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20 甘いお仕置きとご褒美
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しおりを挟む状況を把握する前に、ドアがバタンと閉まる音が響いた。ドアノブを握っていたはずの手を強く引っ張られると馴染みのあるウッド系の香水の匂いが近くなる。
「久世社長……?」
戸惑いの声を漏らした瞬間、鍵のかかる音が耳をかすめた。視線を上げれば、明らかに不機嫌そうに眉を寄せた久世社長の整った顔がある。
その瞳の冷たさにゾクリと背筋が震えた。
「何度言ったらわかる?」
「え……?」
掴まれた腕が少し痛い。そのまま、身体を押し付けられた先はメイク台。急に足が浮いて、強引に台に乗せられると、久世社長の冷たい瞳が私を見下ろした。
たった一言でわかる。多分――怒ってる。どうして? 怒られるようなことしてないはず。
「お前は俺のものだと言っただろ? 誰が他の男に愛想振り撒けと言った?」
「……別に愛想なんて……」
否定しながらも視線を外す。だけどすぐに顎を掴まれて元の位置へと戻された。
「目を逸らすな」
低く、恐怖を感じるような声。まるでミスをした部下を叱責するような声色。私を見下げる瞳だって冷たい。
これまでこんな風に見られたことはない。この人の瞳はいつも冷たいけど、そうじゃない。理性的で、一方的、いつだってこの人は私に呆れている。――だけどこんなに冷たく、怒りを宿した瞳で見下ろされたのは初めてだった。
「自覚がないのか?」
「だって……っぁ」
目を逸らすことが出来ない。だけど小さく肩が跳ねたのは久世社長の指先が太ももをひと撫でしたからで、その微かな感覚だけで身体の奥からじわりと熱が込み上げてくる。
「久世社長……っ、ここでは……!」
「黙れ。お前に拒否権はない」
「ぁ……っ」
私を翻弄する指先が内腿へと伸びる。嘘でしょ? こんなところで――!?
ぐっと下唇を噛む。だけど隙間から零れ落ちた吐息は簡単に甘くなって、ゾワリと身体が震えて、本気で抵抗出来ない。それどころか――。
「自慢の脚を他の男に褒められて嬉しかったか?」
「――っぁ、そんな……ことっ」
ここまで言われてようやく理解した。
さっき、男性モデルと話をした。カフスボタンを留めるようにお願いされたから流れでちょっと話しただけだ。確かに、脚が綺麗って褒められた。
だけどあの時久世社長は紗英さんと話してたし、声を聞こえてなかったはず。なのに――どうして知ってるんだろう?
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