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18 零れ落ちた本音
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しおりを挟む核心をついた質問。普段なら怖くて目を逸らしたかもしれない。けど、頑張って久世社長を見続けた。
数秒の沈黙のあと、ようやく形のいい唇がゆっくりと動きだす。心地良い低音が2人きりの寝室に落ちていく。
「その生意気な口が素直になったら教えてやる」
淡々としたいつもの素っ気ない、どう解釈していいかわからない、ずるい言い方だ。
「……ずるい」
なんなのそれ。表情ひとつ変えなくて何を考えているかわからない。いつだってこの人はずるい言い方をする。しかも私が悪いみたいな言い方で、だから何を考えてるかわからない。
だけど、否定もされてない。それに気づいた瞬間、胸の奥がソワソワして落ち着かなくなる。
これまでの私なら怒ってたと思う。「意味わからないです」って。なのに、今日は違う。
「だったらどうして……今日来たんですか?」
同じ質問はもう3回目。
九重社長から体調が悪いって聞いた。それはもう知ってる。けど――私が知りたいのはそれじゃない。だから何度も聞いてしまう。
どうしてここに来たの? どうしても、それが知りたい。
これでは私が都合のいいことを言ってほしくて久世社長を利用しているみたいだ。
「――っ!?」
また少しの沈黙のあと、小さな息が漏れて、肩が少し震える。
いつも私を翻弄するその指先に顎を持ち上げられて、冷たい瞳にじっと見つめられるだけで、いつだって自分の意志を失ってしまう。
そしてまた――低音が落とされた。
「どう言ってほしいんだ?」
「……え?」
「同じことを3回も聞いて――俺にどう言ってもらいたい?」
ずるい。唇がそう動いた。
どうしてこの人は私の考えていることが分かるんだろう? この冷たい瞳はなんでも見透かしてしまう。
頬が熱い。恥ずかしくて、心臓の音が早くなる。
ほんの少し久世社長が近くなる。
「言え」
「……っ」
短くて、強い命令に、頬の熱が身体全体に広がっていく感覚。今すぐ自分を抱き締めて、布団の中に隠れてしまいたい。
私が欲しい言葉――こんなこと言いたくない。言いたくないのに、口が勝手に動く。
ほんの一言を言うだけで、この人に全部支配されてしまう気がするのに――止めることができなかった。
「……私が心配だから……だから来たって言ってほしい……です」
強がりと戸惑いの中に隠していた本音が――久世社長と私の間に零れ落ちた。
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