私の存在

戒月冷音

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第118話

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「どうして伯爵令嬢の方々は、あんなところにおられるのかしら?」
「クレア様。
 私にも良く分からないのですが、クレア様が部屋を出られてから、
 片付けをして私も部屋を出ました頃には、あの状態でして、
 何故か私が、突き飛ばしたと言うことに、成っているようでございます」
「あぁ。あの方は、クルマルク伯爵令嬢ですわね。
 また、過剰な行動をして、殿方の気を引こうとしておられるのかしら?」
「お母様。また・・・なのですか?」
「えぇ、確かマルガン宰相の御子息を、お好きだったとかで
 その婚約者の方に・・・」
「あぁ。それでは今回は、マルクス殿下なのですね」
「そうでしょうね」

淡々と話されるコーラル公爵親子の話に、周囲はどんどん伯爵令嬢達を、白い目で見始める。
「では、あのようにしているのは、オーギュスト公爵令嬢を貶めるために?」
「そうだわ。確かあのご令嬢、昼頃からずっと、あそこにいらっしゃったわ」
「では、オーギュスト公爵令嬢様が出てくるのを、待ってたってこと?」
「でしょうね。それでこの茶番・・・」
「マルクス殿下も、こんな方に追いかけられるのは嫌ですわよね」
「殿下は、あの方一筋のはずだ。相手にされてないのではないか?」
「しないわよ。マルクス様は一筋な方ですわ」

集まった方々の言葉は、伯爵令嬢達を追い詰める。
ミラー伯爵令嬢は顔を隠し始め、メイシス伯爵令嬢は植え込みに隠れた。
クルマルク伯爵令嬢は土の上に座り込み、嘘泣きだったことを示すかのような顔をして、ぼーっとしていた。
そして、シルトバル伯爵令嬢は
「見世物じゃないわ。どっかに行って」
と、観客を追い払っていた。

これで、この4人は、もうここにはこれない。
自分達が集めた観客を、コーラル親子によって敵にされてしまった。
彼女達はバタバタと、その場を離れていく。
最後に残ったのは・・・
ミリア・クルマルク伯爵令嬢だった。

「な、何よ」
私が近づき手を伸ばすと、そう言うミリア様。
「あなた、ミシェル様の手を取らないの?」
カサンドラ様がそう聞くと
「私から、マルクス様を奪った方の手は、借りませんわ」
と強気な返答をした。
しかし、クレア様が
「クルマルク伯爵令嬢。
 どう言っても、マルクス様があなたを婚約者にすることは有りませんわ」
と言うと、当たり前のように
「どうしてですか?マルクス様は私と、お話ししてくださいますわ」
と言った。
お話しするだけなら、誰でも出来る。

「ふふふっ・・・可愛らしいことを、言われるのね」
「当たり前でしょ。私は可愛いのよ」
フフン・・・とミリア様がそう言った瞬間、クレア様の顔から感情が抜け落ちる。
「あなたはそれが、王族に必要だと思っていらっしゃるの?」
「必要でしょ。可愛い方が、話を聞いていただけますわ」
「それは、体を求めていらっしゃる殿方の確率が高いのでは?」
クレア様のその言葉に、ミリア様は顔を真っ赤にした。
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