わがまま秘書は冷徹社長の独占愛に溺れていく

椿綾あこ

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14 二度目のキス

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「開けてみてもいいですか……?」

 これまでの男性はすぐ開けて喜ぶ姿見せると喜んだ。だから自然とそう問いかけると久世社長は好きにしろと言わんばかりに私に視線を落とす。

 彼の指はエンジンボタンに伸びない。だからイエスだと受け取って、小さな紙袋の中の中身を取り出す。触り心地のいいベルベットの小箱。

 プレゼントを開ける時の感覚は好き。このリボンを解く感じとか、何が出て来るんだろうってワクワク感とか。だけどこんなにもドキドキしてるのは初めてかもしれない。

 冷徹なこの人が私に何を買ったのか想像がつかない。女性にプレゼントを贈るところですら想像出来ないのに。

 箱を開ける前にぎゅっと爪先を丸める。ドキドキしすぎてちょっと手が震えるかも。

 深呼吸のあとゆっくりと箱を開ける。飛び込んで来た可愛いプレゼントに今日一番声を弾ませた。

「――可愛い……!」
 
 小さな箱の中には小さなゴールドのヘアクリップが入っていた。
 丸いフォルムに中央には控えめブランドのロゴが刻まれていて、艶やか、エレガント。――どうしよう私の好みのデザインだ。

 耳に髪を掛けた時に使ってもいいし、結んでない時にサイドにそっと添えても映える。

 鼓動が強くなって、ちらりと隣を見る。

「気に入ったか?」
「……ずるいです。なんで私が好きそうなの分かるんですか……?」

 嬉しいと同時に悔しくて、不満そうに頬を膨らませる。この人、どこまで私のこと知ってるの?

「お前の考えていることぐらいすぐ分かる」
「……私は久世社長の考えてること全然分かりません」

 嫌味を言っても多分通じない。だって今私顔真っ赤だもん。

「……今、つけてみてもいいですか?」
「ああ、好きにしろ」
 
 興奮冷めないまま、ヘアクリップに手を伸ばす。今日はポニーテールだけど、このヘアクリップは合うはず。そっとサイドに添えるようにクリップを留める。

「どうです? 似合いますか?」

 敢えて久世社長から見える側に付けたので、ちゃんと見えてるはず。

「可愛いですか?」
「……」

 擽ったい視線が落ちて来る。私は感情が上がったり、下がったりと忙しいのに一向に声のトーンも雰囲気も変わらない。
 こういう時、普通の男は「可愛い」って言ってくれるんだけど……。

 一拍置いたあと、ようやく久世社長の唇が動いた。

「悪くない」

 嘘でしょ? それで褒めてるつもり!?

「そこは可愛いって言ってくださいよ。仮にも……自分が用意したプレゼントなのに……」
「別に似合ってないとは言ってない」
「似合う似合わないじゃなくて……」

 不満としか言いようがない。頬が膨らんで、睨むように運転席の男を見上げる。

 信じられないけど……今、言われたい。

 可愛いって。――そんなこと、口には出せないけど。
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