貴方を忘れる

戒月冷音

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第92話

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「ですから、一週間半しかなくても、ある程度のレベルまで持って、いける筈よ」
「そうなのね。マリアさん。良かったわね」
レイヤ様にそう言われ私は、やっとホッと息をついた。
それを見ていたラートは、優しく笑いかけてくれて、私もいつも通りそれに返していた。

それを見ていたマルガレータ様が、目をシパシパしているのに気付き
「マルガレータ様、どうかなさいましたか?」
と聞いてみた。
するとラートが
「ジルコニア侯爵夫人。
 貴女の言いたいことは分かりますが、余計なことは言わないでくださいね」
と、先に釘を刺した。
「まぁ!?コンラート様は、そのようなことを私に言われるのね」
口許をかくし、少し大袈裟に言う、マルガレータ様。
「そ、それは仕方ないのでは?
 今まで侯爵夫人は、俺への当たりが強かったのですから」
「それは貴女が、女の尻にしかれて、言い返すこともしなかったから、
 言ったまでですわ」
「あれは、呆れてこれ以上話したくなかったからです。
 実際あの女は、最悪だったのだから・・・
 とにかく、もう関係ないのですから、別に良いでしょう」
「貴方が最初から断れば、傷つくこともなかったのでは?」
「そ、それは・・・」
ラートが言い澱んだことで、マルガレータ様は嬉しそうに微笑む。

「マルガレータ様。ラートばかり攻めるの、はおかしいですわ。
 あの女は、見た目だけで人を判断するのです。
 そんな方と、お話しするだけ無駄だと思いますわ」
と私がラートを援護した。

マルガレータ様は、またまたビックリされたのか、目をシパシパさせて私を見た。
「マリアさん。
 貴方・・・私達は、あの女と言っているのに、誰か分かっていらっしゃるの?」
「ジューンの、事ですよね」
「あら?知っていたのね」
マルガレータ様がそう話すと、レイヤ様がワタワタとし始める。
「大丈夫ですよ、レイヤ様」
「でもね、マリアちゃん」
ちゃんって・・・と少し引き気味のマルガレータ様。
「あの時の気持ちが分からないように、自分がしてしまったのですから・・・」
私の言葉に、ラートの表情が少し曇る。

そんなに、気にしなくて良いんだよ。
私は、私の勝手で、自分から記憶を消した。
今になっても、思い出す事は本当に少なくて、良いことや悪いことに引っ掛からないことばかり。
それは、今でも私が自衛している証拠だ。
だからまだ、思い出してはいけない・・・
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