貴方を忘れる

戒月冷音

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第123話

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ラートに支えてもらいながら私は、アントニーと向き合っていた。
アントニーの横には、胸を強調したドレスを着たジューンが、腕にしがみついている。
「何よっ、貴方が婚約を破棄されたから、文句を言っているだけでしょ」
ジューンが自分の夫を庇うが、アントニーはなにも言わない。
「ジューン。
 人の婚約者を、人の家の図書室で寝取っておきながら、大きな顔しないでくれる?」

ジューンはそれを聞いて、わなわなとし始める。
だがアントニーは、がくがくと震えだし
「まさか・・・思い出したのか?」
と言った。
それを見ていたジューンは、ぽけっと聞いていた。
「えぇ。全て思い出したの。貴方が学園でしていたこと。ご自宅でしていたこと。
 そして・・・王家の舞踏会でしていたこと、全て・・・」
そう言った瞬間、アントニーは逃げ出す。
「アントニー」
「貴方待って、どこに行くのっ!」
そう言いながら、後を追うジューン。
そして、突然走り去った息子を呼びはしたが、どうにも出来ない父親と、少し前からずっと震えている母親。

私は一旦、ふーーっ・・・吐息を吐いて気を沈める。
「マリア、大丈夫?」
そう、心配ばかりするラートに
「ありがとう。貴方が傍に居てくれたから、頑張れたわ」
と答えた。

それを見ていたデラクール公爵夫妻と、お父様。
そして、お兄様に、ジルコニア公爵夫妻が、私の回りに集まってきた。
「マリアちゃん、辛いでしょう。ラートに体重を預けなさい」
「しっかり支えろよ」
「分かってますよ、父上」
「思い出したのか?」
「お父様・・・はい。声を聞いた、瞬間に・・・」
「たしか先生は、精神に付加がかかると・・・」
「そうなのか?マドル」
「はい、先輩。そう言っておられました」
「それじゃあ、どこかで休ませた方が・・・」
「いいえ、大丈夫です。まだ・・・」
そう言って目を向けた先には、マクガニー侯爵夫妻と、グラント公爵夫妻が居た。
グラント公爵夫妻は、さっきの言葉が信じられないようで、私をにらんでいる。

「私の娘が、そんなことする筈無いわ。
 あの子は、自分を好きになってもらったから、抱いてもらったと
 言っていたのよ」
「そうだ。私の娘が・・・まさか人様の家で等・・・」
そう言っているグラント侯爵にとどめを指したのは、お父様だった。
お父様は、図書室に設置してあった記憶装置を、ご自分の魔力で再生した。
お父様の得意魔法は雷。
電力にも使える便利なもので、その場に電気がなくても、機械を動かすことが出来るのだ。
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