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第11話
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しかし、私を追い詰めた時点で、私が言い返した。
それを見た時、ふと自分より上の身分かも…と思ったが、まさかお茶会の主催者であるオーギュスト公爵家だとは、思わなかったようだ。
あの後、お父様が抗議したことで、ウィルス伯爵家は表舞台から消えた。
廃家にはなっていないが、王都にでてくることはなく、領地でひっそりと生活しているようだ。
令息は、あの後改心したようだが、今は自分が何故あんな事をしたのかわからないと言っていた。
私はあの後から、沢山の人がいる場所が駄目になった。
3,4人程度の集まりなら、異性が居ても大丈夫だが、10人を超えると呼吸困難になり、体が全てを拒絶するようになった。
だからできるだけ、領地から出ずに過ごすようになる。
母が家庭教師を雇い、学園に通わなくても学歴が取れるようにしてくれた。
けれど私には、前世の記憶がある。
だから中学までに習ったことを覚えているため、ほぼ基本的な学力を持っていた。
「あの、オーギュスト侯爵夫人」
「何でしょう。リカオン先生」
「ミシェル様は、何処かで勉強されていたのでしょうか?」
「いいえ。貴方が初めての先生よ」
「それは、おかしいですわ」
「何故ですか?」
「ミシェル様は、私が少し説明しただけでその先を理解し、
問題を解いてしまわれるのです」
「えっ!?どうして?」
「私にもわかりませんわ。
ただ、何処かで学んだのか、私より詳しいときもあるのです」
不思議に思ったリカオン先生は、お母様にそう言ったそうだ。
しかし、学問を修めたという証明をもらうためには、教師の資格を持った人に、最低1年習わなければもらえないという条件がある為、リカオン先生は1年、私に付き合ってくださった。
私は、その恩に報いるため、自分の知っている知識を少しだけ先生に教えた。
すると先生は、その項目を自分なりに理解し、論文にまとめて発表した。
リカオン先生が発表した論文は、世界が震撼したものになり、先生は教授になった。
この事で私は自分の持っている知識が、この世界より進行した世界の知識だと知る出来事になった。
日本の情報を無闇矢鱈と放出すれば、この世界が変わってしまう…
そう考えた私は、人と関わるのを避けるようになった。
家族とは普通に話す。
けれど、来客が会ったりした時は、出来るだけ部屋から出ないようにして、相手が帰るのを待った。
お父様とお母様は仕方ないと諦めたが、お兄様とお姉様は不思議そうにしていた。
「どうしてミシェルは、部屋からでないのですか?」
「家のもの以外の人と交流するのが、怖いようだ」
「どうして…数人なら、大丈夫だったのに…」
「少しずつ慣れては居たのだけれど、ちょっと
無理をしてしまったのでしょう。
でも、少し休めばまた、遊べるようになるわ」
そうして、両親に庇われながら暮らし続けて居た私は、気がつけば7年間領地にこもっていた。
それを見た時、ふと自分より上の身分かも…と思ったが、まさかお茶会の主催者であるオーギュスト公爵家だとは、思わなかったようだ。
あの後、お父様が抗議したことで、ウィルス伯爵家は表舞台から消えた。
廃家にはなっていないが、王都にでてくることはなく、領地でひっそりと生活しているようだ。
令息は、あの後改心したようだが、今は自分が何故あんな事をしたのかわからないと言っていた。
私はあの後から、沢山の人がいる場所が駄目になった。
3,4人程度の集まりなら、異性が居ても大丈夫だが、10人を超えると呼吸困難になり、体が全てを拒絶するようになった。
だからできるだけ、領地から出ずに過ごすようになる。
母が家庭教師を雇い、学園に通わなくても学歴が取れるようにしてくれた。
けれど私には、前世の記憶がある。
だから中学までに習ったことを覚えているため、ほぼ基本的な学力を持っていた。
「あの、オーギュスト侯爵夫人」
「何でしょう。リカオン先生」
「ミシェル様は、何処かで勉強されていたのでしょうか?」
「いいえ。貴方が初めての先生よ」
「それは、おかしいですわ」
「何故ですか?」
「ミシェル様は、私が少し説明しただけでその先を理解し、
問題を解いてしまわれるのです」
「えっ!?どうして?」
「私にもわかりませんわ。
ただ、何処かで学んだのか、私より詳しいときもあるのです」
不思議に思ったリカオン先生は、お母様にそう言ったそうだ。
しかし、学問を修めたという証明をもらうためには、教師の資格を持った人に、最低1年習わなければもらえないという条件がある為、リカオン先生は1年、私に付き合ってくださった。
私は、その恩に報いるため、自分の知っている知識を少しだけ先生に教えた。
すると先生は、その項目を自分なりに理解し、論文にまとめて発表した。
リカオン先生が発表した論文は、世界が震撼したものになり、先生は教授になった。
この事で私は自分の持っている知識が、この世界より進行した世界の知識だと知る出来事になった。
日本の情報を無闇矢鱈と放出すれば、この世界が変わってしまう…
そう考えた私は、人と関わるのを避けるようになった。
家族とは普通に話す。
けれど、来客が会ったりした時は、出来るだけ部屋から出ないようにして、相手が帰るのを待った。
お父様とお母様は仕方ないと諦めたが、お兄様とお姉様は不思議そうにしていた。
「どうしてミシェルは、部屋からでないのですか?」
「家のもの以外の人と交流するのが、怖いようだ」
「どうして…数人なら、大丈夫だったのに…」
「少しずつ慣れては居たのだけれど、ちょっと
無理をしてしまったのでしょう。
でも、少し休めばまた、遊べるようになるわ」
そうして、両親に庇われながら暮らし続けて居た私は、気がつけば7年間領地にこもっていた。
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