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第19話
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そんな事を考えながら席につく。
テーブルの上には所狭しとスイーツが並び、何故か私の前には甘そうな匂いを放つ紅茶が置かれた。
「さぁ、皆。召し上がって」
そして、王妃様主催のお茶会?が、開始された。
私は出されたものに手を付けず、話を聞いている。
「メリテッサ。貴女は何時も何してるの?」
「私は、家を守っておりますわ」
「家を?どうやって?」
「王妃陛下と同じ…とはいきませんわね。
私は主に、何をしているということはありません。
自分で気になったことを、お手伝いするぐらいです」
「まぁ、そんな事をやっているのね」
ゆっくりと口角が上がるのを見ると、この人は母と自分を比べていると分かる。
この人は、話の中に自分が相手より勝っていると分かると、機嫌が良くなる…
そんな事を分析しながら、話を聞いていると
「ミシェル?」
と、お兄様に声を掛けられた。
「はい」
「ミシェルが、マルクス殿下と話す場なのに、どうしたの?」
「すみません…このような場所は、初めてで…」
と私が答えた瞬間
「えー、貴女、お茶会に出たことがないのかしら?」
と王妃様が、突然声を掛けてきた。
私…この人、嫌。
そう判断した私は、話すのを辞める。
「何?答えられないの?」
「王妃様。この子は初めての場所では、ほとんど話しません。
あまり、無理を言わないでください」
「メリテッサ。
この私が開いたお茶会に来て、出されたものに手もつけなければ
話さないなんてありえないわ」
「王妃様。私共は王妃様とお話するという理由で、呼ばれたのでしょうか?」
「えっ!?」
「私はそのような事のために、仕事を休まされたのでしょうか?」
「そ、そのようなことって……メ、メリテッサ?」
「私達は王妃様のようにいつでも、時間が取れるわけではございません。
時間を守らないのであれば、第二王子殿下だけでも
良かったのではありませんか?」
「そんな…私を除け者にするの?」
「申し訳ございません、王妃様。
私は前王妃陛下から教えられておりますので、鳴き真似は通用しませんよ」
やっぱりそうか。
前世で、こういう子がいた。
自分の話ばかりして、話を変えようとしたら、大きな声で自分を除け者にすると言って泣き出す。
目を擦るのだが、涙が出ないので目の周りが真っ赤になる。
そうして手を離すと、遠くから見たら泣き腫らした顔になるのだ。
お母様の言葉に、王妃様は顔を真赤にして
「もう良いわ。後は、貴方達で勝手にやって」
と言って席を立ち、戻っていってしまった。
その姿を見たお母様は、クスクスと笑っていた。
テーブルの上には所狭しとスイーツが並び、何故か私の前には甘そうな匂いを放つ紅茶が置かれた。
「さぁ、皆。召し上がって」
そして、王妃様主催のお茶会?が、開始された。
私は出されたものに手を付けず、話を聞いている。
「メリテッサ。貴女は何時も何してるの?」
「私は、家を守っておりますわ」
「家を?どうやって?」
「王妃陛下と同じ…とはいきませんわね。
私は主に、何をしているということはありません。
自分で気になったことを、お手伝いするぐらいです」
「まぁ、そんな事をやっているのね」
ゆっくりと口角が上がるのを見ると、この人は母と自分を比べていると分かる。
この人は、話の中に自分が相手より勝っていると分かると、機嫌が良くなる…
そんな事を分析しながら、話を聞いていると
「ミシェル?」
と、お兄様に声を掛けられた。
「はい」
「ミシェルが、マルクス殿下と話す場なのに、どうしたの?」
「すみません…このような場所は、初めてで…」
と私が答えた瞬間
「えー、貴女、お茶会に出たことがないのかしら?」
と王妃様が、突然声を掛けてきた。
私…この人、嫌。
そう判断した私は、話すのを辞める。
「何?答えられないの?」
「王妃様。この子は初めての場所では、ほとんど話しません。
あまり、無理を言わないでください」
「メリテッサ。
この私が開いたお茶会に来て、出されたものに手もつけなければ
話さないなんてありえないわ」
「王妃様。私共は王妃様とお話するという理由で、呼ばれたのでしょうか?」
「えっ!?」
「私はそのような事のために、仕事を休まされたのでしょうか?」
「そ、そのようなことって……メ、メリテッサ?」
「私達は王妃様のようにいつでも、時間が取れるわけではございません。
時間を守らないのであれば、第二王子殿下だけでも
良かったのではありませんか?」
「そんな…私を除け者にするの?」
「申し訳ございません、王妃様。
私は前王妃陛下から教えられておりますので、鳴き真似は通用しませんよ」
やっぱりそうか。
前世で、こういう子がいた。
自分の話ばかりして、話を変えようとしたら、大きな声で自分を除け者にすると言って泣き出す。
目を擦るのだが、涙が出ないので目の周りが真っ赤になる。
そうして手を離すと、遠くから見たら泣き腫らした顔になるのだ。
お母様の言葉に、王妃様は顔を真赤にして
「もう良いわ。後は、貴方達で勝手にやって」
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その姿を見たお母様は、クスクスと笑っていた。
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