この生の理

戒月冷音

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第238話

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昼食を取ってすぐ、俺は騎士団長のいる場所に向かう。
「ミカエル騎士団長、今よろしいですか?」
「あぁ、構わんよ」
「すごい書類ですね」
「何時もの事だ。気にするな」
「でもこれは・・・
 同じような仕事をする俺には、気にするなと言うのは無理です」
「そうかぁ?」
「なので、少しお手伝いを・・・」
そういうと俺は、騎士団長の向かいに椅子を持ってきて座る。

「この中で、俺が見てはいけないものは、ありますか?」
「第2王位継承者より下の俺に、そんな書類は来んだろうな」
「分かりました。では今から、仕訳します」
俺はそういうと、積んである書類の山上から数枚取り、パッと見て、急ぎとそうでないものに分ける。
「団長は、こっちの書類を優先して処理を・・・」
「分かった」
山はみるみる小さくなり、約二時間ほどで書類に目処が付いた。
「こうやれば良いのか」
「期限の早いもの、もしくは急ぎの物から片付ければ、残りは
 時間の空いた時で、良いんですよ」
「まぁ、そうだな。お陰で君と打ち合いができる」
「俺の時間で、よかったんですよね?」
「そうだな」
そういうと俺達は席を立ち、部屋を出る。

「今日は、どこでやるんですか?」
「いつも俺が使っている場所で、良いか?」
「俺はどこでも」
「じゃあ、そこにしよう」
そういうと騎士団長は、俺の少し前を歩き、王城の裏手にまわる。
そこには広い庭園が広がっていたが、その一角に、芝も敷いてないまっ更な場所があった。
「もしかして、あそこですか?」
「あぁ、国王陛下に許可をもらって使っていたのだが、どんどん芝がなくなってしまってな」
そう言って笑っている顔は、ルーカスによく似ていた。


そうして、その場所で始まった打ち合いは、前回のような力づくのものではなく、普通に打ち合い、体を暖めていくものから始まった。
「ミカエル騎士団長は、ルーカスとこうやっていたんですか?」
「ガルシアで良いぞ。ルーカスか・・・息子とは、余り打ち合っていないな。
 あいつはまだ、辺境にいるのだったな」
「はい。ジュリア様と交流しつつ。剣技を磨いていると思いますが・・・」
まさか、コー爺が鍛えてるとは・・・言えないな。
「ジュリア嬢も、行っているのか?」
「はい。俺達からは遅れて、リリーベル様と一緒に来られましたよ」
「あの方には・・・本当に、頭が上がらない」
「そうですね。あの時も、ルーカスを信じておられましたから」
「あのと・・・あぁ、そうでしたな。
 ジョージ様が、息子の魅了を解く切っ掛けを、作ってくださった」
「いいえ。俺ではなくジュリア様ですよ。
 あの方がずっとか関わってくださったから、簡単に解除できたんです」
俺とガルシア殿は、そんな会話をしながら、体を暖めていった。
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