そして、夜明けが訪れた

恋は絡まっていく。

あれからしばらく経ったある日、僕はいつも通り学校に来ていた。
だが、いつも通りでないものが一つあった。
僕はそれを今、困惑気味に見ている。
僕の視線の先には、ハート型のシールで留められた便箋があった。
ちなみに、その便箋がある場所は、僕の靴箱の中だ。
「これって………」
ーーラブレターだよな……
さて、一応確認をしておこう。
僕宛……なのは間違いなさそうだ。
便箋にシャーペンで書いたと思われる字で『天音 惺へ』と記してある。
さて、中身はーーと、そこまで思って気がついた。
隣でジトーっとした視線を送って来ている僕の彼女と名乗る女ーー小泉彼方の存在に。
僕は反射的に便箋を体の後ろに回し、ぎこちない笑顔を作りながら彼方に声をかける。
「や……やぁ……、彼方……、ひ、久しぶり……」
彼方は呆れたように溜息を吐き、
「さっきまで一緒に登校してたでしょ？忘れたの？」
といつもの調子で返してくるが、声の重さ的なのがいつもと全く違う。
何というか重いのだ。
一言一言に怒りのような何かを感じる。
え？なんで？
「あ……あのぉ……、彼方？お、おこっ…てる？」
「怒ってないけど？」
あ、これは怒ってますね。
僕はこの後の打開策をしばし思案した後、
逃げるが勝ちだ。
と心の中で叫びながら男子トイレへ駆け込んだのだった。
ちなみに後ろから
「ちょっと、惺？待ちなさい？」
と狂気に満ちた声が聞こえたのはここだけの話である。

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「なんであいつ怒ってたんだ？」
僕はトイレの個室にて、そんなことを呟いていた。
ていうか、さっき中身見なかったな…
と思い、便箋を開ける。
すると中から、何回か折られた紙が出て来た。
僕はそれを少しずつ開いていく。
すると、そこには大きく書かれた文字が4つと、原稿用紙の一マスサイズの小さめな文字で書かれた文章が書かれてあった。
僕の目に一番最初に飛び込んで来たのは、『好きです』という大きく書かれた4つの文字だった。
 ラブレターだと予想していても、実際に見ると、どこか恥ずかしくなってくる。
続いて、その文字の下に書かれている文章が目に入る。
丸っこい字だった。
なんというか、可愛げのある文字だ。
そして、僕は紙に書かれていた文章を読み始めた。