嘘つきは秘めごとのはじまり

茜色

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愛しいカラダ

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 されるがままではなく、私は自分から陸を求めて身体を動かしていた。
 今までなら恥ずかしくて想像すらできなかったことも、陸が受け止めてくれると思うと素直に行為に移すことができる。
 性器を擦り合わせながら、私は心と身体の両方で陸と想いを確かめあっているのだと実感した。

「あ、ぁっ・・・」
「ん・・・っ。雛子さん、やらしすぎ。気持ちいい・・・」
 ペニスの裏側部分に私のクリトリスや花びらを押し当て、愛撫するように繰り返し動いた。陸のそれはあっという間に愛液まみれになり、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が耳に響く。
 私たちは両手を握りあい、お互いの顔を見つめながら更にもっと深く欲情した。

 ひどく淫らでふしだらなことをしている自分に戸惑いつつ、もしかしたらこれが本当の私なのかもしれないと思った。
 暴かれるのが怖くてずっと蓋をしていたけれど、陸の手でパンドラの箱を開けられたみたいに秘密がこぼれ出していく。
 本当は大好きな人の前でだけ、こんなふうに淫らな女になってみたかったのではないか。そんな気がした。今までちっとも知らずにいた本当の自分をさらけ出して、私はいつしか陸の膝の上で欲望を露わにする女になっていた。

「雛子・・・」
 初めて呼び捨てにされ、胸の奥がキュッと絞られる感覚に襲われる。
 陸が私のうなじに手のひらを添え、もう一度「雛子」と囁いてから甘く唇を塞いだ。
 私は深く舌を絡めながら、ごく自然にペニスに指を這わせていた。指先を優しく丁寧に動かすと、キスしている陸の吐息が狂おしげに乱れる。上下に滑らせるように手を動かしながら、同時に裏側を濡れた花びらで撫で上げるように擦った。
 嬉しくてたまらなかった。陸とこうしてありのままの欲をぶつけあえることに、涙が出そうなほど幸福を感じていた。

「あ、もう、ダメだ・・・。もう限界・・・」
 陸が苦しげな掠れた声を出した。
 ゾクッとするほど色っぽい眼で見つめられ、お腹の奥から陸を欲する衝動が込み上げてくる。
「挿れたい・・・。いい?」
 お尻を両手で揉まれながら、誘うような表情でくちづけられる。私は二度三度頷きながら、陸の指のいやらしい動きに恍惚となった。

 陸はベッド脇の小さなテーブルに用意していた避妊具を手に取ると、封を切って中身を取り出した。
「・・・いつも、持ってるの?」
 つい聞いてしまうと、陸は「雛子さんと早くこうなれるように、お守り代わりに財布に入れてた」と言った。「ちなみに、4月から」と、悪戯っぽい笑みを見せてきたので、思わず私も吹き出した。
「つけてみる?」
 陸がとても優しい眼で私に尋ねる。ほんの少し躊躇してから、私は「うん」と頷いて手を伸ばした。 
 陸に教わりながら、ペニスに避妊具を被せていく。まだ少し緊張していて指先が覚束なかったけれど、陸が手を添えて誘導してくれたので何とか装着させることができた。

「・・・ホントに、夢みたいだよ」
 私の髪を手で梳きながら、陸は愛情のこもった瞳で呟いた。
「雛子さんにこうやってつけてもらえるなんてさ。こんな日が来るなんて」
 俺のこと、許してくれてありがとう。
 そう囁いて、陸は私の身体をそっと抱き寄せた。
 そもそもの発端は私が嘘をついたことにある。だから、もうお互い謝るのはよそう。そう言って、私は陸の瞼にキスした。

「雛子さんが挿れてみて」
 さっきと同じように、ベッドの上に脚を投げ出して座る陸の上に跨った。やや前屈みになり、硬いペニスをそっと掴んで自分の秘裂に宛てがう。
 触れあっただけで、くちゅっと蜜の音がした。私はドキドキしながら深く息を吸い込み、陸のペニスの先端を自分の膣口からクリトリスに向けて何度も往復させた。自分の指ではなく、陸の性器を使って自慰をするように。

「ん・・・っ・・・」
「ハァッ・・・。雛子、エロすぎる。ヤバい・・・」
 はしたない腰の動きに陸は興奮して息を荒げ、私の顔に手を伸ばして熱い頬を何度も撫でた。私は大きく温かな手に自分の手を重ねた。陸の親指が私の唇を撫でる。私はそのまま誘い込むように陸の指をしゃぶった。
 ペニスに自分の性器を押し当てて蜜まみれにしながら、同時に陸の親指をねっとりとしゃぶっては舐めまわす。指を舐めることはまぎれもなく別の行為の疑似であり、私は自分が淫らになればなるほど昂ぶって陸への想いを狂おしく募らせた。
 
