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【番外編】 儚げ社長の休日
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しおりを挟む一週間の疲れを癒す休日。週末はどこに行っても混んでるけどここは違う。
時々聞こえる小さな話し声とページを捲る音だけが響く、静かな図書館。窓も大きくて、太陽の光が入り込むんで温かい空間。ここで過ごすのが私――九重椛乃は大好き。
日曜日なのでビジネスモードはお休み。COCONOE化粧品社長――九重椛乃ではなく、ただの九重椛乃になって、大好きな世界に入り込む。蔵書数が都内一という噂の図書館は私にとって“隠れ家”のような場所。
人が少ない訳じゃないけど、多くて混雑しているわけでもない。児童書コーナーでは絵本の読み聞かせをしている親子もいて、心温まって穏やかな空気感も好きだ。
昔から本を読むのは好き。仕事の為にビジネスに関する本を読むことは多いけど、休日に読むのは普通の小説。恋愛、ミステリー、それからエッセイや歴史ものまでさまざまなジャンルを読む。
そんな私が今日2冊目の読書に選んだのは、タイトルに惹かれて手を伸ばした一冊。ヨーロッパ旅行に関するエッセイ本。パラパラとページをめくり、軽く目を通して、それから移動。
いつもの窓際の席に腰を下ろして、ページを捲る。
本の世界に入り込むのは簡単。本に出て来る街にまるで自分が立っているかのような感覚は不思議。昔から主人公に感情移入してしまうタイプだから、気に入った本の主人公はつい同情してしまう。
本を開いて、文字を追う。頭に流れ込む情報と景色は私を“社長”の肩書きから解放してくれる。
社長職は日々大変。
決断ひとつで会社の評価と実績が変わってしまう。全ての責任が肩にのしかかっている。それでも支えてくれる社員達に弱気な部分は見せられない。だから会社では弱音は吐かない。
それでも、一番信頼出来る茉乃ちゃんが秘書としてサポートしてくれてるから、こうやって休日をゆっくり過ごせてる。また今度お礼を兼ねて食事を御馳走しよう。確か茉乃ちゃん、この前のフレンチの会食羨ましがってたよね。なら仕事終わりにフレンチに誘うってのもいいかも。あとで連絡してみようっと。
そうして、ひとつ予定を決めると、私は静かな図書館の一角で本の世界へ没頭していった。
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