貴方を忘れる

戒月冷音

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第113話

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その日から数日後、デラクール公爵家でのお茶会・・・舞踏会が開かれる。
いつもは、入ることの出来ないホールが解放され、ダンスホールに繋がる場所には、食事が準備される。
私はこの二週間、淑女教育とダンスに追われ、他を把握していなかったが、レイヤ様の仕切りで準備された会場は私が見たこともないほど、煌びやかなものになっていた。

「レイヤが全て指示して、完成した会場よ。
 まだ朝だから、料理などは並んでいないけれど、彼女が出して良いと言ったものしか
 並ばないわ」
「すごいです。
 たしかここは、何もない、がらんとした場所だったと思うのですが・・・」
「公爵家の保管場所から、その日の招待人数と、開催内容、そして、今日であれば、
 王家の方々に合わせたセッティングを行うの。
 それが、この家の女主人の役目よ」
「この、家の・・・」
「そう。貴方がラートに嫁げば、それを貴方が行う時が、いつか来る」
マルガレータ様にそう言われ、私は不安になる。

「でもね。それを学ぶために、今一生懸命勉強しているのだし、今日のように
 レイヤが色々なものを見せて教えてくれるわ。
 だから、心配することはないのよ」
「でも・・・」
「貴方はこの二週間で、淑女教育の大半を覚えたわ。
 突然、不慮の事故に遭わない限り、貴方は対応できる。
 そして、ラートもそれを手助けしてくれるわ。
 そうでしょ?」
突然そんなことを言うマルガレータ様を見ると、マルガレータ様の目線が、私の後ろを見ていることに気づく。
「もちろん。助けますよ。俺の大切な、婚約者なのですから」
後ろから聞こえる声に、私はほっとした。

ラートが、私の隣まで来ると
「どうしたの?何かあった?」
マルガレータ様が尋ねた。
「マルガ様には、ジルコニア侯爵が到着したと、ご連絡を。
 それからマリアには、もうそろそろ準備しないと、間に合わないよ」
ラートはそう言うと、持っていた懐中時計を見れてくれた。

舞踏会が始まるのは、お昼過ぎ。
レイヤ様達がお茶会と言うのは、いつもお茶を飲む時間に始まって、夜の舞踏会まで続くから。
だから朝の内から、女性の準備は始まるのだ。
「やだ。もう来ちゃったの。急がなきゃ。
 ラート。私はこのまま行くけど、マリア様をお願いね」
「お任せを。さぁ、マリア。リリスが待ってる」
ラートはそう言って私を、リリスのいる部屋まで案内してくれた。

その後は、本当に戦場だった。
入浴に始まり、全身マッサージを受けた後、下着を着て、コルセットを締めて・・・
次々と行われる私の準備に、私自身は身を任せるだけになった。
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