貴方を忘れる

戒月冷音

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第114話

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数時間後、この日のために作られたドレスを、私は身に付けていた。
ベースは、ボルドー色のマーメイドタイプのドレス。
腿の辺りから裾にかけて、シルバーの刺繍が施されている。
胸元と背中が大きく開いているが、それをカバーするように、群青色の薄いショールを、かけるようになっていた。

「こんなに胸元が開いていて、大丈夫かしら?」
私がそう呟くと
「ラート様が過剰に反応しそうですが、これは賛成されたデザインだと、
 聞いておりますので」
リリスがそう答えた。

その時、コンコンと、扉がノックされ
「準備は、出来ただろうか?」
とラートの声が聞こえた。
えっ、この姿で合うの?
とは思ったのだが
「準備は、出来ております」
「入って、良いかな?」
「どうぞ」
と、リリスとのやり取りで、入ってくることが決定した。

カチャ・・・

扉が開き、ラートが入ってくる。
私は、正装のラートを見るのは初めて。
「かっこいい・・・」
私は胸元のことなど忘れ、ボーッとラートを見ていた。
すると、ラートの顔がぽぽぽっ・・・と赤くなり、スッと目線を逸らす。
やっぱり、開きすぎているのかしら・・・
そう思い、傍に置いていたショールをとって、肩にかけると、何かに気づいたラートが、リリス達侍女に、外に出るよう指示を出した。
侍女達は言われた通り、外に出るが、リリスは一言
「手を出してはダメですよ」
と言って出ていった。
ラートは、小さな声で
「今手を出したら、止まらない・・・」
と言うと、近く似あったテーブルに、3つのケースを置いた。

「マリア。すごく綺麗だ」
私は、そんなことを言われたのは初めてで、ビックリして言葉をなくす。
「君を、他の人に見せたくないくらい・・・なんだけど、そうはいかないから、
 今日は俺から、離れないでいてくれるかい」
「は、はい」
「俺が、守るから。それと、この2つは今日、君に贈る装飾・・・」
そう言って、一番大きなケースと、一番小さなケースを開ける。

そこには、ラートの瞳と同じ色の宝石で作られたネックレスと、イヤリングが入っていた。
「これ、つけて良い?」
そう確認され、私はショールをはずして
「はい」
と返す。

ラートはネックレスを手に取ると、私の首にかけ、後ろの留め具を留める。
ひんやりとした感触に浸っていると、首の後ろにチクッと痛みが走った。
左右の耳にも、イヤリングをつけた後、はずしていたショールをかけ直してくれた。
「ありがとうございます」
「父上達に、挨拶に行こうか」
そう言ってくださるラートの腕に手をのせると、逆の手で私の手を撫でる。
そしてラートと私は、その部屋を出ていった。
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