わがまま秘書は冷徹社長の独占愛に溺れていく

椿綾あこ

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2 LUNARIAからの電話

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「久世社長は優秀なカリスマ社長。何事にも妥協しない主義なのは知ってるでしょ?」
「知ってますけど……なんかあの人ちょっと怖いし、苦手です」

 きっぱり言い切ると、椛乃社長がまた笑った。「そんなに言わなくても……」って顔。だけど事実だ。

 LUNARIAルナリアの若きカリスマ社長――久世惟真くぜいさま。どうにも、私は彼が苦手だ。

 LUNARIAは久世社長が5年前に立ち上げた会社で、5年でこの成長ぶりは業界も大注目。それに伴って久世社長自身もかなり注目されている。
 
 椛乃社長が柔らかくて華のような社長だとすれば、久世社長は氷のような社長だ。

 冷静沈着、理性的、感情よりも理論で動く人で、その雰囲気だけでもかなり威圧感がある。COCONOE化粧品の会議はいつも穏やかな空気の中進んでいくが、LUNARIAとの合同ミーティングはいつもピリッとした空気の中進む。
 
 それが私にとっては苦手なのだ。もっと和気あいあいとした会議がいいのに。いつだって雰囲気に釘をさす。

 この前だって小さな問題にぶつかって「ちょっと休憩しましょうか?」と椛乃社長が提案したのに「いや、このまま進めた方が早い」って却下。結局その後2時間ぐらい話し合いが続いた。

「でも、久世社長にあんなにはっきり言えるの、茉乃ちゃんくらいだよ」
「え?」

 頭の中にあの冷徹な社長を浮かべていると、椛乃社長が前回の会議のことを振り返る。

「この前だって『このまま話しても平行線だと思います。今日は終わりにしてまた次回話ましょう』って言ってたでしょ? 久世社長が進めるミーティングに口出せるの凄いってLUNARIAの方が言ってたよ」

「あー……だってあれは友達とご飯の予定があった日で……あれ以上進まない話するの嫌だったんです」

 椛乃社長の話に悪びれる気はない。だから私は笑った。悪戯っ子のように。

 先月行われたLUNARIAのミーティング。こちらと向こうの要望が上手く合わなくて話が途中で平行線になった。

 どう考えてもすぐに解決する問題じゃなかったのに、あの社長は即時解決を求めて威圧的だった。そんなのだと社員達だって怖いだろうし、私もいい気分じゃなかった。それにその日は仲のいい友達との約束もあったから気を使うみんなの代わりにズバッと言ってやった。

 秘書である私の発言に睨むように久世社長が私を見て、その冷たい瞳の色をまだ覚えている。明らかに秘書が口を出すなというような視線だった。

 思い返してみれば久世社長に会うのはあれ以来初めてだ。

「明日は大人しくします。……多分、ですけど」

 だけどネイルに間に合わなかったらまた言っちゃうかもしれない。そう続けると椛乃社長が笑ってくれた。
 じゃあ万全の体勢で臨もうかと提案されたので、私は頷いて明日に備えることにした。

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