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第二部 最終章 one more camp!
ゴえもんの正体
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「やっと……やっと思い出せたよ。
アンタ、どういうワケなのか俺と一緒だった時期があったよな。けど、アンタはもっとずっと先の未来から異世界に来たんだろ?
人間そっくりの身代わりを作った時も術とか言ってたけどさ、だったら異世界の地方支配者である澄隆公が知らないはずがないんだよ。
それに、女媧様の弱点や俺と同じ不死まで……どういう事なんだ?
この際、残らず説明してもらおうか」
「……………………ふむ」
異世界に飛ばされて以来、様々な謎にぶっかり、答えを得ないまま今日を迎えた。
もう少しで秘密に手が届くという思いが俺の唇を動かし、興奮気味にましくたてる。
海岸を抜けた先は背の高い雑草が生い茂る原っぱで被われ、夜の深い暗闇と相まって、追っ手の目を眩ませるには絶好の立地だ。
ここなら外部に話を聞かれる心配はない。
「……話すと言っておいて申し訳ないのですが、どこから話せばよいのやら…」
俺は近くの岩に腰を下ろし、半ば強制的に話の場を作る。
『話を聞くまでは動かない』そんな意思を見てとったのか、ゴえもんは観念とも、諦めとも取れる態度で対面の岩に腰を落ち着けた。
「葦拿さんの覚悟は伝わりました。
お察しの通り、私は日ノ本の住人ではありません。とはいえ、貴方や飯綱さんの見知った世界とも少し違うのです」
大きく息を吐き、意を決したといった風にゴえもんが言葉を繋げる。
「未来。
飯綱さんの居た世界から数えて50年後、貴方にとって遥か先の未来から私は派遣されてきたのです。与えられた任務はAwazonの力を悪用する者の排除、及び人命救助が目的です」
150年後の未来人である飯綱より50年も先の未来。
数字の過多はあれど、その部分に関しては予想通りだ。
けれど、Awazonが未来のアプリ…だと?
「だったら…どうして俺のスマホにそんな物が!? 俺は未来のアプリなんて――」
言いかけた途中で気づく――気づいてしまった。
「まだ記憶が完全に戻っていないのですね。
では……これで思い出せますか?」
「ッッ!? あ……ぅ…………うそ……だ…」
ゴえもんはお江さんに変装していた時と同様に、仮面を脱ぐようにして顎先に触れた瞬間、俺は自分が立っているのかどうかも分からない程の衝撃を受けた。
「お前は――俺……と…同じ顔!
ば、馬鹿な……と、歳を取った――俺!」
足元がグラついている…。
いや、あまりにも突拍子のない話についていけず、目まいが起きたのだろう。
「……今までお見せした変装や身代わり人形ではありません。貴方は私をベースにして、私が造り出したクローンなのです」
「…………うッ……ぶぇぇぇぇ!」
思わず草むらに走り、そのまま胃の中の物を残らずブチまけてしまう。
澄隆公が自分そっくりの身代わりを見た時よりも遥かに大きな衝撃に襲われ、ギリギリのところで保っていた心が音を立てて折れるのを実感した。
造り物だから……死なない!
死ぬはずがない……最初から命など持っていないのだから!
俺自身が生きていると思い込んでいただけ…。
「ど、どうしたのじゃ!?
あしな! 何かあったのかや!?」
「な、なんでも……大した事じゃない!
少し…気分が悪くなっただけ……それだけだ!」
心配して声を掛けてくれたが、俺は嘘をついて初音が駆け寄ろうとするのを止めた。
――本当は意味が分からなくて…怖くて…仕方がないのに…。
「大丈夫ですか?
しかし、それでも聞いてもらわなければなりません。貴方は……もう一人の私なのだから」
年齢は40を過ぎた頃だろうか。
ゴえもんと名乗る男は気遣いを見せる一方で、徹底して自分の目的を果たすつもりらしい。
「…………上等だよ、お前が何の目的で俺を造ったのか――全部話せ!」
アンタ、どういうワケなのか俺と一緒だった時期があったよな。けど、アンタはもっとずっと先の未来から異世界に来たんだろ?
