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15 止められない夜
4 ※
しおりを挟む腰を引き寄せられて、そのまま自然と脚が持ち上がる。久世社長が抱える脚が震えているのは、恐怖じゃない。
ほんの少しの躊躇いと、それを超えた熱のせい。
瞳同士が絡み合えばわず瞳を見つめ返す。
その瞳には、強引な支配ではない。ずるい、そんな目で見てないでほしい。
逃げたくて、でも逃げられなくて。
それでも欲しいと思ってしまったのは、私。――そう心の中で認めるように、ゆっくりと目を閉じた。
次の瞬間、じれったい愛撫によって柔らかく押し広げられた場所へ、彼の熱が、深く……奥へと入り込んでくる。
「……っあ、んっ……!」
最奥に届く感覚に背筋が震える。これまでの指とは全然違う、圧倒的な質量。明確な“交わり”。
身体がバラバラに割れそうなほどの熱に満たされて、腰を強く引き寄せられる。
「……っさすが自慢の身体だな」
そんな、囁くみたいなセリフ、ズルい。嫌味なのに、ドキってして反応しちゃって――きゅうって奥が締まってしまう。
苦しくて、息をするのを忘れてしまう。
「動くぞ」
「やっ……待って……!」
「ダメだ。そんな欲しがった顔してるくせに」
そんなこと言われてもわからない。けど確かに彼の瞳に映った私は、明らかに欲情していて、身体の力を抜けと言わんばかりにダメ押しのキスをされると、腰が無意識に動いたのがわかった。
最初はゆっくりと、けれど段々と深く、貫くように突き上げられる。
「やっ……あ、あっ……そんな、動かされたら……っ!」
逃げることが出来ない快楽が身体の熱を高めて、突き上げられる度に震えてしまう。縋るように久世社長の逞しい身体にしがみついて、なんと襲ってくるこの快感から逃げようとする。
だけどそんなの無駄で、止まることなく律動に視界が霞むほどの快感に襲われる。
そして――とうとうふやけた唇から“絶対に言いたくたい言葉”が零れた。
「……きもち、いぃ……っ、ああっ、ん……! く、ぜ、社長……っぁ」
言いたくないのに。こんなこと、口に出したくないのに。
腰が浮いて、求めるように締めつけて――身体は素直すぎて、久世社長に抱かれて喜んでいる。
一度絶頂へ導かれた身体に再び快楽の波が襲ってくるのは簡単だった。
「ダメ……っ、もういっちゃう……っあ、あぁあっ……!」
鋭いひと突きと同時に、再び快楽が全身を駆け抜ける。ビクビクと腰が跳ねて、溜まった熱を放出すれば、身体はまたベッドへと沈んでいく。
「呆気ないな」
「だって……っ、まだ、奥当たって……はぁ、は……っ」
乱れた呼吸を整えると久世社長の大きな手のひらに頬を撫でられる。久世社長のものはまだ強く、ぎゅっと、貫かれたまま深く埋められる。
しばらく熱い余韻が続いて、呼吸も整わないまま、ただ、重なる体温に浸る。
鼓動の音が重なって、どちらのものか分からなくなるくらい。
――こんなの、絶対ダメなのに。
都合のいい女になりたくないのに。
頬から移動し、髪を撫でた久世社長からの甘いキス。唇が離れると、すぐ重なるぐらギリギリの距離でゆっくりとまた唇が動いた。
「――可愛いな」
「ん……っ! ……ずる、い」
言って欲しかった言葉をこんなタイミングで言われて、それだけで腰が物欲しそうに揺れる。それを久世社長は何かの合図だと勘違いして、ゆっくりとまた律動が再開する。
「やっ、……あっ、ん、まだ、今、動かれた、ら……ああっ!」
2度も絶頂に導かれた身体はとことん正直で、再び快楽の渦に突き落とされる。
「久世社長……、んっ、も、……ダメえ……っ!」
目頭が熱い。快楽によって浮かび上がった涙を唇で拭われながら一段とまた深く、突き上げられる。
一線を越えてしまったことは間違いない。
なのに――こうやって抱かれて喜んでいる。
私――どうしちゃったの?
込み上げる混乱もまた快楽の海に消えて行った。今わかるのはただひとつ――もう抗えない。
私は本当に久世社長のものなのかもしれない――そんな予感にまた身体が震えた。
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