貴方を忘れる

戒月冷音

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第128話

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「じゃあやっぱり母上が、教師と言う名前のマクガニー侯爵の手の者と共に、
 マリアを、引きはなそうとして居たんでしょうね」
「教師は、マクガニーの縁者か?」
「父上。俺がもっと小さい時に、母上が言ってました」
「クライス?」
「姉上に関わると、魔力を取られるから、会っちゃ駄目だと、いつも言ってましたよ」
「取られるわけないだろ・・・それで、言うだけだったのか?」
「いいえ。少しでも姉上と話したと知っただけで、折檻です」
「折檻?」
クライスは、お父様だけに伝えたいようで、お父様に近づき
「耳をお貸しください」
といって、ぽそぽそと小さな声で話した。
するとお父様は、何かに耐えるように拳を握り、目を閉じて、その感情を飲み下そうとしていた。

「・・・クライス。辛いことを教えてくれてありがとう。良く頑張ったね」
そう言って、クライスを抱き締めたお父様。
その後、お兄様と私にも、同じことをお聞きになったお父様は、同じように抱き締めてくださった。
「父上、恥ずかしいです」
お兄様はそう言うが、私は始めて、お父様にこうしてもらえた・・・
そう考えただけで、今までの事が報われる気がした。

しかし・・・

「クルーシュ伯爵。そろそろ離していただけますか?」
そう言って、私の嬉しい時間を邪魔したのは、ラート様。
「そんなに妬かないでくださいますか?コンラート殿」
「妬いてはいませんが、マリアが泣きそうでしたので、お声をかけただけですが?」

ラート様。それを言わないで・・・嬉しいだけだから・・・
分かってる。でもね・・・

そんな会話が私達の間で、成立していることを知らないお父様は
「なっ・・・」
と言ってガバァッと私を見るが、やっぱり分からないようだ。

でもラート。
やっぱり妬いておられませんか?お父様から取り返した私を抱き締める力が少し強いですよ。

そんな視線を送ると、ラートは私を見て
「ごめん。痛かった?」
と言って、力を緩めてくれる。
それを見たお父様は、お兄様に
「今、マリアは何か言ったか?」
と聞いた。するとお兄様が
「何も言っていませんが、目を見て伝わることが、あるんじゃないでしょうか?」
と言った。
「ということは、目を見ただけでマリアの言いたいことが分かるほど、コンラート様は
 愛してくださっていると言うことか?」
と突然お父様は、そんなことを言われた。

私は、顔を真っ赤にして言い返そうとしたが
「お義父上は、よく分かっておられる。
 俺は、マリアを愛しております。
 彼女のお陰で、俺は今までの柵から逃げることが出来たのです。
 彼女がいなければ、今の俺はいなかったでしょう」
ラートにそんなことを言われ、私はもっと顔を上げれなくなった。
そして、ラートのお腹に顔を埋めたまま
「ラートのばか・・・」
と言った。
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