 陸が我慢できないとでも言うように乱れた息を漏らし、空いている方の手で私の乳首をつねった。
「あっ、やんっ・・・!」
 思わず陸の指から唇を離す。両手が自由になった陸は、私の両の乳房を存分に揉み始めた。
「あ、あぁんっ・・・!」
 すくい上げるように手のひらで嬲られる。指先でコリコリに尖った乳首を摘んでは引っ張られ、爪で弾かれ、指の腹で転がすように押しつぶされた。じんじんと胸の先から伝わってくる鋭い快感に、私の花びらの奥から透明な愛液がどっとあふれてくる。
 私はとうとう我慢できなくなって、泣き声のような吐息を漏らしながら陸のペニスの上に腰を沈めていった。

「ん、んっ・・・、あぁっ・・・」
「ゆっくりでいいよ。痛くないように、少しずつでいい」
 陸が私の腰に手を添え、安心させるように優しく囁く。一度深く息を吐き、陸の瞳をじっと見つめながら更に腰を落としていった。
 初めてではないと言っても、行為自体が5年ぶりだ。これだけしっかり濡れていても、やはり男の人の硬いモノが入ってくる感覚は想像以上の異物感があった。
「上手だよ。・・・無理しないで、雛子さんが辛くないところまででいいよ」
 陸が私の髪を撫で、首筋に触れ、とろけるような声で囁きながら耳にくちづける。陸に触れられた場所から緊張がほぐれ、私はゆっくりと身体を慣らしていった。

 ある部分を過ぎると、フッと楽になった気がした。そのままグッと腰を落としてみる。グチュッと音が響いて、陸のペニスが根元まで入ったのが分かった。
「あ・・・。全部、入った・・・?」
「入ったよ・・・。すっげー、気持ちいい。あったかくて、包まれてる感じ。泣いちゃいそう」
 陸は私の頬を愛おしげに撫でると、慈しむような甘いキスをくれた。

 繋がりあったままキスすると、お腹の底から甘い疼きが生まれてきてせつないほど気持ちが良かった。普段味わったことがないような充足感に包まれ、私はもっと陸と溶けあいたくて肌を密着させるように抱きあった。

「陸くん・・・。好き、大好き。・・・ずっと一緒にいたい」
「俺も、大好き。愛してる。雛子、もう絶対離れないで・・・」

 たくさんの愛を言葉にしながら、私たちは腰を揺らしてお互いを貪りあった。
 陸は私の乳房を蹂躙しながら、下から突き上げるようにして私を攻めた。私は陸の唇をしつこいほど求め、熱い塊を丸ごと呑み込むように強く締めつけた。

 腰を動かしているうちに自分の感じやすい場所が分かってきて、そこがペニスで刺激されるように更に淫らに腰を揺らした。
 私が恥ずかしい動きをすればするほど、陸の興奮は昂ぶっていく。やがて陸は切羽詰まった表情になり、背中を抱いたまま私をシーツの上に仰向けに押し倒した。

 体勢を変えるときに抜けたペニスを、陸がやや乱暴に私のなかへと押し込んでくる。
「あっ・・・!」
 さっきまでの労わるような優しさは消えていて、陸は余裕を失くした高校生みたいに焦った様子で私を貫いた。

「ごめん・・・っ。ちょっと、我慢きかない」
「あっ、あっ・・・!待って・・・っ」
 正常位で激しく腰を打ち付けられ、激しく揺さぶられた私は必死で陸にしがみついた。
「やっ、激し・・・っ、陸、くん・・・!」
「ごめん、気持ち良すぎて止まれない・・・っ」
 汗が混ざりあって、胸と胸がぬるりと溶けあう。陸は抽送のスピードを上げながら、苦しげに息を荒げて私の名前を呼んだ。

「雛子・・・、雛子・・・っ」
 肌が打ちつけられる音。えぐるような動きで何度もペニスを抜き差しされ、同時に親指でクリトリスを弄られると私の喉の奥から泣き声が漏れた。
「ん・・・あっ・・・!それ、ダメ・・・っ」
 内と外の二ヶ所を攻められ、背筋に鳥肌が立つほどの刺激が走った。
 一番奥の、さっき痺れるような気持ち良さに襲われた箇所に、陸のペニスの先端が擦れて当たっている。その刺激は強烈な快楽の兆しを呼び込み、やがて私は波に追い込まれるようにいきなり絶頂に達した。

「ん、あ、あぁ・・・っ!」
「雛子・・・っ、イクよ・・・っ」
 頭の中が真っ白になる感覚と共に、陸が私のなかに射精したのが分かった。
 温かい。陸の出したものが、お腹の奥にドクドクと注がれる感覚。一瞬、避妊具を着けているのを残念に思ったほどに、陸のすべてが愛おしく思えて瞳が熱くなった。


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