人間そっくりの身代わりを作った時も術とか言ってたけどさ、だったら異世界の地方支配者である澄隆公が知らないはずがないんだよ。
それに、女媧様の弱点や俺と同じ不死まで……どういう事なんだ?
この際、残らず説明してもらおうか」
「……………………ふむ」
異世界に飛ばされて以来、様々な謎にぶっかり、答えを得ないまま今日を迎えた。
もう少しで秘密に手が届くという思いが俺の唇を動かし、興奮気味にましくたてる。
海岸を抜けた先は背の高い雑草が生い茂る原っぱで被われ、夜の深い暗闇と相まって、追っ手の目を眩ませるには絶好の立地だ。
ここなら外部に話を聞かれる心配はない。
「……話すと言っておいて申し訳ないのですが、どこから話せばよいのやら…」
俺は近くの岩に腰を下ろし、半ば強制的に話の場を作る。
『話を聞くまでは動かない』そんな意思を見てとったのか、ゴえもんは観念とも、諦めとも取れる態度で対面の岩に腰を落ち着けた。
「葦拿さんの覚悟は伝わりました。
お察しの通り、私は日ノ本の住人ではありません。とはいえ、貴方や飯綱さんの見知った世界とも少し違うのです」
大きく息を吐き、意を決したといった風にゴえもんが言葉を繋げる。
「未来。
飯綱さんの居た世界から数えて50年後、貴方にとって遥か先の未来から私は派遣されてきたのです。与えられた任務はAwazonの力を悪用する者の排除、及び人命救助が目的です」
150年後の未来人である飯綱より50年も先の未来。
数字の過多はあれど、その部分に関しては予想通りだ。
けれど、Awazonが未来のアプリ…だと?
「だったら…どうして俺のスマホにそんな物が!? 俺は未来のアプリなんて――」
言いかけた途中で気づく――気づいてしまった。
「まだ記憶が完全に戻っていないのですね。
では……これで思い出せますか?」
「ッッ!? あ……ぅ…………うそ……だ…」
ゴえもんはお江さんに変装していた時と同様に、仮面を脱ぐようにして顎先に触れた瞬間、俺は自分が立っているのかどうかも分からない程の衝撃を受けた。
「お前は――俺……と…同じ顔!
ば、馬鹿な……と、歳を取った――俺!」
足元がグラついている…。
いや、あまりにも突拍子のない話についていけず、目まいが起きたのだろう。
「……今までお見せした変装や身代わり人形ではありません。貴方は私をベースにして、私が造り出したクローンなのです」
「…………うッ……ぶぇぇぇぇ!」
思わず草むらに走り、そのまま胃の中の物を残らずブチまけてしまう。
澄隆公が自分そっくりの身代わりを見た時よりも遥かに大きな衝撃に襲われ、ギリギリのところで保っていた心が音を立てて折れるのを実感した。
造り物だから……死なない!
死ぬはずがない……最初から命など持っていないのだから!
俺自身が生きていると思い込んでいただけ…。
「ど、どうしたのじゃ!?
あしな! 何かあったのかや!?」
「な、なんでも……大した事じゃない!
少し…気分が悪くなっただけ……それだけだ!」
心配して声を掛けてくれたが、俺は嘘をついて初音が駆け寄ろうとするのを止めた。
――本当は意味が分からなくて…怖くて…仕方がないのに…。
「大丈夫ですか?
しかし、それでも聞いてもらわなければなりません。貴方は……もう一人の私なのだから」
年齢は40を過ぎた頃だろうか。
ゴえもんと名乗る男は気遣いを見せる一方で、徹底して自分の目的を果たすつもりらしい。
「…………上等だよ、お前が何の目的で俺を造ったのか――全部話せ!」
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