アントニーの事、ジューンの事・・・
そして、図書室での事・・・

でも、忘れた振りをする。

あんな男の事など、二度と思い出したくもない。
そしてジューンも・・・
何で、家の図書室にいたのか、はっきりとしゃべらせてあげる。
ジューンは特に、私がアンソニーと会うと、いつも邪魔をした。
必ず私について来て、アンソニーと話すと、私の後ろに立つ。
そして、アンソニーの視線が動くと、すぐにそちらがわによった。
それが、何の意味があるのか分からなかったけど、今日の事でようやく分かった。

ジューンは、アンソニーが欲しかった。
だから私の傍にいて、私より自分を見てと動いた。
でも、そんな事のために、人の家に勝手に入って良いはずはない。
だから2人とも、家から離してしまえば良い・・・

「・・・リア、マリア?」
「お父様、申し訳ございません。お手を煩わせてしまい・・・」
「それは良い。だが・・・」
お父様が話そうとしたとき、突然部屋の戸が開き、お母様が顔を出した。
「あなた、いったい何をしているの?」
「グレイス。娘が倒れたんだぞ。少しは心配ぐらいしても」
「いいえ。魔法もろくに使えない子に、割く時間などありませんわ」
お母様はクルーシュ家に嫁いだ人で、人一倍魔法が使えない私を嫌っている。

「お前は、自分が生んだ子の命より、魔法を優先するのか?」
「そ、そうではないわ」
「じゃあ、さっきの言い方は何だ?
 マリアが、倒れていたと伝えたはずだ。
 だから来たのかと思えば、マリアの体調を心配せず、俺の事・・・
 やっばりお前は、どうかしてる」
「どうかって何なの?
 私は、マドルの魔法の指導をほおって、あなたが
 ここに来てるから・・・」
「そういうことだろ。だからおかしいと言った」
「何が?」
「子供の命より、魔法指導・・・そういうことだろ」
そういうとお父様は、私の頭を一なでしてから
「グレイス、部屋を出ろ」
そう言った。

「どうして?」
「お前がここにいても、マリアを罵るしかしないだろ。
 後の事は、侍女に任せる。だから出ろっ」
お母様はビクッとした後、すごすごと部屋を出ていく。
「マリア。今はとりあえず休みなさい。後の事は、リリス」
「はい」
「任せたぞ」
「かしこまりました」
そう言ってお父様は、私の部屋を出ていった。
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