私の存在

戒月冷音

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第18話

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馬車を降りて、離宮を見上げる。
隣りに立つ王宮と比べて、とっても質素ではあったが、清掃が行き届いていて、とても清潔だった。
こんなにきれいな場所で、体調不良なんておかしくない?
とは思ったが何も言わず、兄を先頭に中庭のガセポに向かう。

中庭は花で溢れていて赤や黄色、水色に白等沢山の種類の花が咲き乱れていた。
「アクイラス、こっちだ」
お兄様を呼ぶ声に振り向くと、真っ黒な髪に黒い瞳と緑の瞳を持つオッドアイの青年が、ガセポの前に立っていた。
「済まない。遅れたか?」
「いいや。俺が早く来ただけだ。王妃陛下はまだ来ていない」
「側妃様は?」
「今日は少し、体調がいいみたいだよ。心配してくれてありがとう」
お兄様とマルクス殿下は、友達のように挨拶を交わした。

「お初にお目にかかります。
 アンソニー・オーギュストの妻、メリテッサと申します」
「初めまして、オーギュスト侯爵の次女、ミシェルと申します」
お母様と私はカーテシーをし、初めての挨拶をした。
「ご丁寧にありがとうございます。
 俺はマルクス・エルディニア。この国の…第二王子です」
「王妃様は、まだなのかしら?」
「はい。あっ、とりあえずこちらに…」
そう言ってガセポの中の席を薦めてくれる。

「いいえ。王妃陛下が来られるまで、待ちますわ」
とお母様がやんわりと断った。
「そうですか…すみません。
 俺はあまり、貴族の決まりに詳しくなくて…」
「いいえ、いいのですよ。私達を気遣ってのことでしょう」
お母様と第2王子様が話しをしていた。

その間、私はお兄様に
「お兄様」
「ん?」
「お花の近くに行っても、いいですか?」
「俺と行こうか」
「はい」
そして花の近くで座り込み、花の匂いを嗅いだりする。

私の後ろにお兄様が立ち、私が知らないの中で花で知っている名前を、教えてくれていると
「あら?割とたくさんの名前を知ってるのね」
知らない女性の声が、お兄様の後ろから響いた。
「王妃様、娘が驚きます」
「ごめんなさい、メリテッサ。でも男性でこんなに知ってる方は、初めてよ」
「私の息子の、アクイラスです」
「あぁ~」
お兄様は、私を立たせてから振り返り
「オーギュスト家嫡男、アクイラスと申します」
礼を取った。
私はすぐに、カーテシーをして
「オーギュスト公爵家次女、ミシェルと申します」
と挨拶をした。
「まぁ、ありがとう。マルクス、貴男は挨拶はしたの?」
「はい」
「頂きましたわ。私達に気を使ってくださいましたわ」
「それは良かった。では皆様、お茶会を始めましょう」
あんな言い方で、第二王子に礼をしたのかと聞いた自分が、していない。

それって…いいのでしょうか?
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