装備召喚でヒソカに装備する~ご主人様はアニマルフェチ~

すみ 小桜(sumitan)

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関所で

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 オレでも関所の門が見える位置まで来た。これで、この国から出る事が出来る。よかったぁ。

 「よし行くぞ」

 武器を持っている者は手にし、門へとオレ達は向かった。オレは抱っこされたままだけど。
 ダダダっと、一気に関所へと向かうが――。

 「とまれ!」

 そう言ったのは、ロンドさんだ。
 ハッとして、皆が止まる。
 嘘だろ。どうして。

 「待っていたぞ。逃げられると思うな」

 驚く事にすでにドンが待ち構えていた!
 いやいやおかしいだろう。オレ達ワープして逃げたんだよね? 逃げるルートも何通りも用意してあったとか。それを当てるって凄くないか?
 っは。この腕輪か。
 オレは、青い腕輪に目を落とした。本当に、オレ達の位置がわかるようだ。しかもワープしたのに、先回りされたという事は、完全に作戦を読まれているって事だ。そして、ドンもワープが出来る。

 「くそ……ヤン殿、もう一度ワープは可能か?」
 「すぐには無理です」

 予想外の事に、こちっが焦る事に。
 向こうはそんな事などお構いなく、仕掛けてきた。

 「レックス殿、我々はヤン殿と一緒に一旦森の奥へ撤退する」
 「わかった」

 レックスさんが頷くと、数人で森へと抜け出す。

 「逃がすか」

 ドンと一緒に数人が追いかけて来た。
 これヤバくないか。というか、オレ達が助かっても残ったあの人達は殺されるんじゃ。

 「これでもくらえ!」

 そう言ってヤンさんが手を突き出したから魔法かと思いきや、何やら粉っぽいモノがばらまかれた。

 「へ、へっくしょん!」
 「は、鼻が!」

 ベア族の兵士が顔を手で覆って、苦しそうにしている。
 もしかしてあれは、コショウなのでは……。なんというか、古典的な攻撃で。

 「これで撒けるだろう。しばらくの時間稼ぎになる」

 オレ達は、必死に逃げた。
 どうやらもう一度ワープするつもりらしい。けど、それには時間がかかるみたいだ。鼻を利かなくして、その間に逃げ切る戦法だね。でもたぶん、臭いで追ってきているわけじゃないと思うんだけど。

 「ふう。さすがに疲れた」

 しばらくして、ヤンさんが歩みを止めた。

 「大丈夫か、ヤン殿。すまない。あなたに頼りっきりで」
 「いえいえ。戦闘の方はからっきしなので助かってますよ」

 オレ達は、ドン達を巻いたようだし休憩する事にした。
 レックスさんが、オレを地面に降ろす。

 「ありがとう。疲れたよね?」

 オレだってそんなに軽くない。ずっと抱っこしていたから他の人の倍、疲れただろう。

 「大丈夫だ」
 「次は俺が抱っこしてやる」
 「ありがとう、ロンドさん」

 一緒に脱出したのは、レックスさん、ロンドさん、リス族のヤンさん、そして犬族のカールさんのオレを含めて五人。その中でヤンさんとオレは、戦力を見込めない。今度見つかればヤバいかも。
 それに、他の代表の二人を置いてきたようだけど大丈夫なんだろうか。

 「おい、ヒソカ。その手……」

 レックスさんが驚いてオレの手を見つめていた。ロンドさんもだ。

 「いつの間に」
 「何かやっていると思ったら。抱っこされながらでも出来るとは器用だな」

 レックスさんが感心して言う。
 この会話を不思議そうに、ヤンさんとカールさんが見つめていた。
 彼らは、オレの手が人の手だったかどうかなんて覚えてないのだろう。足が毛もじゃなら、手も毛もじゃでもおかしくないだろうから。色も同じ黒だし。

 オレは見つめる二人に、えへっと照れ笑いを返したのだった。
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