わがまま秘書は冷徹社長の独占愛に溺れていく

椿綾あこ

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3 信頼と不満の会議室

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 見慣れたいつもの会議室に案内されると、既にLUNARIAの社員達が揃っていた。資料もちゃんと揃っている。

 今日は定例の進捗確認だけなので、COCONOEからの出席は私と社長だけ。普段は社員も同行するけれど、Yorui部門の担当が出張中なのもあって、今回はこの2人で。

 合同ブランドYoruiは椛乃社長とLUNARIA社長の久世社長がお互いを信頼し、力を入れているからこそ、小さな打ち合わせにだって社長同士が参加する。

 いつもと同じ窓際の席に案内されると、COCONOE側が用意した資料をバッグから取り出す。社員が作ってくれたもので、すでに私も椛乃社長も目を通している。予めLUNARIA側――特に久世社長から指摘を受けそうなことに関しても準備をしている。

 用意した資料をLUNARIAの男性社員に手渡して「よろしくお願いします」と微笑む。

 それとほぼ同時に穏やかな空気が流れていた会議室の空気が変わった。

 ドアが静かに開き、黒に近いチャコールグレーのスーツに身を包んだ男が姿を現す。鋭く流した視線が部屋を一掃したように、誰もが無言で背筋を正す。

 久世惟真くぜいさま――LUNARIA代表取締役社長。

 185㎝はありそうな長身。無駄のない鍛え上げられた体躯が、上質なスーツ越しにもはっきりと伝わってくる。サイドを整えた黒い近いダークブラウンの髪に、切れ長のグレーの瞳。目が合った瞬間、まるで睨まれたかのように錯覚してしまう。その目つきが、初めて会ったときからどうにも苦手だ。

 けれど、整ったな骨格と凛とした佇まいには、誰もが一目で息をのむ。冷たく張り詰めたような空気と、ほんのりと香るウッド系のフレグランス。存在そのものが、“圧”だった。

「本日はお越しいただき、ありがとうございます。九重社長」

 低く滑らかな声が、会議室に響く。必要最低限の言葉なのに、耳に残って離れない。

 椛乃社長が静かに一礼し、「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします」と応じる。隣で私も会釈をしたけれど、視線は自然と彼の顔から逸れてしまっていた。

 ――この人、やっぱり怖い。威圧的で、まるで氷みたいに冷たい。

 椛乃社長と挨拶を交わした冷たい目がちらりと私を一瞥する。髪から足先まで品定めするように見られると、身構えてしまう。

 ……何? 変な格好なんてしてないのに。そんな風に見られるとムカつく。でも、ここはビジネスの場――我慢、我慢。

 文句を言うことも出来たが、我慢した。一応ビジネスの場だし。笑顔を作って会釈と共に挨拶をするのが精いっぱいだった。

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