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7 支配者再び
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しおりを挟む「ではこの方向で進めましょう」
会議が始まって約90分。椛乃社長の柔らかくて綺麗な声が会議室に響く。よろしくお願いします、とLUNARIA側に頭を上げれば社員達も続き、私もそれに合わせた。
今回の会議は予定よりもスムーズに進んだ気がする。それもこれも、LUNARIA側がこちらの想像を超えた意見出しや、解決策を出してくれたお陰。今日の会議の主導権は完全にLUNARIA側だった。
もちろんその中心にいたのは久世社長。
――何にも言わないのに、視線で指示出して全部語っちゃうんだもんこの人。
久世社長は今日も淡々と冷静だった。こちら側の疑問や意見を聞くと、社員に「ほら答えろ」と言わんばかりに視線を送って指示を出す。視線ひとつで社員も動かせるのもそのカリスマ性かもしれない。
そんな久世社長は――会議中、私のことをチラリとも見なかった。
私は社長の補佐として、久世社長の正面に座っていたけど、エレベーターの中で背中に感じたような熱く焼かれるようなものは感じなかった。
だから自然と私も会議に集中――出来たらよかったのに。実際はあんまり出来なかった。あとで議事録作らないといけないのに……今回は時間かかっちゃいそう。
「久世社長、九重社長。我々は先程の件、さっそく打ち合わせてきます」
両社の社員たちが立ち上がり、次の打ち合わせのために退出する。
顔馴染みのLUNARIA社員が私と椛乃社長――つまり彼らのいう『花園』を目に焼き付けるように最後の最後まで見ていたことは言うまでもない。
久世社長と秋月さん、椛乃社長、私――会議室には、社長と秘書だけが残された。
「では我々も――」
そう切り出した椛乃社長の声に胸の中で一息ついて、タブレットや資料を片付ける。
あとは久世社長と秋月さんをエントランスまで送っていく。そした2週間は久世社長と顔を合わせなくていいし、さすがの久世社長もこの状態だと何もしてこないだろう。前みたいに2人っきりにならなかったら――安心だ。
ほっとしたのも束の間、社長と秘書だけが残った会議室にノックの音が響く。「失礼します」との控えめな声の主に馴染みがあった。
「九重社長、よろしいですか?」
「ええ、どうぞ」
ドアの向こうから出てきたのはCOCONOE化粧品、先代社長秘書の桐嶋さん。現在は秘書室長で私の上司にあたる。確か今54歳。
役員運転手の佐藤さんが物腰柔らかくて親しみがある人だとしたら、桐嶋室長は寡黙で的確、厳しい。だけど誠実で仕事には一切妥協しない。
室長がいるだけで秘書室はピリッと引き締まる。そんな存在だ。最初は苦手だったけど、今ではいい上司だと思ってる。
その桐嶋室長がどうして……?
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