わがまま秘書は冷徹社長の独占愛に溺れていく

椿綾あこ

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7 支配者再び

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「会議中だったのでお通し出来なかったですが、C社の専務が先程アポなしで来訪されまして、折り菓子をいただきました」

 桐嶋室長の話に耳を傾けてみる。

 C社はYoruiでお世話になっている会社のひとつ。50代後半の専務は椛乃社長を気に入っていて、時折こうやって折り菓子を持ってきては椛乃社長に会うきっかけを作ろうとしている。今回もそのつもりだったのだろう――だけどタイミングが悪かったということだ。

「C社はYoruiの取引先ですし、ご迷惑でなければ久世社長とご一緒に少しお茶の時間を取られてはいかがでしょう? もちろんご迷惑でなければですが」

 ちょっと桐嶋室長!

 叫びたくなるのをぐっと堪えた。
 
 せっかく見送って別れられるタイミングだったのに、なんて提案しちゃうの? 一緒にお茶なんてしたら久世社長の滞在時間が伸びちゃうじゃない。

「いかがでしょう?」
「いいですね。久世社長、お時間大丈夫ですか? たまには難しい話なしでお茶でも」

 椛乃社長まで!

 桐嶋室長の提案にちらりと時計の針を確認した椛乃社長が背の高い久世社長を見上げる。たしかに、この時間何もなければ椛乃社長は午後の一息の時間だけど……いくらC社がYoruiの取引だからって久世社長を誘うことないのに。

 お願い、予定があるって言って。
 そんな願いを込めて私は視線をあげた。すると、エレベーターで出会った時以来、久世社長の目線が私へと移る。

「秋月、この後の予定は?」

 そしてゆっくりと形のいい唇が動けば、低い声が落とされた。視線を逸らすことなくまだじっと私を見ている。いつもみたいに上から下まで、まるで品定めされている。

「社に戻り、会議資料に目を通していただく予定です。ですが、急ぎのものはないです」
「そうか。なら問題ないな」

 そんな……!
 最後の希望が打ち砕かれた。ってことはつまり――。

「第2応接室にて準備をしております。黒瀬さん、ご案内して」
「……か、かしこまりました」

 まるでこうなることを予想してたみたい。もう準備をしているなんて――桐嶋室長の予知能力は侮れない。 なんとか返事はしたけど、その声は少し上ずっていた気がする。

「私はC社にお礼の電話してから行くから」
「はい……わかりました」

 いつもの柔らかくて綺麗な椛乃社長の笑顔になんとか笑顔を作ったが、ちらりと目線を机の向かい側にいる久世社長の方へ。――まだ私を見ている。

「ご案内します……どうぞ」

 自分でも気づいていた。
 声が熱を帯びていたのは――あの、視線のせい。
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